いやよいやよもいやのうち?

グラフィティ・ブルース

”Graffiti Blues”  (Mainstrem)
   Blue Mitchell
         グラフィティ ブルーズ
            ブルー ミッチェル
 


私は日本でジャズが流行していたと言う時代を知りません。あのソニー ロリンズが西郷輝彦とテレビで共演したことなどとても信じることが出来ません。

閑古鳥の鳴いているジャズ屋さんしか知りません。店を開ける前からジャズ喫茶の前にお客さんが列をなしていたことなどこれまた信じられません。通っていたジャズ喫茶ではほとんど最年少でした。また良く爺さんたちにいじめられた物でした


そんな私にジャズを楽しみを教え、ジャズの何たるかをリアルタイムで聞かせてくれたのは70年80年代の新譜たちでした。

一般的にはこの時代はフュージョンと呼ばれるアルバムばかりで、聴くに値するアルバムはほとんど無いかのように扱われています。

しかし実際にはそんなことは全く無く優れたアルバムが良心的なレーベルによって多数製造されていました。
 ミューズ ザナドゥ スティープルチェイス タイムレス レッド エンヤ ソネット ソウルノート ブラックセイント ECM イーストウィンド などなど いくらも素晴しいアルバムが生み出されていました。

こんな時代をジャズの暗黒時代のように呼ぶのは事実に反していることだと思います。よく言われるジャズの歴史観などあまりあてに成るものではありません。

悪者にされることの多いフュージョンと呼ばれるアルバムたちですが、全ての作品がコマーシャルにおもねた甘いばかりの演奏であったわけでもありません。

大体じゅっぱひとからげにフュージョンとして作品を評してしまうことにもかなり無理があります。


70年代~80年代の作品に対してこうした想いをいだいていますので、なるだけならこの時代の作品を色々な機会に紹介して聴いていただきたいなと思っています。

ただ困ったことに50年代60年代の佳作に関しては比較的手に入れるのが簡単なのですが、それ以降の作品と言うのは廃盤になったままで手に入れるのは困難なことが多いです。


せっかくいいアルバムを紹介しようとしても手に入れるのが難しいとなると、紹介しても仕方が無いと思って諦めてしまうことも多々有ります。

とっても残念です。


冒頭に紹介したブルーミッチェルの作品ですが多分フュージョンとして見向きもされないことだと思います。

私は結構この作品が好きでして、これはと思う方にこのアルバムをお聞かせするとかなりの割合で気に入ってもらえます。ところが残念なことに廃盤状態で手に入れるのは難しく、色々な手段を使って中古レコードを手に入れるしかない状況でした。

ところが現在なんと日本盤で手に入れられるじゃありませんか。


この作品のメンバーですがドラムズにレイ パウンダー、テナーにハーマン ライリーということで、レス マッキャンを楽しんでおられるような方にはご機嫌なアルバムだとすぐにも想像がつくと思います。

ピアノはジョー サンプルですしハーモニカにドン ベイリーそしてフレディ ロビンソンがギターというはずれなしの豪華メンバーです。

キーボードにはもう一人ウォルター ビショップ参加しているのですが、ブルースインターアクションの販売元ページには「なぜこんなところにビショップが」てな具合にコメントがありました。

この作品の残された73年前後と言うのはビショップはミッチェルのグループメンバーとして活動していたはずです。
ウォルター ビショップと言う人はミューズのリーダー作あたりで、こういったファンキーな演奏も残しています。販売元がそのへんの作品を知らないと言ったところは少しばかり残念な思いです。


ブルー ミッチェルがレイ チャールズのバックバンドで来日したことや、このメインストリームの諸作について、「ジャズで喰えないので商売として仕方なくファンクやソウルの仕事をしている」という評を見かけます。

いったいその評者は演奏のどこを聴いているんでしょうか。ブルー ミッチェルのラッパの音を聴いてみればわかるじゃないですか。

楽しそうにフルに鳴っているミッチェルのトランペット。

文句なくご機嫌なアルバムです。ホレス シルバーやキャノンボールといったファンキーな演奏をお好きな方に、とくにお薦めします。

この記事で紹介したアルバムです。
グラフィティ・ブルース










2007年08月28日 埋もれたCD紹介 トラックバック:1 コメント:6

ミルト ジャクソン がずーっと好き

20070817024831.jpg


"Meet Milt Jackson" SAVOY
   ミート ミルト ジャクソン


ジャズが好きな方とお話する機会が多々あるのですが不思議なことに「ミルト ジャクソンが大好きです」とおっしゃられる方にあったことがありません。

ヴァイブラフォンと言う楽器が、ジャズではそれほど主流を占めているわけではないということがその理由の一つかもしれません。


なにをかくそう私はミルト ジャクソンが大好きです。

ジャズを長らく聴いていくと好きなミュージシャンというものは、ドンドンと変わっていくものです。にもかかわらずミルト ジャクソンに関してはジャズと言うジャンルを意識せずに聴いていた頃から、現在に至るまでずーっと好きなミュージシャンです。

自分の所有しているアルバムの中で一番多いのは多分マイルズ デイビスだと思いますが、その次は文句なくミルト ジャクソンだと思います。

ミルト ジャクソンというと一般の方はすぐにモダンジャズカルテットを思われるようですが、MJQもその他の演奏でもミルトが好きです。
たまにMJQのことをミルト ジャクソン カルテットだと理解しておられる方がいらっしゃいますが、当然のことながらモダン ジャズ カルテットが正解です。

ちなみにMJQと聞いてマンハッタン ジャズ クインテットを連想される方とはあまりお友達にはなれそうもない気がします(笑)。NJQをお好きな方とは意見が合いそうです。


ミルト ジャクソンというと「プレンティ プレンティ オブ ソウル」に代表されるようにソウルフルなプレイが特徴とされています。
それに加えてブルーズの演奏に長けていることも良く知られているところだと思います。

じっと耳を澄ませてミルトのプレイに耳を傾けていただくとわかると思うのですが、彼の演奏はテーマに対して非常に自由に空間を使っていることがわかると思います。

ここまで自由自在に演奏を繰り広げられるのはチャーリー パーカーやソニー ロリンズ位の者ではないか知らんと思います。

ミルト ジャクソンのことを天才と呼ぶにふさわしいと思っている所以はここのところに有ります。

ゆめゆめMJQをジャズの入門編のごときに思われないように願いたいなぁと思ってやみません。もっともジャズを聴き始められた方にもすぐに楽しんでもらえるのがMJQのいいところだと思います。


サヴォイと言うレーベルもここのところパーカーをのぞいては、あまり注目されなくなっているような気がします。

レーベルとして作品に対する一貫した姿勢が希薄でイメージしにくいという気もします。ですが一つ一つの作品はなかなかに滋味深いアルバムが数多く残されています。

ミルトのリーダー作と言うことでは真っ先に「オバス デ ジャズ」があげられることだと思います。フランク ウェスのフルートによる好演もありさわやかな素敵なアルバムです。

冒頭に紹介したのは「ミート ミルト ジャクソン」と銘打って、ヴァイブラフォンによる演奏以外にも、彼のピアノやヴォーカルにもスポットを当てた物になっています。

さてヴァイブ以外のミルトの演奏はと言いますと、残念なことにヴァイブによるものに比べて少し見劣りがするのは止む終えないと思います。ちょっとした旦那芸といったところです。

A面に関してはテナーのラッキー トンプソンを配して、ミルトはヴァイブラフォン奏者に徹しています。ベースにウェンデル マーシャル、ドラムズにケニー クラークということでこの頃のサヴォイのハウス ミュージシャンがつとめています。

結構みすごされがちなんですが、堅実なウェンデル マーシャルのベースが私は好きです。

その上これまた味わいのあるテナーのラッキー トンプソンが好調なソロをとっていますのでもっぱら私はA面をターンテーブルの上に載せることが多くなります。

ブルージーなミルトの演奏に飄々としたソロをとるトンプソンのテナーがとてもいい対になっています。トンプソンと言う人も一般的には知名度が有るとは思えないですが、しっかりとした自分のヴォイスを持ったいいサックス奏者です。

もう一つおまけにあまり録音の無いウェイド レジーのピアノもなかなかの聴きものです。


サヴォイの作品の多くはオジー カデナのプロデュースにより作成されています。彼の手になる作品はとてもリラックスした物が多くしかもダレルことなく品の良いアルバムが残されていると思います。

この作品もカデナのプロデュースによる物で、しっかりと耳を傾けても良し、ボーっと浸るにも良しの好盤です。

録音にはルディ ヴァン ゲルダーがあたっているのですが、この時期のアタックが強めのミルトのヴァイブには彼の録音がピッタリと当てはまっています。

オパスデばかりでは無くこんなアルバムにも耳を傾けていただくと嬉しいです。


この記事で紹介したアルバムです。無理かと思えば手に入るようです。
ミート・ミルト・ジャクソン




2007年08月17日 レコード トラックバック:0 コメント:6

発表(BlogPet)

きょうsilverはsonnyと特定っぽい経営しないです。
でも、sonnyはにわかみたいな発表すればよかった?

*このエントリは、ブログペットの「silver」が書きました。

2007年08月16日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

歌舞伎役者と義経、御前様と笠 智衆そして屋号




ジェイソン モランも東京公演だけであったようですが、クリスポッター入りのデイブ ホランドも大阪公演は無いようで残念です。

なかなかジャズのライブに足を運んでいないのに、相変わらず古典芸能には足しげく通っております。


先週も文楽へと行って来たのですがその前の週には歌舞伎も見てきました。

今回の大阪松竹座歌舞伎公演には市川海老蔵が義経役で出演する予定だったのですが、あいにくの怪我と言うことで代役に坂東薪車が代役を務めていました。


日本人は義経が好きと言うのはもう戦前の話で、現在では何のこっちゃいなというのが大方の意見ではないのでしょうか。

ただ、いまでも「判官びいき」という弱者に対する日本人の心情をあらわすことばは良く使われています。もっとも今の若い子はこの言葉が義経に由来することなど知りはしないと思いますが。


現在においても文楽や歌舞伎をご覧になる方の間では義経の人気は絶大であります。

ほとんどお芝居の筋書きには関係の無い場面でも
 「さしたる用も無かりせば……」
なんて言いながらすぐに引っ込むのに、チョイ役で義経が出演したりします。


たいていの場合義経というのは主役級では有っても台詞の多い役所ではないことが多いです。しかしながら義経というのは二枚目中の二枚目の役ですし、場面がしまるような大きな役者さんがつとめるのが常です。

派手な動きもほとんど無くその場で立っているいるだけで、芝居になるような実力が役者さんには要求されます。

ちょうど映画の寅さんシリーズに出てくる、御前様役と笠 智衆の関係のような物を想像していただくと良いかと思います。


まだお若い坂東薪車には急な代役での義経役はちょっとばかり荷が重かったのは無理からぬことだと思います。

そういえば笠さんが亡くなられてからもその代役は見つからず、御前様はスクリーンには登場せずとも生きていることになっていましたね。



話は変わりますが、坂東薪車の屋号は「音羽屋」です。坂東姓であるからは「大和屋」かと思えばさにあらずです。師匠筋を正確に知っていたならばそれも納得がいく話ですが、なかなかに屋号と言うのはやっかいな物です。


歌舞伎では役を演じている役者さんにこの屋号が盛んに掛け声としてかけられます。

この掛け声と言うのも歌舞伎独特の物ですが、なかなか面白いことだと感じます。

たとえば今回義経役を演じていた坂東薪車には「音羽屋!」と声がかかります。決して「義経!」と声がかかったりはしません。

舞台上の薪車は義経を演じている最中ですから、「義経!」と声がかかりそうなもんですが。

何ゆえに舞台上で繰り広げられている虚構の演技を、ことさらに役者が演じていると知らしめる役者の芸名で声をかけるのか。


舞台は舞台上の虚構の世界が現出されていてるのに、観客達は芸人である実在の役者が演じていることをも意識している。
たぶん、舞台上の役者もまたそのことを当然としている。


これは舞台の外の現実の世界に生きている観客と舞台上のお芝居との間が大きく繋がれていることの現われのように思います。

なんとも歌舞伎の世界とは不思議な巧妙で奥深い世界だと、いまさらながらに感じます。

いやはや古典芸能は面白い。


今回はまとまりも無く思いつくままに書き留めました。

2007年08月08日 ジャズではない話 トラックバック:0 コメント:0