今年一番聴いたレコードはティモンズの"Do you know the way"

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"Do You Know The Way?" (milestone)
Bobby Timmons


「サン ホセへの道はご存知?」
バート バカラックの数多いヒット曲の中の一つ。

軽々とした洒脱なメロディーとは対照的に
歌詞の内容はなかなか意味深いものです。

都会での成功を夢見て一度はその手に夢をつかんだ者が
やがて夢破れ
平和なかつての安住の地 サン ホセへ帰ろうとする
けれども住み慣れたはずのサン ホセへの道がわからずに
「サン ホセへの道はご存知?」
と通りすがりの人に問う歌になっています。


上記のボビー ティモンズの1968年のアルバム"Do You Know The Way?"は
あまりジャズ好きの間でも話題にあがることが少ないと思います。

ですが私の今年一番お皿に載せたアルバムはこの"Do You Know The Way?"です。


ボビー ティモンズは若くしてジャズメッセンジャーズやキャノンボールのグループで
頭角をあらわしリーダー作も残して人気のピアニストとなりました。

残念なことにジャズメンにありがちなお薬の問題をティモンズは抱えていて
演奏が断続的になったりムラがあったりするようなことが続きました。


この作品はかつてリヴァーサイドでティモンズの良質な作品を手掛けた
オリン キープニューズのレーベルマイルストーンにより作成されました。

完全復活を願うティモンズの演奏にプロデューサーのキープニューズの
暖かい目が注がれているのが感じられます。

ジャケットに写る正装したティモンズの姿からも心機一転して
新しいジャズに取り組もうとする意気込みがうかがえます。


メンバーにはベースにボブ クランショウ
ドラムにジャック ディジョネット
そしてギターにはジョー ベックが5曲に参加しています。

かつてファンキージャズで成功を収めたティモンズが
更に今のジャズに踏み込んでいこうとする布陣だと言えましょう。


全編にわたって強く感じるのはティモンズはもちろんの事
メンバーたちが強いテンションを持って丁寧に音楽を紡いでいることです。

ティモンズが今までに築いたファンキー一辺倒で音楽を仕上げるのではなく
本来ジャズが持っている
現在ただいまでの二度と同じ演奏を繰り広げないという想いが
全員に伝わり聴きごたえのあるアルバムに仕上がっています。


このアルバムについてティモンズが新しく試みたジャズが
完成されたものになったかというとそうではないでしょう。

このアルバムの演奏内容の不完全さをあげつらうのは
簡単なことです。

まだまだ演奏としては荒削りでティモンズが意図しようとしたことが
全き姿であらわせているとは言えないでしょう。
   もがくティモンズとそれに応えるメンバー

しかしながら私はこの作品の完成度などよりも
ティモンズがそしてメンバー全員が目指そうとしている
等身大で進行形であるジャズ奏者としてのなかに
とてつもない魅力を感じます。

もう少し突っ込んで言えば同じことをおざなりに繰り返すようなジャズよりも
前に進んでいこうとする大きな力を感じるジャズこそが魅力的であると
強く思っています。
  これこそがジャズ


バラード演奏にも定評のあるティモンズがB面二曲目で繰り広げる
噛みしめるようなエリントン=ストレイホーンの手になる
"Something To Live For"

なんとも意味深長なタイトル



ここからティモンズの充実した作品が続く予感が……
とはいかないのが人生か

このアルバムがボビー ティモンズの公式では最後のアルバムと
なってしまいました。
    この後二作品ほど彼の参加作があるがこのアルバムの流れは感じられない


世間での評価はともかくとして今年
私にとってはジャズの愛すべき作品がまた一つ増えました。


"Do You Know The Way?"
    道はどこに?






この記事で紹介したアルバムです
サン ホセへの道はご存知




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