左岸爵士協会でのロイ ブルックス 「ザ フリー スレイブ」

free slave
”The Free Slave” (Muse)
Roy Brooks
Woody Shaw (tp)
George Coleman (ts)
Hugh Lawson (p)
Cecil McBee (b)


いわゆるジャズ名盤100選のような本に掲出されるアルバムではない中に
いとおしく思うような素敵な作品が私の中にいくつも存在します。

むしろブルーノートなどの有名レーベルの著名盤よりも
そういった極私的なアルバムのほうを聴く機会のほうが多いと思います。


上記に挙げたアルバムもそういった作品の中の一枚です。

ホレス シルバーのグループでの活躍で有名ですので
ロイ ブルックスの名前はジャズ愛好家の中に浸透していると思います。

このアルバムは彼のミューズでのリーダー作で
レフト バンク ジャズ ソサイエティ主催のライブで録音されたものです。


私がこのアルバムを強く気に入っている大きな理由は
1970年という時代をそのまま封じ込めたようなアルバムに
仕上がっているところです。

ビ バップの名盤は木の股から生まれたわけではなく
1940年代の時代を強く反映したジャズです。

ハード バップもまた1950年代の時代を大きく感じるジャズで
56年-57年に数多のハード バップ名盤が生まれているのは必然でありました。


1970年代と言うのは
一般的に電化マイルズやチック コリアのリターン トゥ フォーエヴァーなどの
それまでのジャズとは一線を画したジャズが主流であったと
多くの人たちに思われている節があります。

しかしながら70年代に残されたジャズを丹念に聴いていけば
それまでのビ バップ ハードバップに連なる大きなジャズの流れが
連綿と続いていることがわかります。


上掲のロイ ブルックスの「ザ フリー スレイブ」は
まさにそれまでのジャズの主流であったところに連なる
本流のジャズアルバムだと言えます。

ソウルフルでアーシーないかにも黒々とした演奏ですが
それまでのファンキーと呼ばれたジャズとは
少し肌合いが違います。

土臭さはあるのですが
かなり都会的で洗練された感じもあり
なんとなく冷めたような空気もあります。


時代に対する期待感や
反する抵抗感もあわせて感じ取れます。

このアルバムを
コルトレーンに連なるスピリチュアルな作品とする向きもあるようですが
私には全くそういうふうには感じ取れません。


ロイ ブルックスとは盟友であった
硬派ジャズの雄ウディ ショウの参加が
このアルバムの大きな背骨になっていると思います。

このアルバムのさまざまな要素のバランスを保つことには
ジョージ コールマンの中庸さもまた大きく寄与したと思います。
 (処女航海で聴かれるとおり適所に置かれた彼はとてもいい仕事をします)


70年代以降の代表的なジャズベーシストとなるセシル マクビー(鞄屋とちゃいますよ)や
通好みのヒュー ローソンの参加もこの好アルバムの大きな要素です。



ケネディが宣言したとおりに人類が月にまで到達し
はたまた泥沼化したベトナム戦争真っ只中のアメリカ

ボルチモアの暖かいジャズファンに囲まれて
この稀有なライブ録音は1970年 四月に
生まれるべくして生まれた素敵なアルバムです。
  





現在はこのアルバムは入手困難なようですが
近年再発されたアルバムはこんなジャケットで発売されています。

ドン シュリッテン ファンの私としては
彼の手になる写真とタイポグラfィのオリジナルジャケットが
断然よろしいなぁ



この記事で紹介したアルバムです
The Free Slave



2016年05月17日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0












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