EllaとYanofsky




エラ フィッツジェラルドへのトリビュート作品が、リンダ ロンシュタットやナタリー コールといった豪華なミュージシャンと名プロデューサーであるフィル ラモーンによって作成されヴァーヴより発売されています。

この作品で目玉となるトラックはおそらくスティービー ワンダーとエラによる「ユー アー ザ サンシャイン オブ マイ ライフ」のライブ録音ということになるんだと思います。


エラのような真に天才的なミュージシャンの歌に対してのトリビュート曲を録音するというのは、選ばれたミュージシャンは非常に名誉に感じられるものでしょう。が、それと共に偉大なるミュージシャンの持ち歌を歌うというのは大変なプレッシャーがあると思います。

このアルバム聴くリスナーの多くはエラの名録音についても熟知していることだと思います。エラの偉大なる遺産の曲に対して真っ向ジャズで挑戦するというのはなかなか大変です。なんといっても相手はジャズの女神より愛されたかのエラ フィッツジェラルドなんですから。

正面から力勝負を挑めばエラの過去の作品と比較されて分が悪くなるのは目に見えています。

かといってアレンジにこり変化球で勝負をすればエラの前で勝負を逃げたかのような印象をリスナーに与えてしまうでしょう。


本当は別に勝ち負けなどではなく楽曲がオリジナリティを持ちえているかどうかが問題なのですが。私がミュージシャンならちょっとしりごみしちゃいますねぇ。


そのへんのところを意識しながらこのアルバムを聴いたのですが、エラはやっぱり凄いミュージシャンだなぁと感じざるを得ませんでした。すみません、私は偏見の持ち主です。


そんな中でこのアルバムを聴いて、中の二つの曲に大きく興味を持ちました。

一つはダイアナ クラールが歌伴の第一人者であるハンク ジョーンズとデュオで吹き込んだトラックでした。すでに自身の個性をゆるぎない物として確立したダイアナ クラールも素晴しい物でした。


それ以上に目を見張ったのはハンク ジョーンズの絶妙なバランスの伴奏でした。歌の伴奏ではあるんですがまるでヴォーカリストがもう一人いるかのようにピアノでサポートをつけています。歌を熟知しているハンクならでの演奏です。

ご存知のとおり彼はソリストとしても一級の腕前の持ち主ですが、ソロを取る場面でもヴォーカリストを喰ってしまうような演奏はせずにそれでいてため息の出るような珠玉の唄を綴っていきます。

ちょっとニュアンスとして伝えにくいのですがエラの歌伴奏者としてパートナーを務めていたトミー フラナガンではなくハンクジョーンズであったことが良かったと思います。無論フラナガンを選ぶわけにはいかなかったでしょうがね。個人的にはこの一曲のためにアルバムを買っても後悔はしないと思います。


さて、もう一つの興味を持ったトラックですが、それは最後の「エアメイル スペシャル」です。

この最後の曲がかかった時にはちょっとばかり驚きました。ご存知の方も多いと思いますが「エアメイル スペシャル」というのはエラがその自在なスキャットを縦横無尽に操る得意曲でした。

その曲を聴きなれない歌声でちょっと舌足らずながらほとんど完コピで歌っていたのでした。「なんじゃいなこれは」というのが最初の感想でした。

このトラックのミュージシャンをCDのインナーで確認してみるとNikki Yanofskyという聞きなれない名前でした。スウイングジャーナルもろくに目を通さない私ですので、注目の新人なのかなぁと色々な本を当たったのですが見つけることが出来ません。


ネット上で見ても日本ではあまり着目されていないようでしたが英語のオフィシャルサイトを見つけました。

それによると彼女はカナダの歌い手でなんとまだ12歳の少女でした。カナダでは結構な有名人であちこちのジャズフェスティバルやテレビ番組にも出演している売れっ子であるようです。

インターナショナルなレコーディングとしてはこのアルバムが最初であるようですが、話題の欲しいジャーナリズムのことですから瞬く著名になることだと思います。


12歳の少女が歌っていたということであればこのトラックはその上で充分に楽しめると思います。サイトで紹介されているビデオクリップでは音程の不安定性が目に付いたり、歌いまわしに一貫性がなくつぎはぎのような歌唱といったあらも散見されます。

このアルバムではあどけなさも感じ取れるエラのしかも完コピ作品だということも彼女にとってはいい方向に作用しているようです。

必要以上に彼女の歌をもちあげようとは思いませんが、まだあまり紹介されいないようなのでとりあげてみました。


もう一度書いておきたいと思いますが私にはハンク ジョーンズの歌伴で満足した一枚でした。
そしてエラはやはり凄いミュージシャンです。




2007年06月19日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:3

このアルバムについてではないのですが、この手のトリビュート盤って、2,3曲、おっ?と思うのがあるだけで、あまり聴かなくなるということが多いです。
元ネタが凄いからこういう企画も成り立つのですが、元ネタが凄いが故に残念な結果にもなりやすいという。
なかなか難しいですね。
だから、あまり買いません。

2007年06月19日 piouhgd URL 編集

こんにちわ。
私もpiouhgdさんと同じく、数多有るトリビュート盤には興味を持たない側の人間です。急いで作ったせいか内容が伴っていない粗悪品が多い気がします。って、少しは聴いているって自分でバラしているぢゃん(笑)。
又、ここのところ流行している、数多有るロック・ミュージシャンのジャズ・スタンダード集にも好意的には触れる事が出来ません。コッチはほとんど聴かないです。
偏見なのでしょうが「まぁ他にも聴くものが有るし」って感じです。

NikkiのHPを見させてもらいました。微笑ましいボーカルが今バックで流れています。
Videoの方も楽しませてもらいましたが、ビブラートの付け方が本物になったら怖いかな(笑)。
無垢な子供は往々にして、凄い事をしますね。彼女(彼)らが、その能力を失わず才能を引き伸ばして、将来の私達を楽しませてくれる事を願っています。

2007年06月19日 falso URL 編集

piouhgdさん、こんにちは。

おっしゃられるようにこの手のものは、アルバム中に2,3曲あたりの曲があればOKとすべきだと思います。
今回は注目すべき曲があったので良かったなと考えています。
あまりにこういったたぐいの物が乱発されると興味も薄れてしまいますね。


falsoさん、こんにちは。

>無垢な子供は往々にして、凄い事をしますね。彼女(彼)らが、その能力を失わず才能を引き伸ばして、将来の私達を楽しませてくれる事を願っています。

迷い無く音を出すというのはなかなか難しいことだと思うんですが、子供の屈託のなさがこの点に有利に働いているんじゃないでしょうか。
もちろん演奏を聴く側が子供がやっているのだからと割引いて評価するということもあるでしょう。

役者など何の仕事でもありがちですが、子供の頃に人気を得た人というのはなかなか大成しないので心配なところではあります。

2007年06月19日 Sonny URL 編集












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