オリン エヴァンズ 栴檀は双葉より芳し



"Deja Vu" Orrin Evans (Imani)

 「若手のピアニストで今一番注目しているピアニストは誰ですか。」と問われた時に真っ先に挙げるのがオリン エヴァンズとジェーソン モランです。彼らのピアノからはまさに現代を生きるジャズとしての息吹を感じます。ジェーソンは現在ブルーノートに所属しているため結構お聴きになった方もあるでしょう。今回はオリン エヴァンズのCDを紹介したいと思います。
 オリンの初リーダー作がクリスクロスより発表されたのは1996年のことでしたから彼のことが熱心なジャズファンによって注目されてからかれこれ10年の日が経ったことになります。ただ日本盤が発売されていないのでその名をご存じない方も多いかと思います。
 クールな音色とよく考えられた個性的なフレーズをあわせ持つ非常に素晴しいピアニストです。近年の有望なミュージシャンに共通することですが、とてもよくジャズ界の先輩たちの音楽を聴いていることが彼のピアノから聞き取れます。セロニアス モンク、ジャキ バイアード、ハービー ハンコック、マッコイ タイナー、アンドリュー ヒル、etc.
それらの影響がものまねに終わらずまたばらばらにとっ散らかった印象も与えずに、個性を持ち得ているのは見事です。
 彼はまた作曲にも才能を発揮し、ホーン陣を加えたアレンジメントにも関心が高いようでカルテットやクインテットのリーダー作も発表しています。ここでは彼の演奏を端的に楽しめるトリオの作品を記事にします。
 演奏されている曲目は今までの作品にも取り上げられた"I Want To Be Happy","Rhythm-a-ning"に"I love you "といったスタンダードに自作曲を合わせ9曲となっています。 
 ベースのマシュウ パリッシュはロンカーターばりのフレーズや空間の生かし方も操りながら、レイ ブラウン、チェンバースといった正統的なベースの語法もしっかりと取得し堅実さも持っています。これで彼自身のフレージングがしっかり聞こえるようになればとてもいいベーシストとして多くの人に知られると思います。
 ドラムスのバイロン ランダムもこれまでオリンが共演してきたラルフ ピーターソンのような扇情的なたたきをする訳でもなく、ナシート ウエイツのような疾走感あふれるプレイではないのですが共演者の音を良く聞いているぴったりとしたバッキングぶりを好ましく感じます。
 この作品はImaniというレーベルより2002年に発表されたものですが、
それぞれの曲がよく考えられた完成度の高い出来上がりになっています。若干これまでの作品に比べピアノの音色が細く神経質に感じますがテンションは十分に高く、共演者との一体感も良く聴き応えがあり繰り返して聴いても飽きさせないアルバムです。
 これがこのアルバムを聴いた私の感想でした。ところがこのCDについてよく調べていくうちに意外な事実が判明しました。実はこの作品は1995年にブラックエンターテイメントというマイナーレーベルより発表された"The trio"のリイッシューだったのです。
 とすれば私が手に入れようとして探し回っていた幻のオリン エヴァンズ正真正銘の初リーダー作!!だったわけです。
 その事実を私のつたない英語の読解力で海外のサイトから知ったとき、思わず心の中で呻いてしばしの間身じろぎも出来ませんでした。
 オリン エヴァンズ恐るべし。

 

2005年08月25日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0












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