"Rain check"- 「雨切符」 でポンと膝を打つ


"...And His Mother Called Him Bill" (RCA)
Duke Ellington


長年の懸案ともいえるエリントンなんですけれども
主食のモダンジャズを消化する合間をみながら
少しずつすこしずつ食べています。

冒頭のアルバムは先年に物故したビリー ストレイホーンに捧げた
追悼アルバムとして作成されました。

68年の作品ですのでエリントンの作品としては晩年のものになります。


私が手にしたアルバムは日本製作の物であったのですが
まずアルバムの曲目を眺めていて「おやっ」と感じた曲がありました。

「雨切符」ってなんのこと???
あーっ "Rain check"のことかぁ

"Rain check"と言えば
モダンジャズとして有名なのはなんといっても

"Work time" (Prestige)
Sonny Rollins


での若き日のソニー ロリンズの
快活にして豪快な演奏でありましょうな。


私は基本的にはアメリカの作品は
オリジナル盤ではなくともできるだけアメリカ盤で購入していますので
結構演奏曲の日本語によるタイトルは知らないことが多いです。

また、同一の曲について複数の日本語タイトルが
使用されていることもあります。

「雨切符」は初めてですなぁ
だいたいこんな日本語あるのかしらん


"Rain check"という言葉を辞書で確認したことはありませんが
PAのマイクのチェックの時に
「チェック チェック マイクチェック」なんて言いますが
あんな感じで雨が降っているかを確認することだと思っていました。


"RAINCHECK" (Concord)
Louie Bellson


このルイ ベルソン(この人もエリントニアンですな)のジャケットにあるように
 「雨を確認する仕草」
こんな感じですな。

ちなみにこのアルバムについては以前の記事でも
紹介したことがありますね。


 うーん、それにしても雨切符っていう言葉自体になじみがないなぁ
と思いながら一瞬ひらめくものがあり
"Rain check"をネットで検索してみると結果
   ((米))雨天延期試合入場引き換え券

なるほど
それでルイ ベルソンはお茶目に野球のユニホーム姿なのね

合点 合点 ガッテン


それにしても「雨切符」てな訳はどうでしょうなぁ
「雨天延期試合入場引き換え券」では長すぎますしねぇ
なかなかに「巴里祭」ばりの超訳は思いつかないものですね。


ところでこの作品ですけれども
オリジナルのライナーノーツにも触れられている通り
最後のエリントンのソロピアノによる演奏
"Lotus Blossom"

レコーディング終了後メンバー達が片づけをするさざめきの中
いつくしむように弾かれていてこの上もなく美しく
掉尾をがざるに素晴らしいものとなっています。

CDでの追加曲は
ほんまに蛇足ですわ

アルバムは完成しているのにねぇ
残念










2017年08月15日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

日本以外ではさほどの事ではないのだろうけれども

前回の記事で逡巡したのですが
結局のところチェット ベイカーの評伝

「終わりなき闇」 ジェイムズ ギャビン

を読むことになりました。
いまだ三分の一ぐらいをやっと読破したところなのですが
明らかな誤訳もしくは原作の誤記があり気になりました。

結構欧米の翻訳本にありがちな誤訳なんですが
兄弟の順序に誤りがありました。


有名な兄弟ジャズミュージシャンであるアダリー ブラザーズですが
お兄ちゃんがジュリアン ”キャノンボール”で
弟がナットです。

欧米ではあまり長幼の序列を問題にしないようで
原書ではただ"brother"と記述されることが多いので
翻訳者が適当に訳すと兄、弟が良く誤っていることがあります。

ちゃんとした出版社では校正係がチェックするはずですが
この本では訂正を見過ごされたようです。

ひょっとすると原書が誤っている可能性もありますが。


もう一つ兄弟の取り違えがあったのが
パウエル兄弟についてでした。

アダリー兄弟に比べれば
兄弟ミュージシャンとしての認知は劣るでしょうが
著名なバド パウエルにはリッチーという弟がいます。

ほぼ録音としてリッチーが名を残しているのは
マックス ローチ - クリフォード ブラウンのグループによるものです。

ただブラウンが亡くなる原因となった自動車事故により夭逝してしまい
兄のバドほどには名を残すことがありませんでした。

さて今述べたように兄がパウエルで弟がリッチーなのですが
これまた逆の記述になっていました。

これも原書の誤りである可能性も否定できませんけれども。


この記述箇所にはもう一つ誤りがありました。

これは訳者の責ではなく著者の誤りだと思いますが
前述のクリフォード ブラウンの交通事故についてですが
事故当時に運転していたのはブラウニーだと記されています。

実際にはリッチー パウエルの妻が運転し事故を起こしたとされています。

ブラウニーも事故の責を負わされるのは
良しとはしにくいことだと思います。


こう誤りが多く記述されているとノンフィクションである
本作の信憑性が疑われるものとなりましょうなぁ。

私が読んでいるのは初版本なので
後刷りでは訂正されているかも。


なにせ500ページ二段切りの大部ゆえ
つづきを読むのも迷うところですけれども
内容は知らないことが多く記されていて興味深いので読み進めています。

うーん
ゲッツの悪漢ぶりはつとに有名で知っていましたが
マリガンもたいしたもんですなぁ。

いやぁ 興味深い。









2017年08月14日 未分類 トラックバック:0 コメント:0

いやいやそんないい人じゃありませんて  チェット ベイカー


Miles Aheadを見たついでといってはなんですが
同時期に公開された"Born to be blue"も鑑賞しました。

"Born to be blue"はチェット ベイカーの半生を描いた映画です。
アフロアメリカンのジャズを主食としてきた私にっとて
チェット ベイカーというミュージシャンはそれほど馴染みのある人ではありません。
 
実際のところ"Born to be blue"という曲が
どのアルバムに収録されているかもわからず調べてみると


"BABY BREEZE" (Limelight)
Chet Baker

にありました。

チェット ベイカーの有名アルバムというのは
多分リバーサイドやパシフィックに残された辺りだとおもうのですが
このアルバムもファンには良く知られているものなのでしょうかねぇ。

さて例によってネット上で映画のネタばらしは避けますが
Miles Ahead同様に実際のチェットの半生とは
かなり隔たりのある内容となっています。

自堕落なチェットの人生を
極めて好意的に解釈して
あたかも絵になるように嘘でかためたような
   といったかんじですねぇ

実在のチェットの生きざまを無視してしまえば
映画としては鑑賞に堪えうる作品だと思います。

特筆すべきは映像の美しさでしょうか。


著名な写真家クラクストンによるチェット ベイカーの写真集

"Young Chet"

を眺めながら彼のエピソードについて
歌舞伎的綯い交ぜ手法を用いた作品とでも言えばいいでしょうか。


ただマイルズの映画と同様に
この映画の通りにチェット像を信じてしまうのはかなり問題ありです。


私の知る限りこの映画に出てくるような
チェットに献身的に尽くす恋人は全く存在しないはずです。

そしてチェット自身もこれほど人間味あふれるような人物とは
言い難いものであったと聞いています。


チェット ベーカーの実像を語ったノンフィクション作として

「終わりなき闇」 ジェイムズ ギャビン
500頁の二段ぎりハードカバーがつとに有名なのですが
あまりの大部に二の足を踏んでいるのですけれど
  さて 読もうか よむまいか

どうしようかしらん
ジャンキーの人生を垣間見るだけでも疲れそうですなぁ








2017年08月05日 未分類 トラックバック:0 コメント:0