大好きなピアノ Don Pullen




"New York Duets" Jane Bunnett & Don Pullen (BN Canada)

 好きなピアニストはたくさんいるのですが、その中の一人にドン プーレンがいます。ドン プーレンと聞いてエキセントリックなフリーの傾向が強い演奏を思い浮かべられる方もたくさんいらっしゃると思います。確かにジュゼッピ ローガンなぞというこわもてのミュージシャンでデビューを飾っていたりするので、そういう印象が強くても仕方がないような気がします。
 しかしながらプーレンはフリーキーな演奏ばかりを得意とするのではありません。叙情味溢れるゆっくりした曲も大変素晴しいピアニストです。一つのスタイルを得意とするミュージシャンはいくらもいますが、硬軟あわせて自分の物にしている演奏者はそうそういるものではありません。そういった演奏のダイナミックスの大きなところが大変気に入っています。
 残念ながらドン プーレンは95年に53歳の若さでこの世を去っています。彼が残している録音は90枚程になり、少なくは無いのですが特定のミュージシャンとの演奏が多くあまりいろいろな人との録音は残されていません。

 彼のディスコグラフィを眺めていると、ジェーン バネットというカナダの女性マルチリード奏者との演奏が4枚ほど残されているのが分かります。たった一枚の録音であればともかく、未知との出会いであるミュージシャンとの演奏が4枚も残されていれば興味がわくと言うものです。中でもプーレンとのデュオで吹き込まれた"New York Duets"は特に目を惹きます。
 ところがこの作品今まで聴いたことはおろか見かけたこともありませんでした。中古市場で探してみると結構な高値が付いているようなのでそのまま放置していました。
 先日、ほかのCDを探すついでに米国のオークションで"New York Duets"を探すと出品されていたので、10ドルの値を付けてみたところ落札できました。そしてつい10日ほど前に手元に届きました。

 ジェーン バネットという人の演奏はDD ジャクソンとのデュエットの作品で1曲だけフルートで聴いたことがあったのですが、まずは及第点をつけられるかなと思える演奏でした。
 "New York Duets"での彼女の演奏はそのときの印象よりももっとジャズの匂いが希薄な物でした。もともとクラシック畑の奏者(もとはピアノ奏者)のようでDDとの録音が96年。このプーレンとの録音が89年ですからその間に彼女の演奏が深化したということでしょう。確か数年前のダウンビートでは注目される新人としてあげられていたように思います。
 バネットの演奏ですがソプラノサックスではあっさりとしたスティーブ レーシーといった感じを受けました。モンクの曲を演奏しているので当人も影響を受けているでしょうし、なおさらそういう具合に思えるのでしょう。その他にもパン フルートの演奏があるのですが、彼女がジャズとして良いのははフルートでの演奏のように感じました。
 さて、肝心のドン プーレンの演奏ですが、終始抑え気味の演奏振りでジェーン バネットのソロを引き立てるようにバッキングに回っています。もちろん自分のソロでは握り拳でグリングリンと鍵盤を跳ね回るお得意のフレーズを聴かせてはくれます。しかし、音楽の場を自分にかっさらってしまうようなことは無く、主役はあくまでもジェーンにあるというスタンスをくずしません。
 ですが、音楽としての構成はドン プーレンの手の中にあるようです。それはジェーンの筆による曲でも変わらず、彼のピアノにかかると全てがドン プーレンのブランドで染め上げられたかの様な印象を持ちます。
 また、スローな曲での彼のピアノをコントロールする力は怖るべきもので、一音一音に彼の細やかな神経が行き届く様がはっきりと聞き取れます。全く彼のピアノの音色だけでうっとりとして我を忘れてしまいます。
 
 ジャズの猛者達とのデュオのようにパワーアンプの針を振り切ったような演奏をこのCDで聴くことは叶いません。しかしここではしっかりとしたプーレンの曲の解釈をたっぷりと味わえますし、彼のリリカルなピアノの魅力も改めて感じさせてもらえます。
 ドン プーレンの名におじけている人や彼の演奏を聴いてみたい人にはとても良い作品だと思います。当然私のようなプーレン大好き人間にも大推薦です。

 …… ですが、手に入れるのはちょっと難しいかも。その気になれば東芝EMIでだ出せる筈なんですけど望み薄でしょうね。

2006年05月24日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:5

未熟者の言い訳に「初心忘るべからず」 (BlogPet) (BlogPet)

sonnyの、blogしたかったの♪

18日より一泊二日で小旅行へと足を踏み入れました。
ですがぐっと押し出してくる旨みがありませんでした。
自身を省みて「ちゃんとまじめにせなあかんなぁ」と感じ入ったsilverでした。
今回もたいした目的は無かったのでした。
Bさんへと思いを馳せていなかったせいもあったのでは有りません。
最近はなかなか機会があります。
Aさんへと向かわせた理由のひとつがこの写真の食べ物でした。
お店も変わってしまうとお店というのがとても大きいものではそれほどの破綻は無かったのだと思いました。
かに面を思いN市にはライブハウスは有るのですが結線のどこかに接触不良があるように思えました。
リムスキーからは「店もっときれいにせな」といわれているのですがしっかりとジャズの聴けるお店を調べてみるとマスターはすでに亡くなられてますしね。




*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「silver」が書きました。

2006年05月12日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:1

JAZZの値段は不思議に満ちている



 パソコンを自由自在に扱う今の若い世代の方にとっては何の雑作も無いことなのでしょうが、私にとってはダウンロードで音楽を購入するというのはかなり抵抗感が有ります。実体をともなう商品には充実感と安心感がありますが、目に見えないデータを購入するというのはなんともたよりなく感じます。
 ライナーや録音データが不明だというのも困った物です。インターネットで検索をかければある程度のことは判明するのでしょうが、プロデューサーや録音技師、ジャケットデザイナーなど細かいことまでは分からないのではないかなと不安にも思います。
 そんなことからダウンロードで曲を購入するということは無かったのですが、半端なネット上での購入ポイントがあったのでちょっと冒険して買ってみることにしました。
 さてどんな物が買えるのかなと調べてみて驚いたのは、たった3,4分のポップスの楽曲と、平均でもその倍くらいはあるJAZZの楽曲とが同じ値段の150円だという事実です。これはジャズを聴く人にとってはかなりお得な価格設定です。
 ならばと私の頭に浮かんだのは長い曲を演奏させたら右に出るものは無いジョン コルトレーンその人でした。コルトレーンと決めて次に思いついたのは写真にある"One Down, One Up: Live at the Half Note"でした。
 この作品は放送音源の発掘盤で、海賊盤としては知られていたのですが正規にリリースされるのは去年が初めてというものでした。45分番組が2セット収録されていてCD二枚組みとして出版された物でした。二枚組みにもかかわらず演奏されている曲はたったの4曲。つまり1曲あたりの収録時間は20分超という代物です。
 こりゃもうコストパフォーマンスにおいてはこれ以上のものは無いと言えるでしょう。ちなみに国内盤を購入すると3900円。アマゾンで米盤を買うと3289円。4曲入りですからダウンロードで購入すればなんと600円!…  のはずがアルバム全体のダウンロードは1200円と倍になっています。
 どうしてなのかとよくよく確かめると、楽曲前後にMCのアナウンスメントが入っているのですがそれらも楽曲としてカウントされていて計8曲の1200円とアルバム代金が算定されていました。アナウンスメントを600円も払って購入する酔狂な人もいるのかなと思いますが、私はそこまでの度量はありませんので楽曲のみを購入することにしました。
 まずは一曲ということで"My favorite things"をダウンロードしてみました。ダウンロードそのものは難なく終わりました。音源自体の音質がそれほどの品質では有りませんので音そのものはそれほどの不満は感じませんでした。
 楽曲の内容ですが、この時期のコルトレーンのアルバムをお持ちならばあえて購入するまでも無いと思います。演奏内容は平凡ですし、一番悪いのは助走の長いコルトレーンがエンジンがかかりだしたところで番組の収録の都合でショウがフェード アウトしてしまうところです。最後まで収録されていたらもっと素晴しい演奏であったかもしれないのが残念です。
 ということで、他の三曲の購入は見送ることにしました。アルバム全部を購入しなくてもお目当ての曲だけを買えると言うのはダウンロードというシステムの大きな利点だと感じました。
 おまけですが、この作品はアナログレコードでもリリースされていてその実勢価格は6千数百円といったところです。今回に限らずですが音楽の値段は摩訶不思議な物だなと、改めて感じた一件でした。
 しかしこのコルトレーンの演奏はほんとは何分有ったのでしょうかね。40分は軽く有ったろうなと思えるのですが。コルトレーンの演奏にも負けず大きな声で会話しながら食事をするアメリカのお客さんもすごい物だと変な感心をしました。


 

2006年05月05日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:4

クアドロマニアでジャズ天国



 クラシックの世界ではもはや当たり前になっている廉価盤ですが、ジャズでは中々その普及が進まないでいました。最近になってようやく安価なCDが出回るようになり、ブルーノートの名作が1500円で売られたりしてジャズを聴き始めた方はとても重宝するのではないかと思います。
 又、正規のマスターテープから制作されたのではない物で、10枚組みのCDを千数百円ほどで手に入れることも可能なようです。私も試しにデューク エリントンのものを購入したことがあるのですが、音質として満足できる物ではありませんでした。
 以来、この手のものには手を出さないようにしていたのですが先日ふと立ち寄ったレコード店で、4枚組みのCDを購入しました。どうやらドイツの製品のようですが、なぜかしらそのパッケージにはカタカナでクアドロマニアと大書して有ります。どうもそのへんプンプンと怪しさを醸し出してはいたのですが、少しばかり気にかけていたジーン アモンズのものが有ったので買ってしまいました。
期待半分で持ち帰り聴いてみたのですがこれがまあ中々の物でした。47年から55年にかけての演奏が収められているのですが、ディスクコピーにしては音質も満足のいくものでした。そのうえ探し出して聴くには中々難しいアラジン盤の48年のセッションやチェスのシングル盤のものなど希少な音源も含まれていて、とても得した気分になりました。
 これに味をしめてバド パウエルとエロル ガーナーも購入したのですがこれらも同様に満足のいく編集内容でした。版権の関係でしょうが55年までのコンピレーションになりますが、音質、内容共に推薦に足る商品です。特にジャズを聴き始めた人にはこれほどの量のCDをまとめて正規品で揃えようとすると少なくとも数万円はかかると思います。それがたったの千円で買えてしまうのですから言うことなしだと思います。
 もうすでに長らくジャズを聴いておられる方は音源の大部分はダブってしまうかもしれませんが、それでも購入する価値はあると思います。先述したとおりかなり希少な音源も含まれていますし、これだけの曲をデジタル化した音源で所有すると自由自在に聞き比べが出来るのでとても便利です。
 私としてはバド パウエルのセットの中に、もともと複数枚のアルバムに渡って収録されていたクレフのソロが一枚のCDにまとまっていたのでとても嬉しく聴いています。
 調べてみると
  チェット ベーカー    ドン バイアス
  ベニー カーター     ナット キング コール
  マイルズ デイビス    タル ファーロー
  デクスター ゴードン   コールマン ホーキンス
  アート テイタム     レスター ヤング
 などなどまだまだ気になる作品がめじろおしです。

 当分の間クアトロマニアのマイブームは続きそうな気がします。
  
  
 
 

 

2006年05月01日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:2