Frank Hewittにはおどろかされた

"We loved you" (smalls)
Frank Hewitt
スモールズの話題のついでにCDの話をひとつ。
アメリカという国は全く広いのでジャズを何年も聴いている人にとっても、まだまだ見たことも聞いたこともないようなミュージシャンがごまんといます。
もちろん若手のミュージシャンであればそんなことは当たり前です。けれども還暦をこしているようなジャズミュージシャンで、優れた実力を持った未知の演奏家というのはなかなかいるものではありません。
五年前くらいのことでしたがジャズクラブであるスモールズが新しく自前のレーベルを立ち上げました。
その一枚目のアルバムが冒頭のフランク ヒューイットのものでした。信頼のおけるクラブのリリースということで、リーダーはもちろんサイドメンのベースやドラムズの名前も知らなかったのですがみずてんで購入しました。
アルバムジャケットには少しばかり頑固そうな年配のミュージシャンがピアノの前で座っています。どうやらこれがヒューイットのようです。
少しばかりの期待を持ちながらプレイヤーへアルバムを載せました。
流れ出てきた一曲目の「ゴースト オブ ア チャンス」のイントロを聴いたとたんに、私の耳は彼のピアノに釘づけになりました。
ヒューイットの紡ぎだすその音楽は何とも言いようのない、ブルージーさと確たる信念をもちあわせた滋味深い響きがします。何年かジャズを聴いた確かな耳を持っている方ならば、自分が覚えているピアニストの中には無いこの新しい才能に驚かれること間違いなしです。
私のつたない表現力では彼のピアノについて表現するのに力不足なのですが
太陽が沈んでしまった直後の薄明かりの残る時分に
キラキラと鈍く光る湖面の波紋をみているような
といった心持がします。
調べてみると2001年のこの録音時にヒューイットは65歳になっていたはずです。
これほどのピアノの実力者がどうしてこのファーストアルバムを発表するまで、世間の中で埋もれたままであったのでしょうか。
ちょっとばかり調べてみても彼の録音らしいものは、新生インパルスでのオムニバスアルバムの一曲にしかピアニストとしてのクレジットは無いようです。ローカルミュージシャンであればこのようなこともままあるのですが彼は生粋のニューヨーク生まれのハーレム育ちであるそうです。
とっても不思議だとしか言いようがありません。重ねて調べてみるとどうやらユニオンカードの取得ができなかったようで晩年までクラブでの演奏ができなかったようです。
ソニー クラークが同じ理由でクラブでの演奏をできなかったために、アメリカ本国では知名度が非常に低かったのと似ているかもしれません。ただクラークの場合はブルーノートに幾枚もの録音を残していたため、日本ではとても人気のあるミュージシャンであったのはご存じのとおりです。
残念なことに調べていくうちに彼はすでにこの世を去っていることがわかりました。ただ幸運なことにスモールズでのライブの記録は相当数あるようで、すでに五枚のアルバムがスモールズレーベルで発行されています。
このアルバムの不満な点を強いて挙げるならば、サイドメンの実力がフランクに比べて少しばかり劣るところにあります。
そういう点でいうならばドラムズにベテラン実力者のルイス ヘイズを迎えた

"Not Afraid To Live"のほうが完成度が高いと思います。
他のリーダーアルバムでもサイドメンの実力を問題にしなければヒューイットの素晴らしいピアノが楽しめます。
もっと強力なフロント陣やサイドメンとのアルバムがあればと感じますが無い物ねだりですね。
個人的には最初の驚きがとてもおおきかったので"We loved you"のアルバムの印象が強く、一番聴く機会が多いです。
どこのジャズ喫茶にでもあるというわけにはいかないでしょうからなかなかジャズファンに彼の名前が浸透するのは難しいでしょうね。
まだまだ日本では彼の魅力に触れていない方が多いと思うので、ぜひ一度聴いてみていただきたいと思います。現在はスモールズのアルバムもアマゾンなどで比較的簡単に購入できるようになっています。
著名でなくても素晴らしいミュージシャンはたくさんいますよ。
この記事で紹介したアルバムです。
We Loved You
Not Afraid To Live
Sonnyさん、こんばんは。
フランク・ヒューイットの名前は個人的に強く印象に残っていました。しかしながら聴く機会はなく現在に至っていました。チョイスされているアルバムの"Not Afraid to Live"がジャズ批評誌のピアノトリオ特集に取り上げられていたり、以前にSonnyさんが2006年のベスト盤として"Fresh From the Cooler"を挙げておられたからです。改めて記事にして頂いたおかげで久し振りに思い出したといったほうが正しいのかもしれませんが。
>彼はすでにこの世を去っていることがわかりました。
そうだったんですか。スモールズのレーベルに近年まで複数リリースがあることを自分でも確認していただけにビックリです。お気に入りのアーティストが他界してしまうのは本当に残念なことですね。Amazonに"Out of the Clear Black Sky"の在庫があったので思わず注文してしまいました。聴くのが楽しみです。 ぬどいさん、こんにちは。
>Sonnyさんが2006年のベスト盤として"Fresh From the Cooler"を挙げ
恥ずかしながら私自身はそんなことを全く失念しておりました。ええ加減なことです。
そのうち自分の書いた記事を読んで
「おっこいつなかなかええこと言うとるやないか」
なんて感心するようになるんでしょうな(笑)。
注文された"Out of the Clear Black Sky"も充分に楽しめるような内容になっています。スローからミディアムテンポの演奏を聴くのには、この記事のアルバムをお買いになるとよいかと思います。
どうぞヒューイットのピアノを堪能してください。 今度、ぜひパラゴンで聴かせてください! piouhgdさん、こんにちは。
おやすいごようです。
といいながら忘れているかもしれないので、いらした時に言ってください。
こんばんは。
ちょっと前にこのアルバムが手元に届きまして、最近聴いています。
ベース・ソロやドラム・ソロにはがっかりしちゃうんですけど(笑)、それを補ってあまりあるものがありますねえ。
他のアルバムも聴いてみたくなりました。 piouhgdさん、こんばんは。
>ベース・ソロやドラム・ソロにはがっかりしちゃうんですけど(笑)
ほんまに残念ですね。
記事にもある"Not Afraid To Live"のほうはドラムズがしっかりしていてそれなりに楽しめると思います。
ただ、ベースはあいかわらずですが(苦笑)。
フランク・ヒューイットの名前は個人的に強く印象に残っていました。しかしながら聴く機会はなく現在に至っていました。チョイスされているアルバムの"Not Afraid to Live"がジャズ批評誌のピアノトリオ特集に取り上げられていたり、以前にSonnyさんが2006年のベスト盤として"Fresh From the Cooler"を挙げておられたからです。改めて記事にして頂いたおかげで久し振りに思い出したといったほうが正しいのかもしれませんが。
>彼はすでにこの世を去っていることがわかりました。
そうだったんですか。スモールズのレーベルに近年まで複数リリースがあることを自分でも確認していただけにビックリです。お気に入りのアーティストが他界してしまうのは本当に残念なことですね。Amazonに"Out of the Clear Black Sky"の在庫があったので思わず注文してしまいました。聴くのが楽しみです。 ぬどいさん、こんにちは。
>Sonnyさんが2006年のベスト盤として"Fresh From the Cooler"を挙げ
恥ずかしながら私自身はそんなことを全く失念しておりました。ええ加減なことです。
そのうち自分の書いた記事を読んで
「おっこいつなかなかええこと言うとるやないか」
なんて感心するようになるんでしょうな(笑)。
注文された"Out of the Clear Black Sky"も充分に楽しめるような内容になっています。スローからミディアムテンポの演奏を聴くのには、この記事のアルバムをお買いになるとよいかと思います。
どうぞヒューイットのピアノを堪能してください。 今度、ぜひパラゴンで聴かせてください! piouhgdさん、こんにちは。
おやすいごようです。
といいながら忘れているかもしれないので、いらした時に言ってください。
こんばんは。
ちょっと前にこのアルバムが手元に届きまして、最近聴いています。
ベース・ソロやドラム・ソロにはがっかりしちゃうんですけど(笑)、それを補ってあまりあるものがありますねえ。
他のアルバムも聴いてみたくなりました。 piouhgdさん、こんばんは。
>ベース・ソロやドラム・ソロにはがっかりしちゃうんですけど(笑)
ほんまに残念ですね。
記事にもある"Not Afraid To Live"のほうはドラムズがしっかりしていてそれなりに楽しめると思います。
ただ、ベースはあいかわらずですが(苦笑)。
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2009年10月17日 call it anything