ドイツのカーネギー ホールでウディ ショウが演奏?


"At Onkel Po's Carnegie Hall" (jazzline)
Woody Shaw,
Steve Turre(tb),
Mulgrew Miller(p),
James Stafford(b),
Tony Reedus(ds)


1970年代から90年に至る間にストレートアヘッドなジャズを演奏した
パーマネント グループと言えばまずはウディ ショウのグループが
思いつきます。

他にはジョージ アダムズ-ドン プーレンのグループ
そしてかつてはウディ ショウも在籍した
ブレイキー率いるジャズメッセンジャーズと言ったところでしょうか。


個人的にリアルタイムにこの時期を多感な青年期に過ごした私にとっては
ウディ ショウの熱いトランペットには少しく思い入れがあります。

ショウの早すぎた死の後も遺族が中心となって様々な発掘盤が
最近に至るも多数発売されています。

ファンにとってはとても嬉しいことですが
リアルタイムのジャズを追っかけることが主な私にとって
過去の演奏をすべて追いかけるわけにもいかずに
痛しかゆしと言ったところです。


で、
冒頭に挙げたアルバムですが参加メンバーをみるとわかるとおりで
特にゲストミュージシャンがいるわけでもなく同メンバーによるアルバムも
複数存在するので買うのも躊躇したのですが結局購入……

期待と心配が相半ばしながら聴いてみると
これは素晴らしい演奏でした。

今まで発表されているショウのライブ音源の中でも最良の一つだと思います。


オンケル ポーのカーネギー ホールと言う初めて聞いた場所での録音で
「カーネギー ホール」と言うからには数千人規模のホールかと思いきや
観客の拍手や歓声から推量するに7~80人ぐらいのライブハウスのようです。

その親密さを感じ取れる規模の箱がとても良い結果を生んでいます。

観客たちが熱心に演奏を聴いているのがよくわかりますし
この時期のウディ ショウのメンバーたちがそれに応えるように
ますますヒート アップするのがわかります。

ウディ ショウが気の無い演奏をすることなど当然ありませんけれども
デビュー 当時のマルグリユー ミラーってこんな感じだったよなぁ
なんて懐かしく思い返しています。


録音に関してもNDRのクレジットがあるのでラジオの放送音源であったのか
ライブ録音にしては良く録れているほうだと思います。

日本発売の代理店であるキングレコードのサイトを見ると
レーベル名はジャズラインとなっているのですけれども
CD番号はNから始まるNDRのモノのようでちょっとそこら辺の
発売関係はよくわかりませんでした。




このオンケル ポーのカーネギー ホールの音源は多数あるようで
すでにエルヴィン ジョーンズやディジー カレスピー、チェット ベイカー
アルバート コリンズやエスター フィリップスに至るまで
様々なジャンルにまたがって一度に発売されています。

私は未聴ですけれども興味がおありなら一度検索してみられると
良いと思います。


ちなみによく見るとこのアルバムにはvol.1とありますので
以降にもシリーズ発行されると予想されます。

あっ背文字にウディ ショウ カルテットってあるのはご愛敬ですな(笑)


またLPでのリリースもあるようですが
CDとくらべて2000円ほど高いので私は見送りました。

1000円アップなら買っていたかもしれないです
あぶない あぶない(笑)


こういった熱いアルバムこそ黒ーいジャズ喫茶で
大音量で浴びるように聴くのが最高なんですけれども

心当たりのある方はどうぞジャズ喫茶へゴー!!
  って 無理かぁ



この記事で紹介したアルバムです
"At Onkel Po's Carnegie Hall"





2018年03月28日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:0

ブラッド メルドーとバッハの邂逅と関係性


"AFTER BACH" (nonsuch)
BRAD MEHLDAU


現在においては白人ジャズピアニストの中で一番の大きな才能を持つ人として
ブラッド メルドーの名をあげることにはためらいがありません。

一時期は若干停滞期があるように見受けられましたが近年は
力のある作品を着々と残しています。

一昨年に紹介したジョシュア レッドマンとの作品もそうでした。


今月に入って発表されたばかりのソロアルバムも素晴らしい作品になりました。

音楽界の巨人であるバッハに焦点を当てた作品になっているのですが
冒頭の曲と終曲は自作によるアルバムのプロローグとエピローグになっています。

そしてその他の曲はまずはバッハの曲が原曲通り楽譜に沿って演奏され
次にはその曲にインスパイアーされたメルドーによる自由な演奏が
繰り広げられるという仕組みになっています。

こういった曲の構成によりバッハの原曲が持つ演奏の意味や特徴
そしてメルドーが触発された自身の受容や発露が聴けることになり
とても興味深く聴くことができました。


以前のジョシュアとの共作を取り上げた時にも書いたと思うのですが
メルドーの演奏には神を持つが故の孤独を強く感じます。

もしくは神と言う存在を必要とせざるをえない孤独であるのかもしれません。

バッハが作成した曲と言うのは基本的には神を対象とし作曲されているわけで
メルドーがバッハの曲を演奏するのは至極当然であり必然であったと感じます。


このアルバムはタイトルのままに神を中心に置いて
メルドーがバッハの世界を経験し
自身がそれにより発露したものの大成であるとらえていいと思います。



"Elegiac Cycle" (warner)
BRAD MEHLDAU


上記の作品はメルドーのとてつもない孤独を感じた同じく
ピアノソロの作品である「エレジアク サイクル」です。

この作品の発売がもう20年近くも前であったのに少し感慨深いものがありますが
先の作品と比べ併せて聴くことでブラッド メルドーがこの短くない年月の間に
得たもの 捨てたもの  そして変化したものが良く感じられます。


二作品とも簡単に聞き流すわけにはいかない力強いアルバムに仕上がっているため
一度に聴きとおすのは難しいでしょうが是非セットで聴いていただきたいです。

たまにはちょっと力を入れて音楽と対峙するのもいいです。
   たまにはね





さっき調べていて気が付いたんですけれども
あしたはバッハ(もちろん大きいほう)のお誕生日だそうです
  うふふ 無伴奏チェロでもきこうかしら




2018年03月19日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:0

呂仁の巽さんからナット キング コールの10吋盤のプレゼント

nat king cole

守口のバー呂仁のCD電脳化をお手伝いしたお礼に
ナット キング コールの10吋盤を頂戴しました。

1952年録音のキャピトル盤"Penthouse Serenade"です。


呂仁でこのレコードを聴かせていただいた時に下さろうとしたのですが
一度は遠慮させていただきました。

ところが先日巽さんがご持参くださり頂くことになりました。
ありがたいことです。

実を言うと呂仁には10吋盤を正確に再生する為のアンプが無く
ちゃんとした音では聴けなかったのです。

私の使用している旧いですが愛機マッキントッシュのC20では
正確に10吋盤を再生する為のコンペンセーター機能があります。

そこで早速巽さんも一緒に「ペントハウス セレナーデ」お聴きいただきました。


折角ですのでモノラルカートリッジに付け替えて
キャピトル盤の33回転での規定値にコンペンセーターを合わせて針を下します。

「ええなぁ、うちではこんな風にはこのレコードは鳴らんわ
 ソニーさんとこで聴くとうちでは聴けんなぁ」
「あたりまえですがな 部屋も物もちがいますがな(笑)」
  申し添えますが呂仁でもマッキントッシュのアンプにJBLのスピーカーで
  普通では聴けない程度の良い音で音楽が鳴っています


試しにRIAAのイコライジングに設定して10吋レコードを再生すると
高域が全く減衰してしまい低域もブーミーで
平板な面白味のない音でつまらない音楽に聞こえてしまいます。

やはり10インチレコード再生には正しいイコライジングは必須です。

コレクターとして10吋レコードを買う方には関係の無いことですが。



「ペントハウス セレナーデ」ではナットは歌をうたわずにピアニストに専念しています。

前にも記事でナットのピアニストとしての実力を称賛したのですが
その魅力を存分に味わえる数少ないアルバムです。


その歌声と同様にナットのピアノは一音一音が明晰です。

ですがピアノの音が金釘流にボキボキなることはなく
非常に強い歌心でつながり紡がれていきます。

ゆったりとした「ローラ」の演奏を聴けばただちにそのことが
理解いただけると思います。

ナットだけが持ち得る美しくゆったりとした強いゆらぎ
至福の至りです。


ジャケットのライナーノーツにこう記されています。
  数多くの人にナットのボーカルスタイルは楽しまれているけれども
  数少ない人たちに全く優れた味わいと優雅さを持つピアニストであると
  彼は知られている

賢明なレコードの制作者がキャピトルにいたことに感謝です。



CD化はされているのか調べるとありました。

"Penthouse Serenade"  (capitol)
Nat "King" Cole


ボーナストラックとしてボーカル入りの演奏が付加されていますが
お聴きになるときにはオリジナルのアルバムの曲だけを選択して
最初はお聴きになることをおすすめします。

ピアニストとしての彼がもっと人に知られますように




2018年03月14日 レコード トラックバック:0 コメント:0

やっと思い出したバッドプラスとオリン エヴァンズのつながり

先月の記事でバッドプラスにオリン エヴァンズが加入したことを書きました。

その時にはオリン エヴァンズとバッドプラスに接点を見いだせずに
驚いたといったのですが全くもって失念していました。

"LISTEN TO THE BAND" (criss cross)
Orrin Evans


このアルバムでデビューしたオリン エヴァンズ擁する"The Band"のメンバーに
ベース奏者としてバッドプラスで名をはせることになるリード アンダーソンが参加しています。

1999年発売のアルバムですのでバッドプラスのアルバムデビューよりも
こちらの作品が先にリリースされていることになります。

ライナーノーツによるとそもそもこの「ザ バンド」なるグループが
オリン エヴァンズ、ナシート ウェイツ、リード アンダーソンの
リズム隊を核として派生したグループだという事です。

であれば当然のことながらリード アンダーソンはメンバー集めとしての参加ではなく
オリン エヴァンズと親密な関係であったと理解すべきでしょう。

従ってバッドプラスへのオリン エヴァンズの参加は突然なものではなく
ちゃーんと出来るべくして出来たものだったのですね。


まったくどんどん記憶が衰えてきて気が付くのに時間がかかりました。

アルバムの内容としては結構トンガッタものですけれど
しっかりと構成が練られていて完成度が高いものに仕上がっています。


この「ザ バンド」の作品としてはオリン エヴァンズ名義ではなくて
バンド自身の作品としてもう一作が残されています。

"Live at Widener University" (imani)
Orrin evans


このアルバムは2004年にリリースされていて
ワイドナー大学でのコンサートのライブ録音です。

個人的にはリード アンダーソンが若干前のめりになるのが
少し気になるところですが。

先のアルバムに比べるとライブ録音ならではの
熱さが感じられる演奏です。

アマゾンのカスタマーレビューにはこのアルバムが
ボブ ディランのバックバンドである「ザ バンド」ではないと
怒りの一つ星の投稿が(爆)

その気持ちもわからなくはないですけれども
私としては★四つ献上です。









2018年03月09日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

「ビリー ジョーのうた」は白い「セント ジェイムズ病院」だったのか

"Ode to Billie Joe"と言う曲があります。

ジャズのインストゥルメンタルの曲としてはそれほどメジャーではありません。

私はこの曲をソニー クリスの

"The Beat Goes On!" (prestige)
Sonny Criss


で知りました。

このアルバムは1968年の録音ですが
この時期のソニー クリスはビバッパーとしてならしていた昔と比べて
音色もたくましくなりぐっと表現もブルージーになり好調です。

ソニー クリスの手になる「オウド トゥー ビリー ジョー」は
ゆったりとしてジャズロックの味付けをされたうえで
まさにクリス節全開でブルージーに展開します。

それゆえ「オウド トゥー ビリー ジョー」という曲のことを
ブルーズメンの手になる作品であると思っていました。


その次にこの曲に行き当たったのはルー ドナルドソンの

"Mr. Shing-A-Ling" (bluenote)
Lou Donaldson


ヒット作となった「アリゲーター ブガルー」の次に発表された作品で
演奏されている「オウド トゥー ビリー ジョー」もその流儀でアレンジされています。

もちろんブルージーではありますがファンキーでソウルフルな味わいをもった
佳作に仕上がっていて面白いです。

先のソニー クリスの演奏と合わせて聴くと
二人のアルティスとの指向の違いがはっきりと表れていて
とても興味深く楽しめます。


その他にはこれと言って「オウド トゥー ビリー ジョー」の演奏に
出くわすこともなくいたのですが

ある時ネットラジオから聴こえてきたのは
白人女性の力強くはあるが淡々とした歌声で
ギターを伴奏としてストリングスの入った物でした。

ジャズによる演奏ではないとすぐにわかったのですが
かといって何のジャンルであるかは定かではありません。

その力のある曲に耳をそばだてさせられて
演奏者やアルバムを確認すると

"Ode to Billie Joe" (capitol)
Bobbie Gentry


全く未知の演者アルバムでしたので調べてみると
ボビー ジェントリーと言う人はカントリー ミュージシャンであるらしいです。

ミシシッピーの出身であるとのことで
所謂デルタブルーズの影響が強い歌となったのでしょう。

カントリーミュージックもまたブルーズの影響があると聞いていましたが
これはもう白いブルーズであると言って差し支えないと思います。


そして"Ode to Billie Joe"は彼女自身の作品であり
これこそがオリジナルであったのです。

 やはりオリジナルは力があるわぁ

この作品はビルボードでも週間一位の座を勝ち取り
なんと1967年度の年間売り上げ三位を誇っています。

その割には私にはそれほどのなじみのないきょくですねぇ。
たぶん団塊ぐらいの方たちだと知っているんでしょうがねぇ。


乗り掛かった舟でインストでしか知らなかったので
歌詞を調べてみると
いやまぁ なんとも全くのブルーズですわ。

ここでその内容を開陳する元気もないので
興味のある方は検索してみてください。


白人たちも胸を張って言えますな
"I Gotta Right to Sing the Blues"



それにしてもボビーのこの曲の発表が67年
ルーが取り上げたのが何と同年67年
クリスが68年

今に比べればまだまだジャズシーンが
生き生きとしていた証拠ですなぁ。

ありきたりのスタンダードでおちゃをにごしている昨今ときたら……



ええっと
この曲想だとモーダルな展開もドンピシャに嵌るとおもうんですけれど
生きている間にウェイン ショーターなんかがやってくれませんかねぇー

  無理ですわなぁ
   仕方が無いので脳内自己創作再生しようっと




2018年03月03日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

もうちょっと聴きたいアルトtoo muchなアルト

前回の記事でソニー クリスのスタジオミュージシャンのお仕事を紹介しました。

さらにソニー クリスのディスコグラフィーを眺めていますと
同じくオンジーのお仕事でエスター フィリップスの作品に参加しているのを発見。

"Confessin' The Blues" (Atlantic)
Esther Phillips


収録曲の「チェリー レッド」ではイントロから
クリスの魅力的な演奏が聴けます。

とても快調な演奏でもう少し聞きたいなぁと思っていると
残念なことにエスターの歌が始まります。
いやいやエスターの歌も素晴らしいんですけれども(笑)。


「CC ライダー」では間奏でソニー クリスの素晴らしいソロが楽しめます。
もう3,4コーラス続けてききたいなぁと思っているとエスターの歌が……
  当たり前やちゅうねん


「アイム ゲッティング アロング オーライト」では頭から
エスターの歌に見事なオブリカートで絡んでいきます。
いやぁ絶妙です。


全くもって好調な演奏でお金儲けのためのお仕事と言った感は微塵もなく
クリスがいやいややらされている等とは思えません。

1964年から66年にかけて残されているソニー クリスの作品は
プレスティッジの"This Is Criss!"が一枚あるだけで(後発のザナドゥ盤は除く)
ソニー クリス不調説もありますがこのアルバムを聴く限り
そんな風説は吹き飛んでしまいます。

この時期にもう少しクリスのアルバムがもっとあればいいのになぁ
と ないものねだり。



さて前回にも触れましたがこういったアルトのお仕事の名人と言えば
フィル ウッズ。

なんといっても著名なのはビリー ジョエルの

"The Stranger" (col)
Billy Joel


に収録の"just the way you are"

フィル ウッズと言う人は音色もゴージャスで
流ちょうな力強い演奏で見事なのですが
吹きすぎると飽きるというか難点が露出します。

しかし短いソロではとても好印象を残します。
  「先生、ここで一節お願いします」
といったスタジオセッションでは無敵とも言えます。

この邦題「素顔のままで」でのウッズの間奏部の演奏は
印象的でありながらヴォーカルを喰うこともなく素晴らしいです。

  そうそう ウッズはこういう演奏やらせたら天下一品やなぁ
なんて悦に入って聴いていますと曲のクロージングで
またウッズのソロが

  うーん これこれ ウッズはええなぁ
なんと思っていると結構に長い
  あれあれ ちょっとちょっと
なんて思っていると音量が下がり始めてフェードアウト。

事なきを得ます(笑)。


やっぱりアルトのお仕事は
先のソニー クリスのようにもうちょっと聴きたいなぁ位がよろしいようで



「お肉は足りないぐらいが一番美味しいの!」
                 (by ベジタリアン浅茅陽子)




2018年03月01日 かくれんぼ トラックバック:0 コメント:0