enja,HWのホルスト ウェーバーに感謝を



先日お越しになった高瀬(高瀬アキさんの弟)さんから
ドイツのジャズレーベル エンヤの創業者であるホルスト ウエーバーさんが
逝去されたことを知らされました。

もう第一線を娘さんに託してしりぞき
隠居仕事として気が向いたアルバムだけを手がけるような状態であったようですが
とても残念なことだと思います。
 
奥様が日本人であることもあるのか
大変な親日家であり日本人のミュージシャンを
いち早くヨーロッパのジャズシーンに紹介したことでも良く知られています。

山下洋輔日野皓正高瀬アキそして若い人たちでは
早坂紗知平林牧子などがその恩恵にあずかっています。



エンヤというレーベルはこのウエーバーとマシアス ウィンケルマンと言う二人によって
1971年にドイツで創業されました。

アメリカではジャズに対するレコーディングが少なくなりつつあった時期に
クラーク テリーのようなオーソドックスなジャズから
ハンニバル ピーターソン、デビッド マレイといった先鋭的なジャズまで
幅広い様々なジャズ世に送り出した功績は計り知れないものがあります。

ジャズを70年代に入ってから本格的に聴きだした私にとっては
MPS、ECMと並んでこのドイツのレーベルは
ジャズ喫茶で散々聴いてきた音楽でもあり
思い出深いものがあります。

70年代から80年半ばまでのジャズが
決して不毛ではなかったと言うことが
これらのジャズレーベルによっても証明されています。


エンヤというレーベルを語る上で少し気をつけなければならない事があります。
前述のように二人のドイツ人によって創業されたエンヤですが
1986年にこの二人は袂を分かつことになります。

そしてややこしいことに二人ともが
エンヤというレーベル名でその後もリリースを続けているのです。

したがって同じエンヤという名前のもとで86年以降も多くのアルバムが
出版されているのですが実際には二つの会社からリリースされているのです。

詳しく出版元をアルバムクレジットで確認すると
enja HMと記入されているものとenja MWとあるものがわかるはずです。

それぞれウェーバーの会社とウィンケルマンの会社から出版されたものだとわかります。

今のようにネットで直接購入が出来るようになって
あまり問題はなくなっているのですが
昔はレコード屋さんに注文をしても
どちらのエンヤから出版されたものかわからずに
注文が混乱することが良くありました。

現在に至るまで二つのエンヤから
アルバムが製作され続けています。


今回この記事を書くにあたってエンヤのレコードリストを
ネット上で確認しようとしたのですが二つの会社の間で
ホームページ上のカタログが分散していてわずらわしく
久しぶりにエンヤで混乱をきたしました(苦笑)。

その上現在は廃盤になってしまった作品も多く
完全なエンヤのレコードリストは確認することがかないませんでした。


確認することが出来はしなかったのですが
エンヤのファーストリリースのアルバムは
マル ウォルドロンのものであったと思います。

同じドイツのレーベルECMもマル ウォルドロンの作品が
ファーストリリースであったのはとても興味深いことだと感じます。



とても幅広いジャズをカヴァーしていたエンヤですが
その中で日本人になじみの深い作品と言えば
トミー フラナガンのアルバムがあげられると思います。

まずはエルヴィンとの再共演が話題となった

が代表作にあげられます。

個人的にはブログでも取り上げたセロニカに思い入れがあります。


ブログで取り上げたと言えばフレディ ハバードのこの作品も

エンヤのアルバムでしたね。



思いつくままにあげますと

アート テーラーの健在ぶりがうれしかった



箍の外れたジョーヘンダーソンの怪演が聴ける



チャーリー ラウズとベニー ベイリーの溶け合った演奏がしみじみといい


などなど……いくらでもあげていくことが出来ます。



いずれも新譜として同時代に共時性をもって聴いて来た
わたしにとって思い入れのあるアルバムたちです。

当時は(今も若干そうですが)ヨーロッパ盤の値段がかなり高くて
買うときには少し勇気がいったものでした。

それも含めてエンヤというレーベルには
様々な思いが詰まっています。


ホルスト ウェーバー
素敵なアルバムたちを本当にありがとうございました。

                      合掌





2012年03月14日 私のジャズ トラックバック:0 コメント:0

北 公次の墓標 エピタフ



フォーリーブスの北 公次が亡くなったと聞いて
まず思い浮かべたのはキング クリムゾンの名作である "Epitaph"のことでした。



私は高校生のころからいわゆるプログレッシブロックを愛聴するようになったのですが
キング クリムゾンについてはそれほど好感を持っていませんでした。

イエスやピンクフロイドといったグループに比べると
どうにもアルバムに収められた各曲に統一感がなく
アルバムコンセプトに欠けるような気がしていました。

その上にアルバム中に歌謡曲然としたメロディーを持つ曲が散見され
なんだかなじめないと言うのが本心でした。

その歌謡曲のようなというクリムゾンの作品のきわめつけが
この「エピタフ」でした。



クリムゾンの名曲として名高い「エピタフ」ですが
お聞きのとおりかなり時代もかんじさせるベタなメロディーで
すぐにでも日本人が歌いそうな曲想です。

それにたがわず多くの日本人歌手がこの曲を
まさにカヴァーしています。

有名なところでは西城 秀樹やザ ピーナッツのものが知られています。

この二組のものは英文のシンフィールド歌詞が使用されていて
演奏もほぼ原曲に忠実に再現するようにこころみられています。

個人的にはそれならば
グレッグ レイクのうたう原曲に軍配を上げたいところです。



さてこの「エピタフ」に日本語の歌詞をつけて
うたっているのが北 公次です。



お聞きになってどうお感じになったでしょうか。

歌詞には安井 かずみ!があたっています。
原詩の意味をなぞるのではなく
曲想から日本語の歌詞を新たに創作しています。

この「エピタフ」の持つメロディーに
北 公次の退廃的なヴォーカルと
安井 かずみの新たな歌詞が見事に溶け合って
すばらしい「エピタフ」が作り出されています。

日本人が原英詩の曲を日本語で歌う
お手本のような例だと言っていいのではないでしょうか。

個人的にはキング クリムゾン版の「エピタフ」よりも
北 公次版の「エピタフ」に一票です。



と言ったような経緯が
私の頭にあったので
北 公次が亡くなったと聞いて真っ先に思い浮かべたのが
「エピタフ(墓標)」でした。

Confusion will be his epitaph ……
 
                   合掌



この記事で触れたアルバムです
In the Court of the Crimson King


p.s.
このアルバムのジャケットを見るたびに
京都にあったロック喫茶「ニコニコ亭」を思い起こします。
きっと私だけではないはず。



2012年03月08日 ジャズではない話 トラックバック:0 コメント:0