ジャズではマイナーだがなかなか面白いVeeJayとビートルズの話

名盤を数多く輩出したジャズレーベルのほとんどは個人企業ともいえる
マイナーな会社であることが多かったものです。

ブルーノートしかりプレスティッジしかりリヴァーサイドしかり
コンテンポラリーしかり

というようなわけで先の記事で触れたヴィージェイと言うレーベルも二人の経営者により始められました。


ヴィージェイと言う名前はその経営者の二人の名前Vivian and James の
頭文字をとって名付けられました。

まぁエマーシーと同様に小学生的な発想ですな。

命名はありきたりでも後世に両レーベルともに名を遺したわけで
名前負けの例もあることで命名と言うのもさほど重要ではないのかも。


当初の設立はインディアナであったようですが
すぐに本拠地をシカゴに移します。

シカゴから連想される通りにヴィージェイの本分は
ブルーズやソウルにありました。

同じくシカゴを本拠地に置いたアーゴ(カデット、チェス)と
同じ構図ですね。

と言うわけでヴィージェイというレーベルでのジャズ作品は
多くはありません。

がしかし、
モダンジャズ界での大物となったミュージシャンたちの
若き日の作品がある為に看過するわけにはいかない
重要なレーベルです。

"WAYNING MOMENTS"

"WYNTON KELLY!"

"EXPOOBIDENT"

"GO"

"THE YOUNG LIONS"

ねぇ、ヴィージェイって見過ごすわけにはいかないでしょう。


ヴィージェイはメンフィス スリム、ジョン リー フッカー、グラディス ナイトなどの
ブルーズ、ソウル系の多くのカタログを有していることで知られていますが
ジャズと同様に忘れてはいけないアーティストの作品をリリースしているのです。

それがまぁジャズならまだわかるとしても
英国の白人による特筆大書されるグループビートルズのレコードなのです。

アメリカでは「ラヴ ミー ドゥー」などの最初期のビートルズのシングルレコードは
ヴィージェイから発売されたのです。


英国本国のビートルズの最初期のレコードはEMI傘下のパーロフォンから
リリースされました。

従ってアメリカでビートルズのレコードをリリースする際にはアメリカEMI傘下の
キャピトルから発売される予定でした。

ところがキャピトルレコードはアメリカでビートルズが売れるとは全く考えずに
リリースを拒否。

その結果回りまわってヴィージェイに発売のお鉢が回ってきたのです。

いやはやなんともラッキーな話があるもんですなぁ。

ご存知のとおりビートルズのレコードは米国でも大ヒット。

ヴィージェイは大儲け
  よかったよかった  のはずが万事塞翁が馬

ヴィージェイはビートルズの利権問題で裁判沙汰になり
あえなく大企業の前に敗訴。

倒産の憂き目に……



それ以降ヴィージェイに残された音源の発売元は
二転三転
ジャズの作品たちも安定的にリリースされることなく
入手困難が続いているというありさま。


で、
現在ヴィージェイの発売権利をどこが有しているのかを調べると
なんと2014年にコンコードレコードが入手していました。

コンコードレコードは流通をユニヴァーサルレコードに託しているので
これからはヴィージェイの作品たちも徐々入手されやすくなると
思うのですが当面はブルーズソウル系が主になるよう。

ジャズは後回しみたいですねぇ。

コンコードはファンタジーを吸収しているのだから
いっそのことヴィージェイはファンタジー傘下にして
OJCで発売すればいいのになんて
素人の私はおもうんですけれど駄目かしら。

よもやユニヴァーサル傘下EMIのもとで
ブルーノート発売なんて暴挙はないでしょうなぁ……

EMIから出すんだったらビートルズも無問題なんてね、
   あははははははははははははははははははははははははは











2018年05月30日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

確かにビル ヘンダーソンが歌うてたはずやねんけど……


"Bill Henderson Sings" (veeJay)
Bill Henderson


先の記事で「ネヴァー レット ミー ゴー」と言う曲を紹介しましたが
その時に頭に浮かんだヴォーカリストがビル ヘンダーソンでした。

ヴォーカルは私の専門外ですが
ジャズを意識するようになって最初に好きになった男性ヴォーカリストが
ビル ヘンダーソンでした。

いかにも黒々としたソウルフルな歌いぶりで
スローテンポでも自由自在に強靭にスウィングする様に
とても強く惹かれました。


インストを中心とするジャズ喫茶ではヴォーカルものがかかることは
ほとんどありませんが冒頭の「ビル ヘンダーソン シングス」は
あちこちのジャズ喫茶で耳にすることがありました。

さてその理由としてはこのアルバムのバックバンドのメンツにあります。

二つのバックバンドが演奏を受け持っているのですが
一つ目のバンドがラムゼイ ルイス トリオなんです。

「ジ イン クラウド」で超人気者になった頃の黄金のトリオです。

そして二つ目のバンド(セクステット)のメンバーも豪華でして
またもや黄金のピアノトリオ(マイルズのリズムセクション)ウィントン ケリーに
夭逝のペット ブッカー リトルに通好みのテナー ユゼフ ラティーフ
おまけにノンクレジットですがアレンジがベニー ゴルソンとくれば
インスト専門のジャズ喫茶でもかかろうというものです。


このヴィージェイ盤のアルバムは日本でも幾度か発売されていましたが
現在CDは入手困難なようです。

ジャズ愛好家としては残念ですね。


日本でもジャズヴォーカルの愛好家と言うのはたくさんいらっしゃいますが
なかなか男性ジャズヴォーカリストと言うのは需要はないとみえます。

やはり見目麗しい妙齢の女性が好まれるようですが
これは日本に限らずにアメリカでも同様であるようです。

ビル ヘンダーソンは一昨年90歳で亡くなられました。

ジャズメンとしては大変に長生きしたと言えますが
その生涯の中で残したアルバムは10枚を数えるほどです。

うーん やんぬるかな。


ピアノにジョイス コリンズをむかえたディスカバリーから出たアルバムなど
とても素晴らしいのですがいずれも入手困難。
   うーん



何か紹介できるいいアルバムはないかとアマゾンを見渡すと
ありました

"The Capitol Sessions" (naim)
Charlie Haden/Mike Melvoin/Bill Henderson


とても素敵なベーシスト チャーリー ヘイデンが得意のピアノデュオの相方に
マイク メルヴォインを据えさらにゲストにビル ヘンダーソンという
夢のようなアルバム。

私も大好きなアルバムで数か月に一度は聴くアルバムです。
   これでもローテとしては多いほうなの

アマゾンのレビュー子はヴォーカル入りの三曲は飛ばすらしい
  ハラヒレほれはれー     
              シオシオノパー




で 記事の頭で言った話ですが
確かにビル ヘンダーソンが"Never let me go"をうたっていたと思って
探してみれども 一向に見当たらず。

ネットの検索でもノー ヒット。

 おっかしいなぁー
 頭の中では彼の歌う「ネヴァー レット ミー ゴー」が鳴り響いているのに

またまた
勝手に脳内再生しちゃったんでしょうなぁ

なんてこったい
 こうやって現実と空想がごっちゃになると……




この記事で紹介したアルバムです
キャピトル セッション





2018年05月28日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:2

これまたすこしややこしい"The Song Of Delilah"


"The Arrival Of Kenny Dorham" (jaro)
Kenny Dorham


リヴィングストン&エヴァンズについてもう少し

彼らの作品の内で比較的良く演奏されるものに"The Song Of Delilah"があります。

私はこの曲を上記のケニー ドーハムのアルバム
"The Arrival Of Kenny Dorham"で知りました。

これもまた不思議と言えば不思議偶然と言えば偶然なのですが
前回JR モンテローズで紹介した希少レーベルのジャロによる作品です。

当然実際に手に入れるのは結構苦労しまして
復刻再発されるまでは気長に待っていました。

この作品も又ザナドゥ盤で再発されてもいます。
それとても昨今手に入れるのは少々困難でしょうが
フレッシュサウンドからジャケット違いで発売されています。


先のザナドゥ盤もジャケットおよびタイトルが異なっているので
ある程度の音源を所有している方はダブリに要注意です。

エキゾチックな曲想に鈍く光るドーハムのミュートと
鷹揚なバリトンサックスが溶け合って素敵な演奏です。


「ザ ソング オブ デリラ(ディライラ)」は
映画の「サムソンとデリラ」のテーマとして作曲されました。
聖書に記載されているあの物語の映画化です。

これもまたまたの六 八 九でして
ナット キング コールの歌唱でヒットしています。

作者のクレジットにはヴィクター ヤングの名も合わせて記載されているので
ソングリストにはヤング作となっているものもありますが同じ曲です。


よく似たタイトルでガーシュウィン兄弟による「サム & デリラ」という
エラ などの歌唱でも有名な曲がありますが
こちらはミュージカル「ガール クレイジィ」の曲でして
全くの別の作品になりますのでお間違いなく。


でこの"The Song Of Delilah"なんですが
アルバムに省略されて単に"Delilah"と記載されている場合がります。

そうなるとこの曲がまた当該曲なのかは判別がつき辛くなります。

トム ジョーンズの名曲"Delilah"がありますし
人気ロックバンドのクィーンにも同名曲があります。

作者のクレジットが無ければ判別は不可能で
どの曲の事かは聞いてみるより仕方がないという事ですな。

リビングストンアンドエヴァンズの作品は
どうしてこうもややこしいことになるのでしょうね(苦笑)



ジャズのインスト作品で"The Song Of Delilah"を取り上げているアルバムを
いくらか紹介しますと

"INTRODUCING KENNY BURRELL" (bluenote)
KENNY BURRELL


紹介するにはあまりにも有名なケニー バレルの
ブルーノート初リーダー作品。
   (などと言いながら何故か私の手元にはないのですが……)

このころのバレルが発しているフレッシュでブルージーな演奏振りが見事。



"Bags Meets Wes" (riverside)
Wes Montgomery/MIlt Jakson


バレルと並ぶギターの巨匠ウェス モンゴメリーと
生きるソウル ミルト ジャクソンの双頭リーダーアルバム。

ブルーノートの精緻に創り込まれた上記の作品とは異なり
ブルージーながらザックリとして風情がこれまた良いです。




"Present Tense" (emarcy)
James Carter

現代のミュージシャンの作品としてお勧めしたいのは
このジェイムズ カーターの「プレゼント テンス」

ドロドロとソプラノサックスがコルトレーンの流儀でイントロを紡ぎますが……
大丈夫 All OK!

重苦しくならずにエンターテインメントを常に忘れないのが
カーターのいいところ。

快調にこの曲を演奏しD D ジャクソンのピアノ参加もまた
このアルバムの嬉しい点ですね。


他にももう少し紹介したいアルバムもありますが
こんなところで……


  なんであのアルバムが無いんだ なんて言わないでね うふふ





この記事で紹介したアルバムです
「アライヴァル オブ ケニー ドーハム」




2018年05月21日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0

"Never let me go"ですけどJRのお話


"...And A Little Pleasure" (reservoir)
J.R. Monterose,Tommy Flanagan


リビングストン アンド エヴァンズの「ネヴァー レット ミー ゴー」について
前回記事にしたのですが書き終わってからあれもこれも紹介しとけば 
と思ったので今少し。


JR モンテローズとトミー フラナガンによる演奏を紹介しようと思うのですが
その前にJRのお話。

JR モンテローズによく似た名前のジャック モントローズという
これまた白人のテナー サックス奏者がいまして
よく混同された記事を見ます。


JR モンテローズのJRまたはJ.R.と表記される部分ですけれども
これはジュニアの略称を意味しています。

このJRのJの部分をジャックの略だと勘違いしてか
ジャック モントローズと混同されるのかもしれません。


この二人、同じくデトロイト出身で生年も一年違いと
よく似ています。

ただJRのほうは生後すぐに家族はNYへと引っ越していますので
ほぼニューヨーカーといってよいです。


実際の二人の演奏を聴いてみれば全くの別人であるのは
すぐに了解されるはずです。

JRのほうは白人ですが演奏を聴く限りでは
真っ黒けっけのゴリゴリのハードバッパー。

他方ジャック モントローズのほうはウエストコーストらしい
軽々とした演奏で間違えようのない別人28号です。


JRの紹介記事でラスベガスで働いていたとか
アレンジャーとしても有名であるとかいった記事を見ますが
それは全くの誤りでジャック モントローズの経歴です。

多分両者の演奏をきいたことが無いので
こんな誤りをするのでしょうが結構散見されるので一言。


さてJR モンテローズですが音色は固くて少しいぶされた感じで
ゴリゴリと男性的なテナーサックスで
初めジャズ喫茶でブルーノートの作品を耳にしたときには
てっきり黒人の演奏者だと思いました。

店に掲げられたブルーノート盤のジャケットを手にして
不思議そうに見つめる私に向かってマスターが一言
「黒人よ」

それ以来私は人種ではなく演奏で黒いという事を
改めて認識したわけです。
  氏より育ち


このJRですけれども一般ジャズファンはいざ知らず
ジャズ喫茶に日参するような人たちの間ではなかなかの人気です。

ところがJRの残した作品はどれもこれも幻の入手困難盤ばかり。








これでもか と言わんばかりの超入手困難盤のオンパレード

数々のジャズ喫茶を巡ってもJRの作品を聴けることはほとんど皆無。

せいぜいがブルーノート盤かジャロのザナドゥ再発盤を聴けるくらい。

ジャズ専門の中古レコード店でも見かけることはまれで
あったとしても数万円から十万台と超高額で買えるはずもなく
指を咥えて見るだけの私でした。


1980年に入ってプログレッシブやアップタウンと言った
マイナーレーベルからJRの新譜が発売された時には
大喝采を叫び飛びつきました。

その後ジャロやパラディソなどの希少盤も復刻がなされて
JRのアルバムも少しは聴くことができるようになりました。

現在は当時に比べればJRモンテローズの作品も
形態を気にしなければ容易に楽しめるようになり
これはこれで良い時代になったと感慨しきりです。



さて冒頭にあげたアルバム"...And A Little Pleasure"ですが
先にのべた80年代初頭に発売されたアップタウンレーベルの作品です。

この作品もまたもやと言うべきか入手困難になっていたのですが
レザヴォワ盤で少数流通しているようです。


トミー フラナガンとJRのデュオによるバラード作品集になっています。

ゴリゴリとした力強い演奏が際立つJRの作品が多い中で
彼の歌心あふれる演奏がクローズアップされた素敵な作品です。

トミー フラナガンの真価は歌の伴奏者で発揮されると思いますが
デュオでの登用はまさにドンピシャリ!

JRの演奏につかず離れず
受けに回るところは受け
前に出る時には存分に
さすがはフラナガン。

JRはこの時期ソプラノサックスを吹くことがありましたが
この作品ではバラード集という事もあり好印象を感じます。


このアルバムでの
「ネヴァー レット ミー ゴー」
作品冒頭でとてもこころに残る演奏になりました。





この記事で紹介したアルバムです
"...And A Little Pleasure"




2018年05月14日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0