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ザビヌルの愛惜に溢れる「キャノンボール」という名曲

ハロルド ランドの名前が付いた楽曲についての記事を書きましたが
ジャズメンの名前を冠した曲というのは他にいくらもあります。

デューク エリントンやソニー ロリンズ、ジョン コルトレーン、ソニー クラークなど
ジャズに留まらずに他のロックやポップスにもたくさん存在します。


ちょっとここではあまり取り上げられずにいる気がする
キャノンボール アダレイの名前にまつわる曲を紹介。

Black Market Weather Report
"Black Market" (col)
Weather Report


ウェザーリポートの「ブラックマーケット」
ウェザーリポートのベーシストに初めてジャコ パストリアスが
参加した作品です。

このアルバムでジャコが演奏しているのは二曲だけですが
その内の一つに「キャノンボール」があります。

もちろんキャノンボール アダレイに捧げられた曲です。
  キャノンボールというのは愛称ですね
  本名はジュリアン
  もともとこのキャノンボールというあだ名は彼の大食漢に対して
  友人が「人でも喰っちまいそうだぜ」という意味で「カンニバル」と
  呼んでいたものが「キャノンボール」に転訛したもの
  いかにも彼の巨漢と演奏振りにピッタリですな

このキャノンボールのグループにキーボードとしてメンバーだったのが
ウェザーリポートのジョー ザビヌルでした。

かのキャノンボールの大ヒットチューン「マーシー マーシー マーシー」
はザビヌルの筆によるものです。

このアルバムの収録に先立ってキャノンボールが急逝したため
ザビヌルが彼を哀悼して作った曲が「キャノンボール」です。
  この間紹介したヴィクター フェルドマンもキャノンボールのグループに
  在籍していましたがファンキーを売り物にする彼が
  相次いでヨーロッパ出身の白人ミュージシャンを
  使ったのは面白いですね


ジャコ パストリアスがウェザーリポートのメンバーになったのには
フロリダで直接に彼のザビヌルへの売り込みがあったそうです。

キャノンボールが大好きで「マーシー マーシー マーシー」がお気に入りでで
「俺は世界で最高のベーシストだ」と自己紹介したのだとか。

その時にザビヌルはちょっと頭がいかれた奴だと感じたそうですが
デモテープには感心したそうです。


この「キャノンボール」という曲を吹き込むにあたって
キャノンボールと同じフロリダ出身のジャコを使うのはどうかと思いついて
ザビヌルはオーディションを兼ねてスタジオに呼び寄せました。

いざジャコに「キャノンボール」を演奏させてみると
彼は自分の力量のありったけをぶち込んで演奏したので
 「俺の曲を台無しにする気か このくそ野郎が」
とザビヌルは怒ったそうです。

しかしこの曲は「キャノンボール」へ捧げる曲だと
30分ばかり指導するとジャコの演奏は見違えるように
素晴らしく楽曲にフィットしたものに変化したんだとか。
  さすが 天才 ジャコ パストリアス


実際に聴いてみると「キャノンボール」はジョー ザビヌルの
キャノンボールに対する敬愛がびっしりと詰まった
慈しむように彼を回顧する演奏が繰り広げられています。

ジャコの彼にしか成しえないフレットレスエレキベースの
エモーショナルに溢れた美しい演奏に感動します。
  くそったれの演奏が30分でこうなりますかなぁ

ただただ情緒に流された甘いだけの演奏に終わるのではなく
ピシリと吹ききるウェイン ショーターのサックスと
周到に練られたザビヌルの構成力がマッチし情景が浮かぶような名演です。


このアルバムがウェザーリポートの七枚目の作品になりますが
ショーターの演奏にはザビヌルが見え隠れし
またザビヌルのフレーズにもショーターの影響が見えます。

この頃がショーターとザビヌルの一番の蜜月期であったように思えます。

ショーター ザビヌルのコリーダーグループとして発展してきたウェザーリポートですが
ジャコが加入したこの頃からそのバランスは微妙に変化していきます。
  長くなるのでこの辺の事はまたの機会に



ザビヌルとキャノンボールの関係は演奏時だけに終わらずに
私生活でも家族ぐるみ付き合いであったそうです。

ザビヌルの婚姻時の証人はキャノンボールでだったという事からも
その親密さは知れます。

そのことがあってこその素晴らしい楽曲が生まれたのですね。





この記事で紹介したアルバムです
ブラックマ-ケット



2018年10月25日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0












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