パラゴンマスターの鈴木さんのこと




西宮市にコーナーポケットというジャズ喫茶があります。

ちゃんとしたジャズ喫茶というのは本当に少なくなりました。有るうちにどうぞ足を運んでください。


そこの鈴木マスターが急にお亡くなりになったということを伝え聞きました。にわかにはまだ信じられない気持ちでしたので鈴木マスターと古くからの友人である先輩のSさんに確認の電話をしました。

Sさんもまた人づてに鈴木さんのなくなったことを聞いたところだとのことでした。

コーナーポケットさんのホームページでの掲示板にもマスターの訃報が語られていました。


どうやら間違いのない事実のようでした。



実を言うと私はコーナーポケットというお店に伺ったことがありません。


もう今は無いのですがその昔大阪のミナミにWさんの経営する全国に名の知られた、ジャズの中古レコード店のMがありました。

ある日、いつものようにそのMでレコードをあさっているとWさんが、そこに同じくレコードを探しに来た鈴木さんを私にコーナーポケットというジャズ喫茶のマスターだと紹介してくれました。

その日に収穫したレコードを持って先輩のSさんのお店に行くと、なんとまた鈴木さんがいらっしゃいました。

鈴木さんは先輩のSさんとは古くからの知り合いなのでした。

そのときに私は鈴木さんとジャズの話を少しばかりし、いつかまたお店のコーナーポケットに立ち寄りたいとお伝えしました。


それから何度かコーナーポケットに立ち寄れそうな機会が有ったのですが、あいにくお店が閉まっていてそれきりになっていました。


コーナーポケットには名器とも謳われまたただのガラクタともけなされるパラゴンという大きなスピーカーが設置されていました。それだけ毀誉褒貶の激しい理由にはこのパラゴンというスピーカーの使いこなしが難しいためでした。


じつはかなり年代は違うのですが私もまたパラゴンというスピーカーを使用しています。


かなり大型のスピーカーでもあり日本で所有している方はそれほど多くはありません。

パラゴンのその気ムヅカシイ性格のせいかこのスピーカーを所有するオーナー達は他のパラゴンの音が気になるようで、私のところへかれこれ二十人ばかりの方がいらっしゃいました。

それらの方はまずほとんどコーナーポケットへも行った事があり、私のものと比べて様々な感想を述べて帰られます。


鈴木さんはパラゴンをマルチアンプ駆動といって複数のパワーアンプで鳴らしておられました。これはかなりマニアックな使用方法でオーディオを趣味とされる方はこの方法を夢見ている方が多いようです。

この方法には音のバランスを調整するのにかなりの神経を使うことになります。気難しいパラゴンをキリキリと力ずくで調教するといった具合かと思います。


他方私はと言えばオリジナルのネットワークのまま、スピーカーの年代にあわせてセパレートアンプで使用しています。

パラゴンを調教するというよりは、いかに機嫌よく鳴ってもらえるか馬なりに走らせているといった感じです。


このブログやメルマガでも明言しているとおり私はオーディオマニアが好きでは有りません。オーディオは道具であり、ためにためするのは私の望むところではないからです。

そのためもあって何となくコーナーポケットへと足を運ぶのが億劫になっていた部分があったのかもしれません。


共通の知人でもある先輩のSさんを介してまた時間がとれる日があるだろうと、勝手に思い込んでいたようにも思います。

鈴木さんとは接点はいくらもあったのに。


パラゴンを通してジャズを聴いてこられた鈴木さんの経験はいかばかりのものがあったのでしょうか。

「しまった、またおそかったか」

これが今の私の正直な思いです。鈴木さんとしか話せないことはいくらも有ったはずです。
ちょっと無理をすればいつでも行けたろうに。


鈴木さんのいないコーナーポケットはどうなるのでしょうか。

これから私が鈴木さんのいないコーナーポケットに足を運ぶことがあるだろうか。


まずは鈴木さんの安らかならんことを心より祈念いたします。












2007年07月13日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0












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