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実は実験好きだったドナルド バードの「電気鳥」

Donald Byrd ‎– Electric Byrd
"Electric Byrd" (bluenote)
Donald Byrd


なかなか日本盤も発売されなかったドナルド バードの「エレクトリック バード」

ドナルド バードのイメージというのはジャズファンの中でも
様々ではないかと思います。

1950年代から活発に活動していますので古典好きなファンには
サヴォイやプレスティッジそしてブルーノートの4000盤台前半に聴かれる
ハードバッパーとしてのバードのイメージがあるでしょう。

そういえばドナルド バードはジャズメッセンジャーズの初期頃のメンバーですしね。


後にDJ達に再発見されたことでも有名になった後期ブルーノートのヒット作
「ブラック バード」以降のイメージが強いと言う方もおられるでしょうね。


かと思えばコロンビアやジュビリーに残されたジジ グライスとの
コリーダー グループ 「ジャズ ラボ」での作品も特筆すべきものです。

ドナルド バードもジジ グライスも共にクラシック音楽の名伯楽
ナディア ブーランジェに師事した理論派。

残念なことに一般的なジャズファンにはこのグループは敬遠されがちですけれども。


といった具合に彼の残したアルバムはヴァラエティーに富んでいます。

そのバードの残したアルバムの中でも「エレクトリックバード」は
かなり面白いアルバムだと思います。

大雑把に言ってしまえば「エレクトリックバード」は
マイルズの「イナ サイレント ウェイ」そして「ビッチズ ブルー」に対しての
バードなりの回答であったと言えます。


1950年代に活躍し始めたころのバードは同時期の他のトランぺッター達の
多くがそうであったようにマイルズの強い影響を感じさせます。

同時にファッツ ナヴァロからクリフォード ブラウンの路線につながる
ハードバッパーの影響も感じます。

ブルーノートにリーダーアルバムを発表し始めた頃からは
ファンキーな演奏も会得しオリジナリティーを発揮して
「フエゴ」といったジャズ喫茶名盤を出すようになりました。


さてこの1970年に製作された「エレクトリックバード」ですが
ここへ来てまたもや先に述べたようにマイルズ デイヴィスに
強く触発されたようです。

ただマイルズの「ビッチズ ブルー」を代表とする一連の作品が
強力なリズムの上に即興演奏を基本としてコラージュ的に
作成されたのに対して
この「エレクトリック バード」はしっかりとアレンジメントされた
アンサンブルの上でエレクトリックマイルズ風のバードが演奏するといった
仕掛けになっています。

バラード演奏ではやはり後年までマイルズの影響を感じさせるバードですが
ここではもうマイルズに成りきった演奏全開です。

曲の出だしや雰囲気には当時のマイルズバンド風なのですが
実際の演奏自体はしっかりと構成されていて普通に楽しめる作品です。

よくできた作品だなぁと久しぶりに聴き返して感じました。

「ビッチズ ブルー」が苦手なあなたもこれなら安心して
楽しめます(笑)。


録音された当時はお蔵入りになったバードの作品で
この「エレクトリック バード」の一つ前に収録されたものに
"kofi"があります。

現在は発掘発売されCDで聴くことが出来ますが
「エレクトリック バード」に至るまでの習作のように聴こえます。

なんだか今一つ吹っ切れない中途半場な感じがします。


この時代のブルーノートにはすでにアルフレッド ライオンはいませんが
惜しげもなくアルバムを没にする姿勢は堅持されていたようです。
  もっともフランシス ウルフは在職している時期ですが


録音にはエコーやリバーブ等のエフェクトがふんだんに使用されていますが
やはりヴァン ゲルダーの仕事なんでしょうか。

後のCTIの作品群もゲルダーの録音であるのだから
当然と言えば当選ですけれどね。
  ちょっと面白い


電化したマイルズはこの時期の演奏をロック的なものから
協力にソウルファンク化させリズムもどんどん強化させていきます。

が それに対してドナルド バードはいわゆるスムースジャズへと
方向をシフトさせ「ブラック バード」の大ヒットをかっ飛ばします。

マイルズが途中演奏を中断させていた間もどんどんとバードは
それらの路線を万進していくわけですが
結局ところマイルズとバードのジャズ観は全く違っていたわけですな。

このアルバムの真価は逆説的ですが
あまりマイルズの演奏に聴き手が引きずられないで聴くほうが良いです。


色々な意味で楽しめる「エレクトリック バード」です。



この記事で紹介したアルバムです
エレクトリック バード




2018年11月01日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0












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