ジャズを愛するはずがいつのまにか懐メロファンに

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ジャズを聴こうと思った人たちが陥る大きな罠にジャズを過去のものだと
思い込んでしまうことがあります。

多くのジャズ愛好家と自称する人たちが好むのは
1955年から1964年ぐらいまでのはるか昔の音楽です。

確かにこの時期に多くのジャズジャイアンツ達が
素晴らしいアルバムを残してはいます。

多くのジャズ喫茶やジャズファンたちがこれら半世紀以上も前の音楽を
最高だと推奨している事実もあります。

ソニー ロリンズ「サキソフォン コロッサス」
マイルズ デイビス「カインド オブ ブルー」
ビル エヴァンズ「ワルツ フォー デビィ」
ジョン コルトレーン「至上の愛」
    etc. etc. (©Kumiko Ooba)

これら半世紀以上も前の音楽は時による検証を受け
生き残ってきた間違いのない名盤と呼べるもの達です。

ジャズを本当に理解していようがいまいがこれらの名盤たちを
ジャズを聴き始めた人に推奨することは正しいことのようですし
反論の余地もありません。


ただしこれらの名盤と言われるもののかつては
当時の新譜であったという事実を忘れてはいけません。

つまりは時によって当時の新譜たちが淘汰され
現代の人にも受け入れられる作品が名盤として残されたわけです。

他方これらの名盤が作成された当時にリアルタイムでこれらの作品を
耳にした人たちが感じた印象が
我々に理解できるものではないことも事実です。

その当時の時代的背景
どんな世相であったのか
どんな文化、価値観であったのか
と言ったものを我々は無視するか想像するしかありません。

言い換えると今の私たちには理解できていなくても
当時の人たちは感じ取れたものはもっとあったはずです。
  実はそれこそがジャズ
  二度と繰り返すことが出来ない即興を旨とするその場限りのジャズ

ビバップが始動した時の背景や意味
クールジャズが勃興した時の背景や意味
ハードバップが隆盛となった時の背景や意味
そして モードが フリーが ……
こういった今まさに起こりつつあるものを丸ごと楽しむのがジャズ

その場限りのあだ花のようなものであっても
いやキワモノのようなものこそジャズであるともいえましょう。

歴史に残らなくたってその場限りでも輝いたのならばそれは素敵なジャズです。

昔の古いジャズばかりを聴いていると
折角の旬なジャズを聴きのがすことになります。
  ジャズはいまここで現場で起こっている

そういう意味で言うとジャズを記録物として聴くだけではなく
コンサートやライブで楽しむことは非常に大きな意味のあることです。


ジャズを昔の名盤の中にしかないものと思い込んでしまえば(ジャズを型にはめると)
当然今の新しいジャズを受け入れる感性は閉じてしまいます。

失敗したくないから評価の定まった昔の名盤たちに限って聴くという行為は
実はあなたのジャズを聴く力を限定するという皮肉な結果を産むことになります。

放っておいても昔の名盤たちは勝手に耳に入ってくると思います。

それよりは意識的に新しい現在のジャズを聴こうと少し思って下さるのなら
あなたのジャズの世界は大きく開かれるようになると思います。

回り道は実は近道なのです。



「源氏物語」や「坊ちゃん」を読んでからじゃないと
「騎士団長殺し」や「蜜蜂と遠雷」を読んじゃいけないなんておかしいでしょ。

今美味しいものは今食べないと


Jazz lives!


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