今のところオリン エヴァンズの一番の推薦盤です


"Freedom" (Posi-Tone)
Orrin Evans

Larry McKenna(ts)
Orrin Evans(p)
Dwayne Burno(b)
Byron Landham(ds,per)
Anwar Marshall(ds)


オリン エヴァンズの最近作である「フリーダム」ですが
昨年出版されたピアノトリオの作品の中では間違いなく一番のヘヴィーローテーションでした。

オリンは現在進行形のジャズの中で
ジェイソン モランと共に最重要ピアニストであると
ことあるたびに他人様に推薦しています。

ですが古典的なピアニストの作品に慣れ親しんでいる人たちには
ちょっと難解に聞こえるきらいがありました。

しかしこのアルバムはまったく難解さがなく
ジャズのピアノトリオのアルバムを探している人すべてに
おすすめできる作品です。


まずは一曲目の"One for honor"のさわやかさに
胸のすく想いがしします。

痩躯な女性の長距離ランナーが
街角を駆け抜けていくような映像が自然と心に浮かびます。

短距離ランナーの疾走感ではなくて
あくまでも軽やかに飄々と走るような演奏です。


この曲はチャールズ ファンブロウによるもので
アルバムへの初演はマッコイ タイナートリオで録音されています。
マッコイのピアノにファンブロウのベースですから
当然重量級の演奏となっています。

そのオリジナル"One for honor"が
見事に換骨奪胎されすがすがしい演奏に変貌しています。

このアルバムでは二人のドラマーが起用されているのですが
ここではアンウォー マーシャルが演奏を行っています。

他方のバイロン ランダムのドラムに比べて
マーシャルのドラミングはとても軽やかで
こういった奏者の使い分けにも
エヴァンズの細やかな気遣いが感じられます。

マッコイの演奏しか知らなければ
この曲が持っていたチャーミングな部分を
聴き取ることはできなかったと思います。

こういったところはまさにジャズの醍醐味ですね。


またこのアルバムにはベテランテナー奏者のラリー マッケンナが
二つの曲で演奏を行っています。

それらのテナー入りの二曲が
アルバム中でアクセントになって
アルバムを通して聴いても飽きさせない工夫となっています。

ラリー マッケンナという人を意識して聴いたのは
このアルバムが初めてなのですが
くつろいだ雰囲気と曲想にあわせて演奏を変化させるところに
ベテランとしてのいい意味でのヴァーサタイルさを感じさせます。

特に「タイム アフター タイム」では
まるで ハンク モブリーが生き返ったような演奏で
にんまりとしてしまいました。


いつもいつもオリンのアルバムでの選曲のよさに感心しているのですが
ここでもオルガン奏者シャーリー スコットの佳曲"Oasis"がとりあげられ
またまた彼の曲への目の付けどころに感心させられます。

これまでのアルバムの中にも同じく女性オルガニストのトルーディ ピッツの曲を
取り上げていたのでそういった方面のアルバムにも関心を寄せているのでしょう。


よくこのアルバムのジャケットに目をとおしてみると
左上にトルーディ ピッツとチャールズ ファンブロウに対して
このアルバムが捧げられていることを見出しました。

あれあれと思って
ネット上で検索をかけてみると
二人とも故人となられていました。

あぁ やんぬるかな

合掌



このアルバムの最後には
ハービー ハンコックの"Just enough"が
ピアノソロで演奏されています。

これがこのすばらしいアルバムの
エンディングにふさわしい美しい演奏で
CDを聴き終わった者に大きな満足感を与えています。


オリンの先鋭的なアルバムも素敵ですが
トンガッタ部分を少し隠して
80パーセントのパワーで纏め上げた"Freedom"は
見事な快作になりました。


「オリン エヴァンズがこんなに聞きやすくてええんかいな、マスター!?」
とお客さんに言われましたが
「はい、もちろんええんです!!」
と大きな声で返答しました。

本当にジャズをお聴きのすべての人におすすめするアルバムです。


この記事で紹介したアルバムです
Freedom

2012年02月27日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:4