ジャズ喫茶でのいいリクエストって???



  ある人から「出張先でジャズ喫茶に行こうと思うんですけど、リクエストするのにこれはというアルバムってありませんか?」という質問を受けました。どういう意味か図りかねたので良く問いただしてみると、どうやら自分はジャズを良く知っているのだぞという格好をつけようとするための目的のようです。
 困ったなあと思いながら数枚のアルバムを教えましたが、そのアルバムをリクエストした後はどうするつもりなのか気になりました。その一枚のリクエストはいいもののその後の会話はどうするつもりなのでしょう。じきに化けの皮がはがれてしまうのは間違いないと思うのですが。

 それはさておきジャズ喫茶でのいいリクエストとは一体なんでしょう。自分が聞きたければなんであれリクエストしてもいいようなものですが、最低限のルールはあるように思います。ジャズ喫茶をやっていた頃の経験から少しばかり考えてみました。

 リクエストしたアルバムが終了するまで帰らない
 当たり前のことですが信じられないことにリクエストしたアルバムが終わらない前に帰ってしまう人がちらほらいるのです。これはお店に対してとても失礼なことです。時間に余裕がないのならリクエストなどしないことです。

 リクエストしたアルバムはちゃんと聴く
リクエストしたアルバムがかかっているのに、一緒に来た人と大きな声で会話をする人も結構います。また音楽そっちのけで持参の本を読みふけるのもあまりいいものではありません。ちゃんと聴かないのならこれまたリクエストはしないことです。

 周りの雰囲気を考える
 夜も更けて他の人たちがお酒を飲んでくつろいでジャズを楽しんでいる時に、ジュゼッピ ローガン(どフリー!)などといったアルバムをリクエストしても、まずかけてもらえるはずがありません。ジャズ喫茶は自宅で聴くのと違って他人も一緒に聴くわけですから、多少は場を読んでリクエストしましょう。
 
 なんだか幼稚園児にものを教えている気分になってきましたが、要するに常識で考えてリクエストすればいいのですけれども…

 意味のあるリクエストとは何かと考えてみますと、まずは聴いたことのないアルバムをリクエストするのが一番有効な事だと思います。特に新譜などは全てを自前で購入するのは難しいでしょうから、リクエストして聴いてみるのはいい事だと思います。

 …でも正直に本音を言いますと、ジャズ喫茶ではリクエストはしないのが一番です。ジャズ喫茶の店主というのは、どのアルバムの次にどのアルバムをかければいいのかに心を砕いているものです。というか、それこそがジャズ喫茶の店主の存在意義だと言い切ってもいいと思います。
 同じアルバムであってもかける順番を誤ってしまえばその良さを発揮する事はできません。今までかけてきたアルバムを考えその2,3枚先のアルバムを見通しながら次にかけるアルバムを選んでいるのです。駄盤だと呼ばれているアルバムも、かける場所を間違えなければ光り輝く名盤に聴こえるものです。当然名盤だってその逆もありえるわけです。
 店主はまたお客さんの反応も注意深く見守っているはずです。かけているアルバムに興味を示しているのか、嫌悪感を感じているのか、ジャズに対して深い理解が有りそうか、ジャズに対してまったく興味がないのか、お客さんの入り具合はどうか、客層はどうか etc.
そういった中から最適な一枚をあやまたずに選択しようと考えるのがジャズ喫茶の店主です。
 私も多くのジャズ喫茶で様々なアルバムを教えてもらう事ができました。ジャズの解説書に書かれているようなアルバムはジャズの中のほんの一握りでしかありません。また本の中のアルバムたちは動かない死体のようなもので、ジャズ喫茶の中で店主達によって最適な場を与えられ生き生きと躍動するさまを聴くこととは雲泥の差が有ります。
 
 ジャズ喫茶ではリクエストはしないのがたいていの場合正解であると考える次第です。

2005年10月31日 象をなでながら考えるJAZZ トラックバック:0 コメント:4

こんにちわ。
書いてある事が極々当たり前の事だから逆に強烈なカウンターパンチのようです。
始めは笑いながらも、お店をやっている側の人が書かないと判らない人も居るんだなと感心しました。

最近はJAZZ喫茶へ行っていませんが、昔はその時に聴きたい音楽でお店を選んだりしていました。お店の人も他の人も全てが私よりも詳しい人だと思っていたのでリクエストなんて恐れ多い事を考えた事は一度も有りませんでした。今でも無理です~。

2005年11月06日 falso URL 編集

falsoさん、ご訪問ありがとうございます。
普通の人には信じられない態度のお客さんもいらっしゃいます。どうやら私の考える常識は、実は言わないとわからないことなのかなとも思っていたのでfalsoさんのコメントに安心しました。
 機会があればまたジャズ喫茶にも足をお運びください。また新たな発見もあるかと思います。

2005年11月06日 Sonny URL 編集

足跡からフラフラやってまいりました。
ジャズ喫茶、ジャズバー、何件か行きましたが、
あたしは客側の意見としては、
驕った店主の店には行きたくない、ということです。

sonnyさんのこのコメントを読んで思ったのは
ジャズ喫茶の店主もDJであるということ。
よりよい音楽を他の人に教える立場ですよね。

あたしは地元のジャズ喫茶で、色々な
素敵なアーティストを知ることができました。
それも店主さんの人柄と、音楽には
素人も玄人もない、という考え方の賜物だと
思っています。

しかし、残念ながら、地元のジャズバーでは
自分のジャズ理念を押し付けて、
『ジャズ好以外は入店お断り』という店もあり、
以前知り合いのピアニストが飲んでいたので
行った時に、とても不快な思いをさせられました。
それ以後は一度も足を踏み入れてませんし、
そこでライブしているボーカルの女の子の
話によると、歌う場所を与えてやっているんだから
なんてことを言われたそうです。

音楽に対しての情熱の方向性が
かなり違う方向に行っているな、と思います。

しかし、sonnyさんの書いてあることは
音楽が好きな人間だったら
言わなくても分かることですよね。
音楽は格好をつけるのに聴くものじゃないのに、
特にジャズに関しては理論の音楽だから
ウンチク言わなきゃいけないと勘違いしている人が
どうも結構いるような気がして寂しいです…。

長々と失礼致しました。

2005年11月23日 橋本のじ URL 編集

のじさんコメントありがとう御座います。

「音楽は格好をつけるのに聴くものじゃないのに」
 まったくそのとおりです。音楽は楽しむ為にあるものです。ジャズとて同じことです。

「特にジャズに関しては理論の音楽だから
ウンチク言わなきゃいけないと勘違いしている人がどうも結構いるような気がして寂しいです…」
 これもまたまったく同感です。私もジャズを聴き始めた頃に勘違いした団塊世代の似非ジャズ愛好家に随分といじめられたものです。今ではハッキリ断言できることですがジャズを聴くのに理論や歴史などはまったく不要です。
おいしい料理を食べるのにその作り方を知る必要が無いのと同じことです。
 のじさんもご自分のスタンスでジャズを楽しまれるといいと思います。少しぐらいけったいな店のオヤジにいやな思いをさせられたからといって、ジャズを嫌いにならないでいただきたいと願うばかりです。
 またご訪問ください、これからもよろしくお願いいたします。
 


2005年11月24日 Sonny URL 編集












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