ブルーノートにさよならを

ジャズの愛好家たちの多くの方がブルーノートを称賛されています。
この傾向はもう何十年も前からですが
近年はますます強まっているように感じます。

ジャズレコードの中古市場などを見回してみるとレアアイテムは別として
ブルーノートの価格は飛びぬけています。
80年代の半ば頃ですと日本盤での出版が進んでいたブルーノートより
ほぼ実物を見かけることが少なかったリバーサイドやジャズランド、プレスティッジ、ニュージャズ
そういったレコードの価格が高めで設定されていました。
ところが現在はブルーノートの一人勝ちといった状況です。

以前にもありましたが近年またブルーノートの映画が作成されて
人気を博しているようです。

SNSの世界でもブルーノートの愛好家の声が大きくきこえます。

これらの事をみてもブルーノートの人気はいよいよ増していると感じます。

「ブルーノートこそジャズの最高峰」
「ブルーノートさえ聴けばジャズはわかる」
「ブルーノートにはずれはない」
「ブルーノート以外のレーベルは格が下がる」


私もまたブルーノートが好きですがこれらの意見には全く反対です。
以前にも記事にしたのですがブルーノートだけでジャズは語れません。

なぜならブルーノートはアルフレッド ライオンの考えるジャズだからです。

ブルーノートはアルフレッド ライオンの理想とするジャズを実現するために
ミュージシャンを厳選し
リハーサルを入念に行い
何度も演奏を繰り返し傷の無いベストな演奏を選択し
理想とする音作りをルディ ヴァン ゲルダーと追い求め
相方のフランシス ウルフの写真とリード マイルズのデザインにより
レコードを作成したからです。

これらは全てひとりアルフレッド ライオンの求めるジャズを実現したものでした。

このことからブルーノートの作品たちは
聴かせどころに焦点が定まっていて
誰にもわかりやすく安定感のある作品に仕上がっているのです。

ジャケットに至っても統一感があり誰もがブルーノートだとわかる
アルバムの装丁となっています。


反面ブルーノートにはジャズの持つ大きな美点が欠けています。
 その場で構築される音楽の新鮮さや自由さがない
 限られた演奏者達だけが採用され多様性が乏しい
 消え入るような繊細さや優美さがすくない
 蓋然性や不測の事態をもプラスにする力強さやおおらかさがない

アルフレッド ライオンの徹底したジャズに対する審美眼が
ジャズのおいしさの多くを損なう結果にもなっています。


ブルーノートの最大の美点はアルフレッド ライオンの視点で構築された
安定して誰にもわかりやすいジャズであることに尽きると思います。

これらの事によってブルーノートが称賛されるのは当然だと思いますが
ジャズにはもっと様々な面白さがあります。

同時代のレーベルたちですと
プレスティッジ、リバーサイド、コンテンポラリー、サヴォイ
アトランティック、インパルス、キャピトル、パシフィック
ヴァーヴ、アーゴ、ヴィージェイ、ベツレヘム、CBS、RCA、etc.
比較的知られているレーベルだけでもいくらもあります。

それぞれのレーベルごとにそれぞれの個性があり
そのレーベルでしか味わうことが出来ないジャズがあります。

ブルーノートが有するジャズの価値観だけでジャズを語るのは
とても貧しいことです。

ジャズの世界はもっと雄大でもっと楽しみに満ち溢れています。

ジャズの楽しみをブルーノートで知ったのなら
さらにいろいろなレーベルの中にジャズの面白さを見つけ出してください。

とっつきにくいレーベルや作品もあるかもしれませんが
だんだんとその面白さが分かるようになると思います。

色々な面白さがジャズの真骨頂です。

ブルーノートでジャズの楽しさを知ったあなた
しばらくしたらいったんブルーノートにさよならを





ブルーノートでなくECMでジャズの面白さを知ったあなたも
しばらくしたらいったんECMにさよならを








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