個人的なシルヴァーと「ソング フォー マイ ファーザー」の思い出

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あまり回顧的なことはしないのですが
ホレス シルヴァーも鬼籍に入ってしまったので
個人的な「ソング フォー マイ ファーザー」のお話を……


バブル真っ盛りのころのお話ですが
毎週々ジャズの有名外人ミュージシャンが大阪にやってくるという
夢みたいな時期がありました。
(今はもう大阪は素通りですけれども)

当時私はサラリーマンとして技術者をやっていましたが
なんとも地獄のようなひどい事故案件の真っ只中に放り込まれていました。
 
仕事に行けば徹夜なんぞは当たり前で
お休みなんて何ヶ月もとっていないような状況です。
いまならさしずめ「ブラック」なんて呼ばれるのは確実ですな(苦笑)。


行きたいライブは山ほどあるのですが
なんせ時間がありません。
チケットを取ったにしても
行けずに只の紙切れになってしまうのが落ちです。

そんなときに
道頓堀の「セント ジェームズ」(田中さんに合掌)というクラブに
ホレス シルヴァーが盟友アンディ ベイを伴って
やって来るということがわかりました。

60年代の昔はともかくとして
シルヴァーはもう長年来日していなくて
私ももちろん彼の生のステージに接したことはありませんでした。

なんといってもジャズ史上に特筆大書されるべきシルヴァーです。
この機会を逃すともう二度と彼の演奏を間近で聴くことはかなわなくなるでしょう。


とりあえずチケットの確保をいたしまして
当日に早めにしごとが切り上げられるように
だんどりや根回しに奔走。

 
ライブ当日はこれ以上仕事上のトラブルが発生しないように
祈るような気持ちで必死に業務にいそしむばかりです。


さて、
その昔ネスカフェアンバサダーみたいなものはありませんでして
事務所にはインスタントコーヒーと給湯ポットが用意してありまして
一服したい人はマイカップにコーヒーを各自で作るようになっていました。

そのインスタントコーヒーが切れてしまったので
お昼休みに近くのデパート系食品店に買出しに出かけることにしました。


すると
お店の牛乳売り場のまえに見覚えのある人影が

ドキッ ま まさか
確認すること二度三度
なんと間違いなくホレス シルヴァーその人ではありませんか!

英語なぞかいもく喋れないのもかまわずに
あわててシルヴァーに駆け寄り
ありったけのもてる英単語をならべたてて
「あなたの演奏が大好きでレコードも十枚以上も持っている
 そして今日の演奏にも行く予定です」
と彼に伝えると

やさしく微笑みながら礼をして握手してくださり
店の中を見回すと片隅に手招きをしました。

そこには今日の演奏会でのメンバーの
アンディ ベイとラルフ ボーエンがいました。

彼らを呼び寄せると
シルヴァーは
「こちらは今日の演奏会にいらっしゃる方だ」と
私を紹介して彼らに挨拶をするように促し
自ら私に対して
「彼が今日ヴォーカルをつとめるアンディ ベイ
 そして彼がテナーサックスのラルフ ボーエン」
と紹介してくれました。

私はといえば
「あのホレス シルヴァーが目の前に居て
 自分のメンバー達をわざわざ私に紹介してくれている なんて……」
ということで完全に舞い上がっていました。

後から聞くと居合わせた同僚の証言では
私はぴょんぴょんとその場ではねていたそうです(劇恥)。


「今日の演奏をとても楽しみにしている」
といったようなことをシルヴァーに伝えてその場を離れました。

しかしながら本当に今日のライブに行けるかどうかは
仕事しだいで確信があるわけではありません。

ここで
「事務所にサインをして貰えたらとレコードを用意」
と思い当たり
ひょっとしてライブにいけないかも知れないから
今ここでサインを貰えないかと事務所までレコードを取りに
猛ダッシュ。

あわててシルヴァーの居た店へと取って返すと
すでに姿はありません。

表に出て辺りを見回すと
100メーターほど先に彼らの姿が。

またもや駆け出して
シルヴァー達を呼び止めると

「Oh! Boy!」
とビックリした顔。

"Song for my father"を差し出して
サインをお願いすると
ニッコリと笑って
傍らにいたベイとボーエンに
「これが私の父だよ」と説明しながら
丁寧にサインをしてくださいました。
  

シルヴァーに
「今日は"Song for my father"を演奏していただけますか?」
と問うと

「ぜひ演奏しますよ アンディの唄入りでね。」
と答えてくれました。



さて、さて、
私はといいますと
ありがたいことに当日のライブにどうにか行くことができて
アンディ ベイ の素晴らしくいい声入りの
"Song for my father"を
強力なシルヴァーの左手の演奏にうっとりしながら
聴くことができました。

ありがたや ありがたや ゴータマ さまさま


以来
私にとってホレス シルヴァーは
世界一いい人の中の仲間入りをしたのでした。
めでたし めでたし
どんとはれ


というわけで
当日ホレス シルヴァーの素晴らしい"Song for my father"を
聴くことができた会場の皆さんは私のおかげです。

あははははは
もちろん こんなことが無くたって
きっとシルヴァー達は"Song for my father"を
演奏したに違いありませんけどね。

 

シルヴァーの作った作品は歌が入った録音が残されていないものも
すべての作品に歌詞がつけてあるそうです。
彼が何かのインタビューでそういっていたので間違いないと思います。

彼の作品の親しみやすさは
こんなところにも秘密があるようですね。



さて、ながながと三回にわたり
"Song for my father"をお話をしましたが
そろそろこれで終わりにしたいと思います。

今度は"Song for my uncle"の話でもしようかしらん
















2015年03月10日 未分類 トラックバック:0 コメント:6

間が空いてたので内容忘れてました。(笑)
ですが、良い話ですね~。

2015年03月11日 piouhgd URL 編集

店は暇なのですが
びっくるするぐらい私事多忙でして
更新滞り申し訳ありません。

ホレス シルヴァーですけど
本当におしゃれでジェントルな方でした。
今までにお会いしたジャズメンの中では
間違いなく好感度ナンバーワンです。

2015年03月11日 Sonny URL 編集

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2015年04月28日 編集

このコメントは管理者の承認待ちです

2015年05月06日 編集

すごい!いいなー!
ホレスシルヴァーは私も好きでした。ただしいつもクリフォード入りですけど。
私なら写真をお願いした!

2015年08月23日 URL 編集

すみません、
たった今コメントに気付きました(汗)

クリフォード入りと言えばシルヴァーとの接点は
ブルーノートのやつだけでしたっけ?
人から言われないとなかなかブラウニーとシルヴァーの関係は思いつかないですねぇ。

ブラウンとシルヴァー……
なんだかジュエリーみたいですなぁ(笑)

2016年02月04日 Sonny URL 編集












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