ちあきなおみのビリー ホリディ




ちあきなおみについては折にふれ気にかけていました。中古レコード屋さんを巡っている時にたまに見かけるちあきなおみのレコードは結構な値がついていて購入する機会がありませんでした。やっぱりジャズのレコードが本命でして。

「四つのお願い」を聞いたのはまだ子供の頃でしたから、彼女の歌がどれほどのものであるかは当時は分かるはずもありませんでした。

けれども今の歌謡番組に現れる新人歌手などとは違って、ぐっと大人びた風情の歌手でした。まぁ、そういう時代であったとも言えるでしょう。

彼女が「喝采」を唄ったころには少し大きくなっていたので、おやおやなんとも心魅かれる歌だなぁと感じ入ってました。ですが、わざわざちあきなおみのレコードを買ってまで聴くと言うほどではありませんでした。その頃は変態ロックに心を奪われていた頃だと思います。

その後ちあきなおみについて目にしたり耳にしたりするのはテレビのCM(タンスにゴン)で話題になった87年頃のことでした。喝采のヒットの頃からこの頃までの間が開いているのは彼女が休業していたと言う理由よりも、私が学生及びサラリーマンとしての多忙な時期でほとんどテレビ番組を見ていなかったせいだと思います。やはり音楽に関してはジャズに夢中になっていたということもあります。

後先はよく覚えていませんが、同じくテレビのコーヒーのCMでの歌声にも耳をそばだてさせられました。そしてその後、行くことは叶わなかったのですが、ちあきなおみがビリーホリディの生涯を舞台で演じるということを知りますます気にはなっていました。

とはいってもまたもやレコードを買うわけではなく、サラリーマンの忙しさの中で、その思いは埋没していったのでした。

先日、「たけしの誰でもピカソ」と言う番組でちあきなおみ特集があるというので録画をしつつ見ました。彼女が「朝日のあたる家」を日本語の歌詞をつけてうたっていたのですが、その歌に惹きつけられおもわず「うむ…」と唸ってしまいました。

彼女がこんなに上手く滋味深い歌い手だったとは。声量のコントロールやピッチの確かさ、リズムに対する後ノリ.前ノリ自由自在。その上に謳い、語り、ささやき、自嘲し、挑発する。

全く素晴しい歌い手です。日本語の歌詞では外国の曲は歌えないなぞと寝言を言う暇があったら、ちあきなおみを聴けといいたいような説得力が有る詩。
 
彼女の映像は四つのお願いを唄っていたころから、88年89年と言った成長を重ねた時期までにわたっていました。最初から素晴しい歌い手でしたがやはり80年代終わりの映像の円熟した姿と歌に大きな感動を覚えました。

それからこの録画した映像を何度くりかえしみたことか。
 
これぐらいの表現力と個性、魅力を兼ね備えた歌手は残念ながら現在の日本のジャズ界には見当たらないのではないかと思います。アメリカでもすぐに思い浮かぶのはカサンドラ ウィルソンぐらいのものですね。いやぁ、彼女の演じるビリー ホリディはいかばかりだったのでしょうか。

私は、彼女の復帰のための請願書があるなら即座に署名する所存であります。

「ちあきなおみ、カムバック~!」




ふと百恵ちゃんはどうしているのかなと思う今日でした。



この記事で紹介のあるばむです
ちあきなおみ VIRTUAL CONCERT 2003 朝日のあたる家


2007年02月23日 レコード トラックバック:1 コメント:6

ジャズメールマガジン発行のお知らせ





こんにちは、毎度お騒がせ致します。Sonnyでございます。

お気付きに方もいらっしゃると思いますが、
このブログの右側にあるサイドバーのプロフィールの上に
なにやら怪しげなフォーマットが設置されています。

メールマガジンというのをご存知でしょうか。
私はついこの間まで知りませんでした。

メールを使って簡単な雑誌の配信を行うシステムのことです。

以前よりジャズに関する私の話を面白がって聞いてくれる方がいらっしゃり
「マスターの話を本にしたらどうですか、出版社は私が紹介しますよ。」
と熱心に何度も勧めて下さるのですが、私にはどうにもその自信がありません。

まとまった文章を決められた期日までに纏め上げるなどということは、ずぼらな性格の私には神の御業のように思えます。

メールマガジンはほんの数ページの量で(つまりはメールですから)書いていけばよく、発行も不定期でよいとのことでこれなら私にも出来るような気がしました。

それでおっちょこちょいにもメルマガの審査をお願いしたら、結構すんなり通ってしまったので発刊の運びとなりました。

ブログもろくに更新しないのに、メルマガが発行できるのかとのもっともな意見もあると思います。実は私自身がそう思っています(笑)。


ブログを書いていてその内容に思い悩むことがあります。

いやおうなく不特定多数の人の目に触れるので差しさわりのあることは記事にしにくいことがあります。とくに、業界の裏話とか、特定の会社や個人の話は書きにくいです。「結構書いているじゃないか」と言うつっこみは無しにしてください(笑)。


また、特定の読者の方とつっこんでお話をしたいと思っても、中途半端に終らざるを得ず、不完全燃焼な気分におちいることもあります。メルマガですと、読者の方が返事を下さった場合は個人的にメールを差し上げることも出来ます。


ブログというものの性質上、読者の方が毎回必ず更新された記事を読んでくださるとは限らないので、記事の内容を深くつっこんで重ねていくのも難しく感じます。ゆえに当たり障りの無い記事に終始するようでスッキリしない気持ちがあります。



といった理由でメルマガでは系統立てたジャズ話や、ブログでは触れることの無いオーディオ、お店の情報や業界話などなど……


少しばかり濃い内容の記事を書きつけようかと思っています。いわば裏Sonnyというか本来の私で行こうかと思います。

もし読んであげようと言う心の優しい方は、右のフォームにメールアドレスをいれて送信してください。それだけで、私からのメールが届くようになります。

気に入らなければ解除をクリックしてメールアドレスと共に送信くだされば配信中止されます。右にもありますように、あなたのメールアドレスはまぐまぐという会社が管理しますので私にメールアドレスが通知されることはありません。

どうぞお気軽に配信を請求ください。

今回は宣伝に終始しました。よろしくお願いいたします。



2007年02月19日 お知らせ トラックバック:0 コメント:4

個性派デュオの成果




"None but the lonely heart"
        ノン バット ザ ロンリー ハート
 Charlie Haden & Chris Anderson
         チャーリー ヘイデン クリス アンダーソン
                  Naim 022


チャーリー ヘイデンという人のベースの音がたまらなく好きです。
まるで塊のような強靭な音色。にもかかわらず柔らかな空間を作り出す不思議なベースです。

ベースの音色だけでなく、音のつむぎ方といいその奏法もとても個性的なベーシストです。ヘイデンはもともとクラリネットの奏者であったそうで、ベースはほとんど我流でマスターしたと言う話をどこかで読んだことがあります。

とんでもなく個性的な演奏と言うのはウェス モンゴメリーの例にもあるように独学から生まれることがままあります。システマティックな演奏の上達法が、ジャズでは演奏の個性を奪うことにもつながると言うのはなんとも面白いことだと思います。


このアルバムでのもう一人の主役のピアニスト、クリス アンダーソンですが極端に寡作であるがために世間でよく知られるのはジャズランドでの"Inverted Image"ぐらいではないでしょうか。

80年前後よりバリー ハリスがクリスのピアノを紹介するのに尽力したおかげで、いくらかは晩年に録音が残っています。バリー ハリスはクリスアンダーソンがピアノを弾いた後では自分が演奏するのはいやだとまで言っています。

盲目のミュージシャンと言うのは独特のタイム感覚や音色使いをすることがあります。一番の例としてはレイ チャールズがあげられると思います。

クリスの和音の使い方や音の配列、タイミングと言うのも全くのワン エンド オンリーなもので、まさに個性の塊のようなピアニストです。
そのユニークな音使いを自分の物にしたくて、ハービー ハンコックが弟子入りを志願したと言うエピソードもあります。またビル エヴァンズも大きな影響を彼から受けました。


クリス アンダーソンとチャーリー ヘイデンという超個性派のデュオというので、想像してみるだけではバラバラに演奏が空中分解してしまうのではないかなとも思えます。

求心的な演奏をするヘイデンとこれまた内省的であるピアニストのクリス アンダーソン。実際にこのアルバムを聴いてみるとこれが実に息のあった演奏になっています。お互いがお互いの音を良く聴いているのが手に取るように分かる演奏です。

演奏する曲もミディアムからスローのバラッズばかりで、じっくりと耳を傾けるのにふさわしいアルバムになっています。そのうち数曲はクリス アンダーソンの独奏です。


また、このアルバムはイギリスのオーディオ メーカーのナイムが細心の注意を払い天井の高い小ホールを借り切って録音を行っています。自然な残響を活かした好録音盤としてもおすすめです。


個性的な哲学者であるベーシストと自分の中にコツコツと音を作りこんできたこれまたユニークな孤高のピアニストとの会話。

聴いてみたいなとはお思いになりませんか。



すいません、ちょっと調べてみましたが少し入手困難なようです。

2007年02月14日 埋もれたCD紹介 トラックバック:1 コメント:6

"Sonny please" 使用上の注意




"Sonny please"   ソニー プリーズ
  Sonny rollins    ソニー ロリンズ
   DOXY9730-2


劇薬が含まれています。こんな方の御使用はおひかえください。
 ロリンズのベストアルバムはサキソフォンコロッサスであると思っている
 50年代のジャズ以外はジャズと認めない
 もうロリンズは昔のように吹けないから面白くない
 ロリンズは吹きすぎるから嫌いだ
 コルトレーンは神様だ


やっとこさ、久々のソニー ロリンズのスタジオ録音である本作を購入し聴きました。前年末には日本盤がレコード店にて販売されていたようですが、一月の末にはアメリカ盤も入荷するとのこと。
ロリンズ自身が設立し自主販売したということが気になって米盤の入荷まで待つことにして昨日手に入れました。

まださらっと二回ばかり聴いただけなのですが、こりゃ本当に驚きました。これほど熱いロリンズが聴けるアルバムはめったにあるもんじゃありません。
「ロリンズのすごさと言うのはライブを体験してみないとわからないですよ」といつも言っていたのですが、この作品はまさにライブのロリンズが真空パックされて入っているような感じに仕上がっています。

ロリンズの一番の魅力は目の前でまさに作り出されていく、アドリブそのものが味わえるところに尽きると思います。今までロリンズが残したアルバムの中でもこれほどそのことが感じられる作品は無かったと思います。
この作品には75歳になるまでたゆまずジャズを極めてきた、ソニー ロリンズの等身大の姿が刻まれています。このアルバムはスポンテニアスなアドリブとはどんなものかを見事に提示してくれます。


ここまで書いてきて、アルバムの曲について様々なことを述べることは無意味だなと感じている自分がいます。

ぜひこのアルバムをお買いになりロリンズがテナーサックス一本で、あなたの眼前に繰り広げだすアドリブの奔流を体験していただきたいと思います。
私の非力な筆の力ではその素晴しさは到底伝えられるものではありません。
私は無責任ですがここで匙を投げさせてもらいます。


出来ることとして、このアルバムを聞くときのアドバイスをおひとつ。
スピーカーの前に陣取って生のサックスの音量に等しいぐらいの大きさで浴びるようにお聴きください。

そんな大きな音は出せないとおっしゃる方へ。
いつもお聴きになっているスピーカーからの距離より、もう一歩もしくは二歩前にお進みの上お聴きください。出来れば右と左のスピーカーの距離をもう少し狭めた方がよい結果が出ます。それも無理ならスピーカーを心持ち内側へと向けられると良いでしょう。


いやー、このアルバム本当にライブのロリンズですわ。惜しむらくはこのロリンズの録音時に居合わせて、聴く者のフィードバックをロリンズ翁にビシビシ返したかったですなぁ。

ロリンズ翁素晴しいアルバムをありがとう。感謝します。


この記事で紹介した作品です
ソニー・プリーズ

2007年02月05日 埋もれたCD紹介 トラックバック:2 コメント:4