ジャズ屋未満トラキチ未満(Sonnyプロト版)

ジャズについてとりとめもなく考えをめぐらす今日この頃でございます。

エバンズの「ワルツ フォー デビー」を切り録った男

この二枚のアルバムをご覧になって
共通のある人物がお分かりになるでしょうか。
  そんな奴はおらんやろう 
   (©こだま)
  
ラムナド クリシュナン




一枚目は南インド古典音楽家ラムナド クリシュナンの"Kaccheri"
二枚目は言わずと知れたビル エヴァンズの大名盤"Waltz For Debby"

じつはこの二枚のアルバムは同じ録音技師の手でライブ録音されています。
その名はデイヴィッド ジョーンズ
 誰が興味あんねん
  (©ヤナギブソン)

先日ルー チョンキがtweetしたクリシュナンのジャケットクイズ
こんなもの誰が分かるねん
と思ったら存外コアな音楽愛好家には聴かれていて驚きました。

そこでこのブログを書いている次第


「ワルツ フォー デビー」はライブでの好録音盤として知られています。
演奏中にお客がコップの水をひっくり返すりアルな音を聴きたいがために
繰り返しターンテーブルに載せるお馬鹿さんなオーディオマニアがいるとか(笑)。

素晴らしい音楽再生の為には高級オーディオが最も重要とお思いの方がいらっしゃいますが
一番肝心なのはもととなる録音。

そしてレコードではマスタリングやらカッティングやらプレスやらとなるわけです。


通常リヴァーサイドでは演奏の録音にはレイ フォウラーと言う
名エンジニアによって行われることが多いです。

しかしこの「ワルツ フォー デビー」には現地生録音の名人である
先に述べたデイヴィッド ジョーンズが録音を担当しました。

特注のレコードラックにアンペックスのテープレコーダーで
自在に現地録音する技師として知られます。

デイヴィッドの名前はレイに比べると知名度は低いでしょうが
他にもリヴァーサイドのライブ録音を行っています。


Junior Mance Trio "At The Village Vanguard"


Bill Evans Trio "Sunday At The Village Vanguard"


Art Blakey's Jazz Messengers "Ugetsu"

ここにあげた三枚のアルバムからだけでも
デイヴィッド ジョーンズがいかに現地での2トラックダイレクト録音に優れ
オリン キーブニューズから信頼を得ていたかが伺えます。


前衛ジャズをの多いESPの作品のいくつかもディヴィッド ジョーンズの録音です。


Patty Waters"College Tour"


Sun Ra "Nothing Is..."


クリシュナンのアルバム以外にもnonesuchからいくつかの録音があります。


Palghat Raghu" "Dhyānam/Meditation"


山口 五郎"A Bell Ringing in the Empty Sky"


ノンサッチのエクスプローラーシリーズの録音技師としては
現地生録音の神様デイヴィッド リュイストンの名前がつとに有名ですが
もう一人のデイヴィッド
ジョーンズの名前もお見知りおきくださるとうれしいです。


ジャズ関係の録音では
エレクトラ
インパルス
マイルストーン
プレスティッジ
あたりでもデイヴィッド ジョーンズの名を見かけることがあります。


ジャズのアルバムというものは決してミュージシャンの力量だけで
出来るものではありません。

レーベル主催者、プロデューサー、コーディネーター、録音技師たちの技量が
大きくアルバムの成果にかかわっているのです。

ルディ ヴァン ゲルダーやロイ デュナンの名前は良く知られていますが
それ以外の録音技師について語られることはあまりありません。

すこしは彼らエンジニアの名前にも眼をとめていただけたら嬉しい
と思う今日この頃でございます。