JAZZ1000回問われた私への質問 4




ジャズはやっぱりライブが一番ですよね 1

 好条件に恵まれたライブの演奏は録音されたものとは比べ物にならないぐらい素晴しいものです。しかしながらたいていの場合録音された佳作のほうがライブの演奏よりも満足のいくリスニング結果が得られます。
 
 誤解されていることのひとつに録音されたものよりも生で聴く音のほうがよいという神話があります。
 ジャズの録音現場ではひとつの楽器の対して数本からドラムスなどでは10本程のマイクが使われるのが普通です。また各楽器どうしの音がかぶってしまい音がにごるのを防ぐために個別の仕切りの中で楽器が演奏されたり適切な遮音が行われます。このことにより細やかなピアノのタッチであったりベースの弦が指でこすられる音、ブラシがスネアを擦る音などが記録されます。
 その後楽器の音量調整や残響を付け加えたりイコライジングなどが施された上でCDなりレコードなりといった媒体が作製されます。
 その結果がとても生々しいと言われるブルーノートの音であったり自然だと呼ばれるコンテンポラリイの音であったりするわけです。
 日ごろ私たちが聴いている録音された音は実は作り上げられた理想のジャズ演奏の音であるわけです。決してこの世の中に自然に存在する音ではないのです。

 一方ライブハウスの現状はどうでしょう。生音とは名ばかりで客席に等しく音を行き渡らせるためにPAが使用される場合がほとんどです。つまりこの時点ですでに生音ではなく電気を通した音を聴いているわけです。それに使用されるマイクやアンプ類といったものもスタジオで使用される高性能のものではなく堅牢製を一義とした製品であることが多いのです。
 またPAを使用しない場合でも問題は山積しています。スタジオのように各楽器間の遮音がないためにそれぞれの楽器の音がそれぞれ共鳴して(特にドラムスとベース)音が濁ってしまいます。
 次にそれぞれの演奏者が自分の出している音と他人の楽器が出している音とのバランスをとることが出来るかという問題があります。各楽器奏者の一人でもそれが出来ない場合はひどく聞きづらい演奏となってしまいます。
 またその演奏を聴く客席の場所も重要です。ドラムスのシンバルの前やPAの片チャンネルまん前に座らせられたりしたらもう満足のいく音を聴くことはかないません。
 演奏が行われている場所の音響特性も重要です。残響が多すぎる部屋ではないか。場所によって大幅に音の聞こえ方が変わったりしないか。
 この様にライブでいい音を聴くことはとてもむつかしいことなのです。
 
 さて今度は実際の演奏についてです。ジャズというのは譜面の音楽ではありませんので演奏の出来不出来はかなりのばらつきがあります。そのためジャズの録音に際してはプロデュウサーの意図によって最適なメンバーが集められリハーサルが行われます。その上で本番が行われ、数回の演奏が記録されます。そしてその中より一番素晴しいと思われる演奏が選択され製品になるわけです。
 ライブの演奏の場ではまず演奏を行うプレイヤーの水準が問われます。レコーディングに際しては最高のメンバーが集められますが普段の演奏ではメンバーの水準が落ちる場合も少なくありません。
 何よりもライブの場では演奏は一発勝負です。演奏ののりが悪かったり間違えてしまったりしてもやり直すことは出来ません。演奏の出来不出来はそのまま結果になってしまうわけです。
 自分の経験からいけば(在大阪)調子のいい演奏に出会う確立は10回のうちに一度あればいいほうだと思います。先日東京のライブハウスのマスターとお話した際にこのことについて話題が及んだ際も「10回に1回ならいいほうだよ」とまったく同意見でした。
  
 さてさて、これでもジャズはライブに限ると言えるでしょうか。
                      
                         (この項続く)
 

2005年09月13日 私のジャズ トラックバック:0 コメント:0












管理者にだけ公開する