手持ちの内のヴァン ゲルダーのラスト録音盤


"Chemistry" (highnote)
Houston Person&Ron Carter


ルディ ヴァン ゲルダーの訃報をハッチャーソンのものと共に記事にしました。

その後ゲルダーの最後の録音アルバムは何になるのか気になりました。

亡くなる前週まで録音を行っていたとのことでしたが
ちょっと調べた限りでは最後の彼の仕事がなんであったのか
わかりませんでした。

たとえそれがわかったとしてもその録音が
作品として発売されるには時間がかかるでしょうから
当然今現在では手に入るすべはないわけですけれども。

名高いゲルダーのラストアルバムということですから
商売に敏いメーカーが間違いなく
「不世出の録音技師ルディ ヴァン ゲルダーの最終遺作!」
なんて銘打って発売されることに違いないと思います(笑)。


現時点で私が所有するルディ ヴァン ゲルダーの最新の(最後の?)録音盤は
上記に挙げたヒューストン パースンとロン カーターのデュオ作品です。

数々のデュオ作品がありますがアルバム一枚を通して
テナーサックスとベースのみで作成されたものというにはあまりないと思います。

ですが近年のヒューストン パーソンのハイノートの作品をお持ちで
ロン カーターをある程度聴きこんでいる方ならば
作品を実際に聴いてみなくてもどのような内容になるかは
曲名を見て割と明確に想像できると思います。

想像してみました?
はい そのまんまのアルバムです。

妙なサプライズは無しです(笑)。
安心の保証書付きアルバムですな。

そのうえ録音はヴァン ゲルダーときてるわけですからなおさらのこと。


一般の方々が想像するヴァン ゲルダーサウンドというのは
ブルーノートの諸作のようなものをイメージされることでしょう。

先の記事にも書きましたが
実はゲルダーはCTIの作品などを聴けばわかるとおりに
ブルーノートの録音と比べればハイファイといえる(笑)
録音へと時代とともに進化しています。

CDの時代になり旧来のゲルダー サウンドを残しながら
技術の進歩に伴いゲルダーの音も端々に新しくなっていきました。


ところがですね
ブルーノートがヴァン ゲルダーによるリマスター版の
CDを依頼したころからですが
どんどんと昔の音作りへと回帰するようになったと感じました。

フルーノートの4000番台後半の作品にもかかわらず
ゲルダーの手になるリマスター版はまるで1500番台のような
こてこての音作りへと作り替えられていたのです。

はじめてこれらの作品を聴いた時には
とても驚いたことを覚えています。


いったいぜんたい
ゲルダーに何が起こっているのだ???


さてこのヒューストンとカーターの作品なんですが
これはもうびっくりする位の古色然とした音作りです。

一応ステレオ録音ですし
テナーサックスは右に位置し
ベースは左へと配置されてはいます。

しかしキッチリと指で楽器の輪郭が見えるような定位の仕方ではなく
ボンヤリと二つの楽器が被さりながら配置されています。

しっかりと聞いてなければ
この作品がモノラル録音だと思う人がいるかもしれません。


テナーサックスの音色はゲルダーらしい
金管が鈍く光るような太い音でとらえられていて
それだけでこの作品がゲルダーの手になるものだとわかります。

ベースの音はと言いますと
かなり肥大した感じの音作りです。
かっちりとしたベース音を望む方は期待外れだと思います。


そしてこの二つの楽器の音が
かなり多量の残響を付加して記録されています。

それこそ風呂場の録音か
伝説の踊り場録音といった感じの
50年半ばまでのアルバムのような音作りです。


さすがにもう一度驚きましたな
 またまたヴァン ゲルダーに何が起こったっていうんだ???

ここまで極端に古びた音作りはゲルダー録音にしても
想定外でしたな、

ジャズはモノラル録音が最高とか
シュアーの44カートリッジが最高
なんていう古臭いレコードの再生音が好物の方にはたまらないアルバムです。


person-carter-gelder.jpg
 
アルバムの裏ジャケットにはゲルダーの卒寿をお祝いする
ロン カーターとヒューストン パースンが記載されています。
 アメリカにそんなものがあるわきゃないですけれど

祝っているお二人ももう傘寿のお祝いを済ませているのですけれどもね。

モダンジャズの立役者たちもこうなってみれば
かつてのニューオリンズジャズのリジェンドみたいになってきましたなぁ。


一聴の価値あるアルバムだと思います。




この記事で紹介したアルバムです
ケミストリー (ロン カーター、ヒューストン パースン)

2016年10月22日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:0












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