金銀パールじゃなくてルビーと真珠のお話


"SECOND GENESIS" (VeeJay)
Wayne Shorter


記事のタイトルに「金、銀、パール……♪」と書いておきながら
ブルーダイヤのプレゼントセールなんて今の子は知らないかなぁと思ったんですが
いや 氷川きよしで復活してたよなぁなんておもいだしはしたものの
それも十年以上も前のはなしだよなぁ と思う今日この頃でございます。


上記のアルバム
ウェイン ショーターの「セカンド ジェネシス」に
"The ruby and the pesrl"と言う曲が収められています。

映画やTVで活躍したリヴィングストン&エヴァンズの作品ですが
あまりジャズでは取りあげられる曲ではなくスタンダードとは足りえず
知る人ぞ知るという曲だと思います。

知名度は別として「ルビーと真珠」と言うこの曲は
とても美しいメロディーで綴られていてしかもエキゾチックで
儚い曲想はとても日本人好みであると感じます。

この曲を演奏するジャズメンが少ないのは不思議な気がするくらいです。


さてこの曲を冒頭の作品でウェイン ショーターがワンホーンで
名演奏に仕立てています。

ちょうどジャズメッセンジャーズに在籍していたころで
ドラムに御大アート ブレイキーをむかえ
ピアノには後に同グループで同僚となるシダー ウォルトンと共に
ハードバップの流儀でざっくりとした感触の演奏になっています。


このアルバム「セカンド ジェネシス」ですが録音は1960年
ところが何故かすぐにリリースされることはなくお蔵入り。

1974年になってようやく発売されたと言ういわくつきのアルバム。

すでに次代のジャズ界を背負うテナーサックスとして注目を集めていた
ショーターのアルバムなのにこれはいったいどういう理由でしょう?



先ほど述べたとおりにあまり録音されることのない「ルビーと真珠」ですが
ジャズの名レーベルブルーノートで発売されたアルバムに収録されてます。

"Back to the Tracks" (blue note)
Tina Brooks


ブルーノートのお馴染みのリズム隊とともに
ブルー ミッチェルのトランペットと「ルビーと真珠」が演奏されています。

ティナ ブルックスの演奏にはもともと中近東風の味わいがありますが
ここでもアラビックな感じで「ルビーと真珠」が料理され
そこにニックネームのブルーよろしくミッチェルのラッパが絡んで
なんとも言えない良さがあります。


このティナ ブルックスの「バック トゥ ザ トラックス」ですが
先の「セカンド ジェネシス」よりも一層のいわくつきのアルバムです。

ブルーノートのコレクターたちの間では非常に有名で
もう伝説になったアルバムと言えるでしょう。

このアルバムはブルーノートのインナースリーブに印刷された
アルバム カタログにジャケット写真とともに掲載されていたのですが
実際にはブルーノートからは発売されることが無かったのです。

今のようなネット社会ではなく容易に情報が収集できる時代ではなかったので
このカタログを根拠にティナ ブルックスの「バック トゥ ザ トラックス」を
探し求めるコレクターが数多発生する事態となりました。

探せど探せどあるはずもなくこのアルバムは
正真正銘に幻の名盤となったわけです。

正確に言えばジャケットの無いテストプレス盤が数枚存在しますが。


アルバムの録音は1960年ですが初めて実際のアルバムとして
モザイクからティナ ブルックスのコンプリートセットとして
発売されたのは1985年の事です。

アルバム単体としてCD化されて容易に手に入れることができるようになったのは
なんと1998年の事でした。


「バック トゥ ザ トラックス」も先の「セカンド ジェネシス」も
録音は1960年。

両アルバムがすんなりとリリースされていれば
"The ruby and the pesrl"はもっと巷間に認知されて
素晴らしい演奏も増えたんじゃぁないでしょうか。

「ルビーと真珠」だけに宝石にまつわる
何かの呪いが……  なんてね。




"Eternal" (Marsalis Music)
Branford Marsalis


もう"The ruby and the pesrl"が演奏されるアルバムなんて
無いのかなぁと思っていたところで突然に発売されたのが
2004年のブランフォード マルサリスの上記アルバム「エターナル」

アルバム冒頭の重要曲に"The ruby and the pesrl"が
収録されています。

中年になったブランフォードが過去の名演になぞらえるわけではなく
等身大の現代人としててらい無く歌い上げるさまがとても良いです。

売らんかなのありきたりのバラード集としての作品ではなくて
じっくり聞きごたえの作品に仕上がっていて
ブランフォードの代表作としても評価してよいと感じます。

自作のバラード作品の一曲目に「ルビーと真珠」を配した
ブランフォードのセンスに拍手を送りたい気持ちです。



マルサリス家のジャズ伝統一家の力で
"The ruby and the pesrl"の呪いも解けて
以降は名演が続出するんじゃぁないかなぁ……

なんて思っていたんですけれども
2018年を迎えてもその気配は全くなし。

どこかにこの名曲を取り上げてくれるミュージシャンは
いないでしょうかねぇ    うふふふふふふ



この記事で紹介したアルバムです
エターナル



2018年04月19日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0












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