白いジャズ、黒いジャズ ジャズの色

今時よく使われるかどうかはわからないのですが
「白いジャズ」
「黒いジャズ」
なんて表現がされることがありました。

白いジャズとは白人系のジャズ
つまりはビル エヴァンズであるとかズーとシムズなどのジャズ。

黒いジャズとは黒人系のジャズ
ソニー ロリンズとかバド パウエルなどのジャズのことを指していました。

その伝でいくならば
日本人のジャズのことを黄色いジャズと呼ぶこともありました。


ジャズ喫茶もたくさんあった頃には
「あの店はクロだけれどここはシロだよ」
なんて使い方もされました。

ただ誤解されていることが多いのですが
あくまでもジャズのプレイスタイルを指しているので
白人の演奏したものでも黒いジャズという事もあります。

JR モンテローズなんかがそんな例ですね。


このブログをご覧になる方や私を知る人には説明も不要でしょうが
私は基本的に黒いジャズを主として聴いてきました。

自分に馴染みやすかったジャズがそうであったのと
通うようになったジャズ喫茶が黒いモダン系のところが多かったせいだと思います。

ジャズの世界というのはかなり広大に広がっていますので
なかなかすべてのジャズを楽しむというのは難しいことです。

色々なジャズを楽しむ為には
それらを聴くための様々なものさしが必要となり
結局あるカテゴリーのジャズを中心に楽しむことになるような気がします。

いろんなジャズを聴いてみたい気持ちはあるのですが
一度の人生の時間には限りがあるので
そうそう守備範囲を広げるわけにもいきません。


というようなわけで
ずっと黒いジャズを中心に聴いているのですが
 
多分27か8ぐらいの歳であったと思うのですが
ポール ブレイのおかげでジャズの世界観が広がったことがありました。


ある時その昔ですな
いつものように中古レコード店で
餌箱を物色していたのですが思うように欲しいものがありません。

こんな時に無理して欲しくもないレコードを買ったりすると
全くの大外れを引くことが多いわけで
その日は諦めて手ぶらで帰ろうとしたのですが……

餌箱の中にあった一枚のレコードが
とても気にかかったのです。

それが

"Alone Again" (IAI)
paul bley


でした。


ジャケット自体は何かの本で見たような気もするのですが
私が通うようなジャズ喫茶で聴いた覚えは全くありません。

発売レーベルだって全く聞いたこともありません。
  (後にブレイ自身の設立したレーベルだと判明)

どうしたものかなと少し悩みましたが
結局そのレコードを買って帰ることにしました。


いつもならば帰りに行きつけのジャズ喫茶によるところですが
ポール ブレイのレコードを持って行くのも気が引けて
まっすぐに家に帰りました。


食事を済ませてから
 「どうかなぁ」  と思いながら
このレコードに針を落としてみたのですが

一曲目の一音めから耳を引き付けられました。

硬質でクリアでありながら冷たくはなく
とても思慮深く孤高なブレイのピアノの音色。


ブレイが自身の中に確固として持っているヴィジョンを
ゆっくりと的確に表現していきます。


見る見るうちに私は彼の世界のなかに吸い寄せられ
瞠目するように音楽に耳を済ませました。


今まで自分が聴きなじんできたジャズの世界観とは全く異なるものでした。

であるにもかかわらずジャズであるとは思えるのです。

そして大きな感動と満足感。


このアルバムを聴き終えた後に
必然的に考えざるを得なくなりました。

  「ジャズを成立させている主要な要因とは……」

一般に言われているのは
  スィング  ブルーズ  アドリブ  インタープレイ
  自由さ  新しさ


このプレイのアルバムで感じたジャズは
私のいままで感じていたジャズとは接点が全くないように思えました。


まるで命をあたえられた西洋建築のような
精緻で確固たるブレイが提示たジャズの世界 



 そうか白人にもオリジナルなジャズの世界があるんやな
 きっとブレイは神がいると確信しているんやろうな


わたしがポール ブレイによって
ジャスの異世界の扉を開かされた瞬間でした。

そしてジャズが途方もない大きな世界であるということも













2017年04月24日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:7

ELP、セントトーマス、クォーテーションのお話

ジャズのアドリブ演奏の中で使われる手法の一つに「クォーテーション」があります。

クォーテーション(quotation)つまりは引用のことです。
”quotation markのクォーテーションですな。

ジャズのアドリブ中に他の楽曲のフレーズの一部を
そのまま使って演奏をすることをさしてそう呼ばれます。

ビバップの演奏ではこのクォーテションがよく使われました。
チャーリー パーカーやディジー ガレスピーなどもよく使っています。

ただこのクォーテーションという手法もあまり頻発したり
使いどころを誤るとだらけた趣味の悪い演奏になってしまい
結構使用するのはセンスが必要であります。


ソニー ロリンズはこのクォーテーションの名手としても知られています。

ロリンズの演奏を聴いているとフォスターの草競馬が
いつ引用されるか少しばかり気になったりします。


クォーテーションを良くするロリンズですが
彼の代表作とされる「セント トーマス」は
他の多くのミュージシャンからクォーテーションをされる曲でもあります。




数々のジャズミュージシャンたちが様々な演奏で
ロリンズの「セント トーマス」を引用しているのですが
30年ぶりぐらいに下記のアルバムを聴いていて
あっと驚き、にんまりしてしまいました。


”Brain Salad Surgery”
ELP

このアルバム中の白眉である大作組曲"Karn Evil 9"の中で
キース エマーソンがセント トーマスのテーマ冒頭のフレーズを
演奏していました。

プログレッシブロックの演奏者たちが
ジャズから大きな影響を受けていると指摘されますが
ここまではっきりクォーテーションを確認できるものがあるのですなぁ。

そう言えば昔イエスのリハーサル風景を収めたビデオの中で
その合間にリック ウェイクマンがナット アダリーの「ワークソング」を
いきなり演奏し始めて驚いたことがあるのを思い出しました。

またぞろしばらく昔のプログレッシブロックのアルバムを
引っ張り出して聴くことになりそうな予感(苦笑)


さて、ジャズの作品の中で引用されている「セント トーマス」をと思い
気が付いたのがいつかはどこかで紹介しようと思っていた作品

"Free Fall"
Melissa aldana

メリッサ アルダナはモンク コンペティションで優勝し
少しは名が知られるようになったチリ出身の女性テナー サックス奏者。

その演奏だけを聴いて女性奏者であると気づく人は
何人いるかと思う闊達な演奏振りが好ましいです。

彼女がこのアルバム中の曲"Flip Flop"の中で
ロリンズの「セント トーマス」を引用しています。

もう少しメリッサの名前がジャズファンの中で知られるといいですね。


2017年04月02日 未分類 トラックバック:0 コメント:0