フリージャズに生きるスタイリスト チャールス ゲイル

Berlin Movement From Future Years

"Berlin movement from future years"
Charles Gayle3  (FMP)
   「ベルリンムーヴメント フロム フューチャーイヤーズ」
                  チャールズ ゲイル



過去にフリージャズでの演奏で名をあげたミュージシャン達が年齢を重ね、さりげなくスタンダードを滋味深く演ずると言うことが昨今良く見られるようになりました。

それはそれでとても面白く聴くことができます。

それでもフリージャズでないといけないんだ、という気分の日も有ります。


時代の流れの中での瞬間のあだ花であったように理解されているフリージャズ。

しかし注目されることは少なくとも今に至るまでフリージャズは脈々と生き続けています。

現代に生きるフリージャズの生き証人としてチャールズ ゲイルはもっともふさわしい人だと思います。

彼の主要楽器はテナーサックスですがピアノやバスクラリネットもよくし、近年はアルトサックスを吹くことが多いようです。

チャールズ ゲイルは60年代よりフリーミュージックの演奏を行い、ニューヨーク州立大学でフリージャズについて教鞭をとっていたと聞きます。

しかしながら日本で彼の名前が熱心なジャズファンの間で語られるようになったのは1990年前後になってからでした。彼のアルバムを聴いた開かれた耳を持った人たちは、その素晴しい演奏に心を奪われ誰かにその素晴しさを伝えずにはいられませんでした。

こうやってここでこんな記事を書いている私もその中の一人だと言うわけです。


彼によると「ストリートクラウン」というキャラクター付けがされているようですが、道化師のような格好とフェイスペインティングをして演奏する様などもとても興味が掻き立てられました。

だれもがこの彗星のように現れたフリージャズの立役者のプロフィールを知ろうとしましたが、本人の口からそのキャリアが詳しく語られずに今に至っています。

が、伝説のように語られる80年前後にはストリート生活者であったと言うのは事実のようです。


そんな、野次馬的な興味を持って語られることの多いチャールズですが、その演奏はまさに正統派のフリージャズと呼べるものです。

コルトレーンとの関連性を指摘する人もいますが、その演奏からすぐに連想するのはアルバート アイラーであると思います。

しかもこのチャールズはアイラーのようなテーマからの助走を必要としません。

紡ぎだした一音目からとてつもないテンションの極みからの演奏が次々に繰り広げられます。

日頃フリーの演奏に親しんでいる方でも初めてチャールズの演奏に接したなら、いきなりの高みから始まる演奏に度肝を抜かれることは間違い有りません。


大きな咆哮
ぎしぎしと軋む音
すすり泣きから絶叫
めんめんとした叙情

アイラー以外のフリージャズはつまらないと信じている方にも充分に満足のいく演奏だと思います。


アイラーの演奏にはどこか牧歌的な表情が有るように思いますが、チャールズの演奏にはもう少しさめたものがあるように感じます。

非常に都会的であり現代的とでもいえるのでしょうが、その演奏には他人を一顧だにしない風なところがあります。先ほどにも書きましたが叙情的な演奏もないわけではありません。

ですが、ある種の諦観のようなものをチャールズ ゲイルの演奏からは感じます。

アイラーの演奏からは大地の匂いと言うか自然の力感というようなものを強く感じます。

それとは対照的にゲイルの演奏からは他者との関わりと個人、あるいはある種の哲学的実践者のようなストイックな風情を聴き取ることができます。


具象的な音楽であってもそれを解説すると言うのは至難なことですが、フリージャズが対象とあっては凡人の私にはとても無理なことです。


まだチャールズ ゲイルの音楽に接したことが無いと言う方は是非とも一度その音楽に接していただきたいと願います。


こういうジャンルの常ですが作品の中にはなかなか手に入れるもが難しいものが多いようですが、その中からピアノレスのトリオの演奏による作品を挙げておきます。

この作品を聴いて興味をお持ちならばピアノを演奏するチャールズ ゲイルのアルバムも一聴の価値があると思います。


この記事で紹介のチャールズ ゲイルのアルバムです
Berlin Movement From Future Years



2007年11月08日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:8

最近、インプロ系のライブに足を運ぶことが多いのですが、フリー・ジャズとなると実はまだあんまり聴いてなかったりします。
例によってこのチャールズ・ゲイルさんも知らなかったのですが、とても面白そうですね。
試してみます。

2007年11月09日 piouhgd URL 編集

piouhgdさん、こんにちは。

最近の piouhgdさんのライブレビューを読ませていただいて、多分このチャールズ ゲイルは気に入っていただけるように思います。
中央突破のフリージャズですので気合の乗ったときに聴いてください。出来うる限り生音の音量に近い方が楽しめます。
お楽しみに。

2007年11月09日 Sonny URL 編集

こんにちわ。
Albert Aylerの名前が出てくれば反応しちゃいます(笑)。でもCharles Gayleは良く知らないのです。
で、彼のHPで2006年の5/21のインタビューを飛び飛びにですが(だって3時間も有るんだもん/笑)聞きながら書いています。この中で少し曲も聴く事が出来ました。

Sonnyさんがおっしゃるのと同じ様な事だと思うのですが、Aylerは大衆音楽の範疇から決してはみ出さなかった人だと思っています。自らの中で分解も再構築もしなかったと言うか、出来なかった人ではないかと。得たものや感じたものをストレートに自分の表現方法で発しただけの人ではないかと思っています。

そしてCharles Gayleと言う人は、ピアノでの演奏を少し聴いた感じだけなのですが、音楽を自らの論理で分解し再構築しているように感じます。Aylerほど感じ易くはないのですが、理解し易い感じがするのです。勿論実際に理解できると言う訳ではなく、物事を理解出来た時の安心感と同様のものを感じました。

私はAylerとは違う世界を感じましたが、聴いていて安堵感と言うのか安心感の有る心地良い演奏だと思いました。とても心地良い音です。これは是非アルバムを聴いてみたいです。
Aylerを出した事と良い、もしかしてSonnyさんは私の心地良いツボを私以上にご存知なのかも(笑)。

2007年11月11日 falso URL 編集

falso さん、こんにちは。

私もチャールズ ゲイルのインタビューがあるのは知っていたのですが、ヒヤリングが全く出来ないのでスルーしていました(笑)。
なにか面白そうなはなしがあったらおしえてください。

ピアノの演奏をお聴きになったとのことですが、楽器の構造上ピアノと言うやつはどうしても音楽のストラクチャーが決まってしまうような部分があると思います。
テナーの演奏をお聴きになるとまた違った部分も見えてくるような気がします。

アイラーとは違ったいきなりのハイテンションに驚かれることだと思います。

2007年11月12日 Sonny URL 編集

初めまして。あごてぃと申します。
非常に面白そうなblogだったのでコメントさせていただきます。

フリー好きの僕としては、チャールズ・ゲイルいいですね。
そう、アイラーに近いような印象は受けましたが、Sonnyさんのおっしゃるように、冷めた感じがあるかも知れません。
この方のピアノは、なんだかモンクのような印象を受けますね。

また、遊びにくると思いますのでよろしくお願いします。

2007年11月25日 あごてぃ URL 編集

あごてぃさん、はじめまして。

コメントありがとうございます。
おっしゃられるとおりにゲイルのピアノからはモンクの影響も感じられると思います。
テナーも作品によってはドルフィーのようなフレージングもみられ、ゲイルが結構さまざまなミュージシャンを聴き消化吸収しているであろうことが窺えると思います。

個人的にはここにあげたような演奏が始まるやいなやハイテンションにブロウする作品を好んで聴くことが多いです。

ブログに興味をお持ちいただいてありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いいたします。

2007年11月26日 Sonny URL 編集

Sonnyさん、こんばんは。

ブログに久しぶりにお邪魔致します。

ここのところ個人的には近年のフリー・ジャズものの探求に精を出しています。先日チャールズ・ゲイルを初めて聴く機会が持てました。このアルバムはなかなか手に入りませんでしたので違うアルバムになりましたが本日記事にしてみました。その際、Sonnyさんのこのログを記事中にリンクさせて頂いています。事後報告で大変恐縮ですがご勘弁下されば幸いです。

2008年12月23日 ぬどい URL 編集

ぬどいさん、こんばんは。

フリージャズというのもビバップからモードへと違和感無く聴けるものにとっては、その他のジャズと同様に楽しめると思います。
ぬどいさんが私のブログにリンクしていただけるのはありがたくこそ思え全く問題ありません。
早速記事も拝見させていただきます。

2008年12月24日 Sonny URL 編集












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