珍説 「クールジャズ」の誕生

クールの誕生

先日ぼんやりとテレビを眺めていたらいきなりマイルズのラッパで"Someday My Prince Will Come"が耳に入ってきました。

  デアゴスティーニ・ジャパンは「隔週刊クール・ジャズ・コレクション」を2008年2月26日から発売

もうご存知だと思いますが、デアゴスティーニというのはあるテーマについて付録をつけながらシリーズで隔週刊で雑誌を発行していくというご商売をしておられます。

どうやら今回はジャズについてCDを付録に付けながら雑誌を売ってお金儲けをしようとのたくらみのようであります。ねらいはもちろん有閑年金富裕層の団塊の世代そしてあわよくばジャズに憧れのある入門者をとりこもうとのことでありましょう。


別に他人様がどんな具合にお金をもうけようと私の知ったこっちゃぁ有りません。
でもこの雑誌のタイトルには異議ありです。

クールジャズコレクションと銘打っての創刊なのですが、ジャズを少しお聴きになった方ならご存知でしょうが「クールジャズ」という言葉はあるジャズのジャンルあるいはカテゴリーを指して慣用的に使われている言葉です。

大まかに言えばアフロアメリカンを中心とした熱気溢れる演奏に対して、白人達によって演奏されるアレンジメントをも重視したスマートな演奏を「クールジャズ」と呼んでいます。広い意味ではいわゆるウェストコーストのジャズについてもそう呼ばれる場合があります。

普通テレビのCMに使われたマイルズの"Someday My Prince Will Come"を「クールジャズ」と呼ぶことはまずありえません。

かのテレビCMではその後にコルトレーンの"Say It"が流れるのですが、これまた「クールジャズ」と呼ばれることは無い物です。


ちょっとばかり調べてみると雑誌に取り上げられるミュージシャンにはオスカー ピーターソンにソニー ロリンズの名前も有るではありませんか。
この両名ほど「クールジャズ」と言う言葉に似つかわしくない人も無いのではと誰もが思うはず。


多分この雑誌のネーミングに当たった方はジャズでの用語としてのクールジャズという言葉をご存じなかったのでしょう。

そしてこれまた多分聞きかじりでマイルズのアルバムに「クールの誕生」というものが有ることを知っていたのでしょう。

とてもかっこいいジャズという意味でクールと言う言葉を使って表現しようとしたのでしょうが、充分にジャズに対して知見のある方ならばこんな誤謬を招くような誌名にはしなかったはず。


紙面の紹介を見てみると著名なジャズ評論家やジャズ愛好家の記事が掲載されているようです。そんなお偉方はこんなけったいな名前の雑誌に違和感を持ちはしなかったのでしょうか。


とりあげられている曲名はやはりと言うか50年60年のオールドタイムな名曲ばかり。早くに死んでしまったミュージシャンはともかく、ロリンズなんかはまだ現役なんですけど。

クールジャズなんて誌名よりは「レガシージャズ」もしくは「懐メロジャズが」妥当なネーミングだと思います。「ジャズ古典こてん」なんてのもありですな。


この雑誌のせいでジャズを聴いてみようという真面目な方々が「クールジャズ」と言う言葉に先々惑わされるのは間違いないことだと思います。そして私も「クールジャズ」と言う言葉に注意してお話をうかがわなくてはならなくなることでしょう。

うーん ”Re-Birth of the cool"ですなぁ。



ちなみにマイルズの"Birth of the cool"と言う名前はマイルズの命名による物ではありません。初出はSPで後年アルバム化するときに商売上の都合によりつけられたものです。
当たり前ですが「クール ジャズ」がマイルズによって作られたわけでもなく、このアルバムがその第一号というわけでもありません。

そこんとこよろしく。






2008年03月10日 私のジャズ トラックバック:0 コメント:6

こんにちわ。
TVでCMを見ました。「Jazzは、大人のお洒落な音楽」と言う位置付けをしたいような匂いがプンプンしますね。
「クール」と言う言葉を使ったのもそんな感じがします。「じゃずは、くーるなおんがくなんだぜっ」みたいな(笑)。

半年後か1年後には中古屋にいっぱい並んでいそうですよね(笑)。

2008年03月10日 falso URL 編集

falsoさん、こんばんは。

この雑誌ですが、なんと70回も続くそうです。
創刊号が490円で足すことの次号から1190円×69=82600円
こんなにお金を出すんなら私はクアドロマニアをありったけ買いますね。
もしくは隔週一回ジャズ喫茶に通って珈琲を一杯づつ飲んで3年は楽しめるんじゃないですか。
うちの店でもお酒を飲んで60回は通えるんじゃないでしょうか。
まぁそんな使い方ではおしゃれなジャズに浸れはしないでしょうが。

この雑誌を読むと毎号おしゃれな文化人がおしゃれにジャズを語る「私とジャズ」なんて連載があるようでして、一回目が林家こぶ平じゃなかった正蔵。二回目が弘兼憲史だそうです。
まぁお洒落なジャズを語るにはお金持ちに限るようでして……
私なんかはお呼びじゃない
    これまた失礼しました。

2008年03月11日 Sonny URL 編集

この雑誌、あんまり評判よろしくないようですね。
店頭で見かけましたが、クールと謳っているわりには、装丁が全然クールじゃないですし。

>「Jazzは、大人のお洒落な音楽」と言う位置付け

ライブハウスへ足を運べば、その辺の実態が良く分かると思います。(笑)

2008年03月11日 piouhgd URL 編集

piouhgdさん、こんにちは。

>装丁が全然クールじゃない

海賊盤のほうがましだとかんじますねぇ。

>ライブハウスへ足を運べば、その辺の実態が良く分かると思います。(笑)

あはははは、確かに確かに。
ジャズ喫茶でもそのへんの事情は同じかと。

ジャズぐらい実態と一般の方のイメージとのギャップが大きい音楽もないでしょうなぁ。

2008年03月12日 Sonny URL 編集

マイルスをクールジャズとは・・・
恐れ入りましたと皮肉な一言でも
足らないかもしれませんね。

そうして、だんだんと、おかしなものがまたも何食わぬ顔でまかり通っていくというのは、
冷凍ギョーザや食品表示の偽装問題くらいにとどめて置いていただきたいものですね。

売らんかなという精神は、ジャズともっとも遠いもの。

そうした精神の雑誌が70回も続くということは、数年間という時間をかけてジャズをジャズじゃないところに鎮座させるという目論見でもあるのかも。はたまた、その雑誌が考えるクールなジャズというイメージの流布で、不味いものしか食べさせないくせにわけのわからないジャズをBGMとして静かに流すことで、やたらと取り澄ました「おしゃれで」「大人の」隠れ家とかいう店内作りをしている設計屋さんとか、そうした居酒屋チェーンとのお金儲け連合の提携かもしれませんね~

ああ、いやだ!


2008年03月26日 Ms gekkouinn URL 編集

gekkouinnさん、こんにちは。

好意的にみれば「クールジャズ」と名付けた方はジャズについての理解が無かったのだと思います。無論知らないと言って刊行してしまうことが許されるわけではありませんが。

もし、ジャズに対しての知見も充分にあった上でのことだとしたら、おっしゃられるように売らんかなの性根なわけで更に悪質だと思います。

ジャズをお商売になさる方はジャズを活きたものとは考えず、古き良き古典芸能としておしゃれなところへと祀り上げたいようです。
その方が一般の方への受けもよいようですしね。

まったく庶民を愚弄した諸行と言わねばならないと感じます。

2008年03月27日 Sonny URL 編集












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