ロリンズ2008公演のドラマー Kobie Watkins コービー ワトキンス
さて、前回に引き続いて2008ロリンズ大阪公演についてのお話です。
今回のコンサートでのメンバーですが、ドラムズを除いては前回同様おなじみのメンバー
クリフトン アンダーソン(tb)
ボビー ブルーム(g)
キマチ ディニズル(per)
ボブ クランショー(b)
でした。
プログラムも何も確認せずに会場に向かったのでこれらのメンバーはステージに登場したとたんにわかったのですが、ドラムセットにはなんだか見慣れないミュージシャンが座っていました。
ロリンズのメンバー選びは結構大雑把なところもあるのですが、ドラマーに関しては常に力量のあるミュージシャンを使っていることで定評があります。
低い位置に大き目のシンバルを置いてなかなかしなやかなシンバルレガートを聴かせてくれます。大きなシンバルを使用している割には重量感があったり低い音のレガートではなく、おそらく小さめのチップがついたスティックをつかっているのかカッチリとした音を響かせています。
このあたりにもオーソドックスなジャズを演奏していても個性を打ち出そうとする姿勢があらわれているようで好感が持てます。
ロリンズとのバースでの掛け合いではっきりとわかったのですが、そのソロは非常にメロディックで譜面割でソロを取るのではなくテーマをしっかりと感じさせるものでした。
前回は予想もしなかったスティーブ ジョーダンを連れて来て私を驚かせてくれたロリンズでした、今回もなかなか素敵なドラマーを帯同し聴かせてくれました。
翌日になってから今回の来日メンバーを調べてみたのですがかのドラマーの名前はKobie Watkinsでした。
「コービーってまさか神戸ビーフが好きなんやないやろなぁ……」
どこかで聞き覚えがある名前だなぁとごそごそと手持ちのアルバムを確認するとボビー ブルームのリーダー作の2枚に彼の名前を発見しました。
どうやらボビー ブルームの人脈でロリンズの演奏に加わるようになったのでしょう。
彼のことをちょっと調べてみますと近年はアメリカでもっとも注目されている男性ヴォーカルであろうカート エリングと共に共演し、レコーディングも残しています。
なるほど歌伴を良くするミュージシャンであればこそあんなにメロディックなドラムソロがとれるんだと納得しました。
ロリンズと共演するドラマーは間違いなく売れっ子になるのでコービー ワトキンスの名前はジャズ好きならば覚えておいて損は無いと思います。
ロリンズのドラマーとしては存命のミュージシャンではアル フォスターが一番のお気に入りなのですが、お薬の問題で来日はかないそうにも有りません。
とても残念です。
ロリンズとアルのステージをきいてみたいものですなぁ。
さて、話は変わりますが
私がフェスティヴァルホールへ足を運ぶのはかなり久しぶりのことでした。調べればいいのですが、多分MJQかウィントン マルサリス以来ではないのでしょうか。
実を申しますと私はフェスティヴァルホールでのジャズのコンサートが好きではありません。
クラシックのコンサートを目的としたホールであるため残響が多く全くジャズには不向きなホールであると言えます。
キースジャレットやMJQといったPAを全く使用しない演奏はともかく、そうではない通常のジャズの演奏はあまり芳しい結果を生みません。
フェスティヴァル ホールが今年限りで建て替えられるといった理由からもこの会場が選定されたのだとは思います。
しかしながら音楽を聴くといった目的から考えると今回の企画者のジャズに対する理解はどうなのかなと疑問に感じます。
今回のコンサートでもやはりと言うかボブ クランショーのベースの音は全く聴き取りにくく、ジャズを聴くためにはかなり問題のある音といわざるおえませんでした。
私が聴いたのは一階の中央前よりだったのですが、2階の奥で聴いていたお客さんはある程度ベースの音を聴き取ることができたとうかがいました。
聴いた席によっても差はありますが、もう少しジャズの音について気を遣ってはもらえないものかと思います。
エレキベースを弾くということで何かとあまり良くない評をされるボブ クランショーですが、今回のことも彼にはとても不幸なことだったと感じます。
彼についての良くない評判を聴くたびに悲しく思うのですが、ロリンズがなぜ彼のベースを半世紀も使い続けているのか少し考えてみてはもらえないでしょうか。
私はボブ クランショウの入ったロリンズの演奏が好きです。
なんて言いながら次回もこの項つづきます(多分)。