ショーターの鳥の歌(BlogPet)

一番はsonnyは、妖しく蠱惑的なと思います
しかしながら私は好きではいつに無く人間的なと思わせます


 あまり穿った美しい歌をもそこに聴き取ることができる者のみが、彼を称する言葉には是非聴いてみていただきたいなとか
と考えてしまいます


*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「silver」が書きました。

2006年09月16日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

ショーターの鳥の歌




"1+1" Wayne Shorter Herbie Hancock (Verve)

 ジャズの世界でも天才と称される人が少なからずいらっしゃいます。個人的には天才という言葉を使うのにはかなりためらいがあってめったに使わないのですが、ウエィン ショーターはその名に値する人だと思っています。
 ショーターの場合あちらの世界の人というよりは、全く違う異世界からやってきた人のような感じがあります。まさにショーターワールドとしか言いようの無い世界に、たったワンフレーズで聴く人を引き込む様は、妖しく蠱惑的な力に満ちています。
 そのショーターとは永年の盟友として活躍しているハービー ハンコックもまた人々からは天才と称されることも多いようです。
 オーソドックスなジャズからブラコン、サントラ、果てはオリンピックの公式音楽に至るまでその活躍のフィールドは多岐にわたります。しかしながら私はハンコックの事を天才と呼ぶことには躊躇するものがあります。彼の才能を認めないわけではありませんが、彼を称する言葉には秀才という方が適切なように思えます。
 どんな場所におかれてもその才を発揮するハンコックはジャズの枠組みを超え多くの人々に受け入れられています。他方ショーターの方は彼の造り出すショーターワールドに遊ぶことができる者のみが、彼を賛美するのではないかと思います。
 
 マイルズのグループの頃よりの付き合いで、その演奏も人となりも良く分かりあう二人だけのアルバムとはいったいどんな結果をもたらしたのでしょう
 丁々発止とわたりあう息をもつかせぬアルバムを期待した方も多かったでしょうが、ハンコックは終始ショーターの演奏をサポートに回っています。
 そのショーターの歌いぶりというのがいつものショーターワールドとは少し違っています。幻想的であったり空想的、あるいは魔術的であったりするショーターの演奏が、このアルバムではいつに無く人間的な肉声を感じさせるのです。
 それも朗々とうたいあげるというよりは絶唱というのにふさわしい唄い方になっています。これほど生々しくショーターの身体をさらけ出した演奏は今までには全く無かったと思います。
 そのショーターの歌をこの世の中で一番理解しているであろうハンコックが、受けに回りながらその魅力を最大に惹き出していてさすがだなと思わせます。
 先ほどとても人間的なと言いましたが、それと同時にきわめて純度の高い世界へと昇華した美しい歌をもそこに聴き取ることができます。
 
 気楽に楽しむというには全く不向きですが、他にあまり例を見ない美しい世界を現出させた素晴しいアルバムです。そういった音楽に対峙しようと思われる時には是非聴いてみていただきたいなと思います。

 あまり穿った見方は好きではないのですが「いったいショーターに何が起こったのか」と考えてしまいます。




この記事に記載のアルバム

「1+1」 ウエイン ショーター

2006年09月05日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:4