オマール アヴィタル ジャズ スゥイング ゆらぎの魅惑

Live at Smalls

Omer Avital "Live at Smalls"

Avishai Cohen(tp)
Joel Frahm(ts)
Jason Lindner(p)
Omer Avital(b)
Johnathan Blake(ds)


音楽を集中して聴くという環境に無い状況が続いていたにもかかわらず、
出てくる新譜は習慣のようにチェックしていました。

去年一年を通してベストアルバムというものを挙げるのは難しいのですが、
2010年に聴いた新譜の中で一番心に残ったのは
オマール アヴィタルのこのアルバムのように思います。

その理由はひとえにこのアルバムが持っている独特なゆらぎにあると感じています。


ジャズの大きな魅力にスゥイングという要素がよく人々の口の端にのぼりますが、
スゥイングというものを具体的に言葉で表すのはかんたんなことではありません。

かの有名な大歌手スゥイングの女王エラ フィッツジェラルドは、インタビューで
「スゥイングとはいったいどういうものですか」
とたずねられたときに

 「えぇーと、スゥイングといういのはね、
  ほら えぇーと …
  えぇーっと

  こういうものよ!」

と答えて 
踊りながら歌い始めたといいます(笑)。 

かほどにスゥイングの何たるかを説明するのは難しいことです。


私がジャズを聴いていてとても心地よく感じることに ゆらぎ があります。
ゆらぎといっても様々なゆらぎがあります。
体をおしりから突き上げるようなアフタービート
このことを一般的にスゥイングと呼んでいるようです。

そのほかにもバックの奏者のビートに対して
自由に前ノリや後ろノリを操ってソロをとるゆらぎ。
これはもうチャーリー パーカーやソニー ロリンズなんかがその代表格ですね。

あと他の例では
奏者個人が肉体的に持っているゆらぎ
わかりやすい例ではセロニアス モンクのギクシャクした感じのゆらぎ
一聴しただけではとても不思議なゆらぎのアンドリュー ヒルのタイム感
どこでどうやって踏むのかなんとも心に残るエルヴィン ジョーンズのベースドラムの一撃。

さまざまなスペースの中でのゆらぎが、
私にはとてつもなくジャズの中での愉悦の要因になっています。

私自身はこういった様々なゆらぎをすべて含めてスゥイングだと理解しています。


こういったゆらぎフェチ(笑)の私を虜にしたのが
アヴィタル の 「ライブ アット スモールズ」でした。

一曲目のスローテンポで繰りひろげられる
"Theme for a brighter future"を聴いただけで
その不思議なゆらぎに一発でやられてしまいました。

 「いったい何を基準にしてこの独特なゆらぎを
  奏者全員で共有しているのか知らん?」

そのなぞを解くすべは私にはありませんが
やはりアヴィタルらミュージシャンが持っている
ユダヤ人としてのバックグラウンドが大きくその要因になっていると思われます。


ジェイソン リンドナーというピアニストは
彼のピアノアルバムを聴く限りはまったく凡庸なミュージシャンに聴こえます。

ところがオマール アヴィタルと組んだ演奏では
とてもマジカルなゆらぎでわたしを魅了するミュージシャンに豹変します。

この辺もアヴィタルの持っている強力なゆらぎ磁場にさらされて
リンドナー自身の血に埋もれていたスゥイング感が覚醒するのではないでしょうか。


最後の曲にいたるまでその独特のゆらぎと
緊張感にライブ独特のルーズさまでが
私を魅了し耳をとらえてやみません。

アヴィタル個人のアルバムではもっとタイトなきっちりとした演奏を好む方もいらっしゃるでしょう。

ですが私にとってはこのアヴィタルのアルバムが最も好ましく感じられます。


というわけで2010年ジャズベストアルバムではありませんが
2010年の敢闘賞をこのアルバムにささげたいと思います。



この記事で紹介したアルバムです。
Live at Smalls












2011年04月14日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:4

こんにちは。
ご無沙汰しております。
Sonnyさん、どうしてるかな~、とずっと思っておりましたが、久々の更新、嬉しいです。
また、メールしますね~。

2011年04月14日 piouhgd URL 編集

piouhgdさん、こんにちは。

ぜんぜん更新せずご心配をおかけして申し訳ありません。
また、ぼちぼち更新していきます。実店舗のほうも相変わらずマイペースでやっています。
メール楽しみにしています。またよろしくお付き合いください<(_ _)>。

2011年04月14日 Sonny URL 編集

Sonnyさん、こんにちわ。ご無沙汰しています。私は相変わらず、節操の無い音楽の聴き方をしています。

私の友達がSonnyさんとSonnyさんのお店を随分気に入ってしまったようです。
「今日、行ってきました」とか「昨日、行ってきました」と言う話を良く聞きます。
Sonnyさんに音楽の楽しさだけではなく、音楽の楽しみ方も教えていただいているようです。感謝です。
これからも良く顔を出すと思います。よろしくお願いします。

ここ数日の私はSi ZentnerやMel Tormeを良く聴いています。こう言った歌謡的なノリもやっぱり大好きみたいです。

「スウィング」とか「ゆらぎ」と言う言葉に耳がピクピクしてしまう最近でも有ります。
記事を読んでOmer AvitalのLive at Smallsにも興味を持ちました。ベーシスト名義ですし(笑)聴く機会を作れたらと思います。
面白そうなアルバムを紹介していただき、有難うございます。


2011年04月15日 falso URL 編集

falso さん、こんにちは。
ご無沙汰しているのはひとえに私のせいでして、申し訳ありません。
こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。

Bar.さんことkさんのことだと思いますが、確かにちょくちょくお店にいらしていただいています。
とても愛らしいひとを紹介していただき、ありがとうございます。

サイ ゼントナーとはこれまた確かにせっそうがないですなぁ(笑)。
私個人としてはまったくの門外漢のジャンルです。なんせ基本がクローイジャズですから(笑)。
ちょっと考えてみても、たぶんアニタ オディやナンシー ウィルソンのバックでやっているものしか持っていないと思います。
日本盤で彼のアルバムがまともに出たことはないんじゃないのかしらん。
うーん、falsoさん、おそるべし…

アヴィタルですけどこのアルバムは持っていて損は無いと思います。その ゆらぎ を楽しむのは何回か聴いてみないといけないでしょうが。 おすすめです。



2011年04月16日 Sonny URL 編集












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