ピアノですらのソロをテナーでやっつけるソニー ロリンズ

the solo album sonny rollins
"The Solo Album" (milestone)
Sonny Rollins


前回の記事でソロピアノアルバムについて
すこしのべたのですが今回はテナー サックスでのソロ アルバム!!

ジャズとは何か と問われた時にその大きな要素として
インタープレイをあげるのに多くの方は賛同してもらえると思います。

インタープレイなんて横文字で書いてしまうと小難しく聴こえますが
ミュージシャン同士の音楽での会話の事ですね。

即興を旨とするジャズという音楽では当然のことながら
共演者との密接なコンタクトがないと音楽はバラバラに崩壊してしまいます。

インタープレイの内容がリーダーと共演者の間での相槌であったり
鋭いツッコミであったりあるいは演奏の主導権の奪い合いであったりと
千変万化することから演奏の内容もヴァラエティーに富み
より豊かになることも大きな要素です。
 いわゆる化学変化なんて呼ばれるやつですな


ところがソロという共演者のいないジャズでは
音楽の進行は全て一人きりの演奏者にゆだねられてしまいます。

当然これはミュージシャンにとってはタフな試みであると言えます。

極端な話ソロを取っているミュージシャンが途中で演奏を中断しても
通常のコンボによる演奏ならば他のミュージシャンがフォローして
何事もなかったかのように演奏は続くでしょう。

一人きりでジャズを演奏するという事は演奏のネタやフレージング
音楽の進行そしてエンディングまでのストーリー展開を全て自分で
取り仕切るわけですからその困難さは大変なことです。


ジャズをたった一人きりで演奏するという事はミュージシャンのみならず
聴き手にとっても大きな努力を強いることになります。

通常のピアノ、ベース、ドラムといったリズム隊に
フロントを務めるホーン奏者がいる典型的なジャズコンボによる演奏では
それぞれのミュージシャンによる役割分担のお陰で
聴き手は音楽の進行をいとも簡単に楽しむことが出来ます。
  どこまで深く楽しめるかは聴き手の力量次第ですが

ソロのアルバムという事になるといきおい聴き手は
ミュージシャンの一音一音に集中せざるをえないわけで
なかなかに疲れますわな、


そういうようなことから
ジャズのソロアルバムの多くはピアノやギターがほとんどです。

なぜなら ピアノやギターではメロディーを奏でると同時に
一人二役でバッキングも自身で行えるからです。
  ベースラインとかオブリガードとかですな


で 当然のように一音づつしか音を紡ぎだすことのできない
サックスでソロアルバムを作ろうなんて考える奴はいるはずが……

いたんですな 
 ソニー ロリンズ


テナーサックスのソロアルバムを作るなんてことは
余程の阿呆か天才しか思いつかないことです。
 ロリンズがどちらかは言うまでもありませんけれど

ロリンズのジャズというのはこれはもう本当に即興演奏なわけで
誰も助けてくれないソロアルバムなんて考えてみるだけで
ぞっとします。


他方ロリンズの実際のコンサートに馴染んでいる私には
ソロアルバムはありなんじゃないかとも思えました。

ロリンズが興に乗った時の曲のエンディングに
他の奏者は演奏をやめた中延々とフリーインプロビゼーションで
カデンツアを圧倒的に吹き鳴らすと言ったことに
何度も居合わせていたからです。

それも長い時には20分近くも

ロリンズのライブに足を運ぶことなくアルバムの演奏から
彼の実力を語るのは全く愚かだと思わずにはいられません。


そのソニー ロリンズであってもいつものコンボにように
スムーズに演奏が進むというわけではなく
しかしかえってそのことがロリンズのジャズに対する
ごまかしのない真摯な姿勢が見て取れて感動ものです。

ジャズの本質をまざまざと見せつける
稀有なアルバムだと言えます。

凄いわ ほんまにソニー ロリンズ




この記事で紹介したアルバムです
ザ ソロ アルバム






P.S.
このアルバムにはよく見ると献呈の辞がありまして
"This album is Dedicated to Kendo"
ケンドーって 誰? 
と長らく疑問に思っていたんですけれど
ロリンズが飼っていたペットの犬の名前だそうです
さすが親日家のロリンズ 剣道から付けたんでしょうな
献辞ってのが私 苦手なんですけれど
これなら いいや なんてね 





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