新年ということでショーン ジョーンズを




"Gemini" Sean Jones(MACK AVENUE)

 ジャズの専門月刊誌の一月号の表紙を飾ったのはビル エヴァンズでした。エヴァンズの音楽について文句を言うつもりはさらさら無いのですが、「いまさらエヴァンズ…」という気持ちはぬぐいえない気がします。新しい日本のミュージシャンについて積極的に支援しているような記事もあるようですが、かの雑誌の本音はこんなところにあるような気がします。ちなみに昨年の一月号の表紙はコルトレーンでした。
 ジャズジャーナリズムでのジャズの懐メロ化はもう固着したようで、生きている現在のジャズを紹介しようという気概はまったく見えてきません。彼らにとってはもうジャズはとっくに死んだものだということでしょう。

 さて今回は27歳のトランペッター ショーン ジョーンズのリーダー2作目のアルバムを紹介したいと思います。彼の名を聞くのは初めてだという方も多いでしょうがメインストリームな演奏を得意とする、大変上手いトランペッターです。リンカーン ジャズ オーケストラの一員でもあり、アメリカのジャズ誌などを見てみると彼の注目度はなかなかのものす。
 このアルバムは二部構成となっていて、前半はオーソドックスなメインストリームな演奏。後半はキーボード(なんとオリン エヴァンズ)を加えたちょっと新しめな演奏になっています。全ての曲がショーン自身の自作曲で構成されていますが、彼の作曲はたいしたものでとても親しみやすいこなれた曲想で作成されています。
 前半の曲(ピアノはマルグリュー ミラー)ではブルーノートの4000番台と見紛うばかりの佳曲が揃っています。仮に1960年代のブルーノートの作品だと言って聞かせれば、かなりの人がそう思うに違いないでしょう。それぐらいアレンジメントはかっちりとしていますし、ソロにもまったく破綻が見られないしっかりとした作品に仕上がっています。
 最近のミュージシャンはたいていそうなのですが、彼もまた様々なミュージシャンを良く研究し自分のものにしていることがわかります。マイルズ デイヴィス、フレディ ハバード、ウディ ショウ、そしてリンカーン ジャズ オーケストラに所属することからお分かりのとおりウィントン マルサリスの影響も受けています。
 他の新人同様演奏はとても上手いのですが、彼の場合はそれぞれのスタイルが非常にこなれていて、将来性として非凡なものを感じさせます。ただショーン自身の個性という面ではまだハッキリとしたものは指摘できないようです。これからの飛躍が待たれるところです。
 まあ一種の青田買いなのですが、こういった若いミュージシャンが大化けするのを見守るのは楽しみなことです。できうれば、ロイ ハーグロイブのような個性あふれるミュージシャンになってもらいたいものです。ロイやニコラス ペイトンのデビュー時も様々なミュージシャン、特にウィントンの影響が大きかったのですが見事に自身の個性をかちえました。ショーンにも期待したいと思います。
 どうもこういった正統なミュージシャンはマスメディアの紹介するもので私の任にはあらずといった感がするのですが、彼の作品が日本盤で出ない以上、紹介しないのも惜しいなあと思ったしだいです。
 


2006年01月10日 新譜紹介 トラックバック:0 コメント:2

こんにちわ。
とっても痛い業界の姿が浮き彫りにされる出来事ですね(笑)。
そうしないと売れ無いと言う事実を突きつけられたとしてもJAZZファンを引っ張っていく様な姿勢も見たい気がします。過去の物を大切なするジャンルだからこそ、将来「過去の名盤」を作り出す人たちに力を入れてもらいたい気もします。
少々違うかもしれませんが、アルバムの価格も考えてほしい気がします。輸入盤を締め出す事ばかりに気を使わないで、価格形態の見直しを是非してもらいたいです。3,000円のアルバムと1,500円のアルバムと同じ様に聞きたいと思った場合、安い方に手を出すのが人だと思います。芸術作品云々であぐらをかく前に大衆娯楽だという部分に目を向けてほしいです。

すいません、長々と愚痴を書いてしまいました。Sonnyさんのせいでもないのにね(笑)。
ペイトン、ルーニーあたりは、聴き応えの有る良いアルバムを作っていますね。

2006年01月15日 falso URL 編集

falsoさん、コメントありがとうございます。
私はもうジャズジャーナリズムには期待を持たなくなってしまいました。少数のお店をのぞきジャズ喫茶も懐メロ喫茶に成り果てています。
悲しいですが現状はこのとおりです。
 制作側ではなかなかいいアルバム作りをしているメーカーもあるのですが、ちゃんとした評価の出来るジャーナリズムが無いために、消費者サイドは玉石混交の新譜に戸惑うばかりだと思います。
 新譜の値段ですが、現在のジャズ市場では一般大衆を巻き込んだ制作をしないかぎり、売り上げは国内で3000枚を見込むのがやっとというのがありていな数字です。1万枚を超えれば大ヒットという感じです。
 後は掛け算をすればわかるとおりで一枚3000円*3000枚で900万程度の売り上げにしかなりません。一般的なアルバムの製造には数百万(スタジオ経費やギャラによってばらつきは有りますが)、そして宣伝経費がさらに数百万かかるとすると利益を生むのは並大抵ではありません。
 一方昔の名盤は当の昔に制作費用は償却されていますので、版権の取得費用以外は全て利益になるわけです。その上名盤というわけでさしたる宣伝をしなくてもある程度のコンスタントな売り上げは見込めるわけです。低リスクで確実な利益を上げることが出来るわけです。
 こうなると新譜の値段を下げるというのは実現は望みにくいということになります。
 製作者は長期にわたりアルバムを売り続ける努力が必要だと思います。短期的な視野で商売をつづける限りジャズの懐メロ化は避けることが出来ないように思います。
 あとfalsoさんがおっしゃるとおりに一般の方が手にできるようなエンタテイメントに重心を置いたアルバム作りも大切だと思います。一般の方にも買えるアルバムを作らない限りジャズの市場は3000枚で収束してしまうわけですから。アルバムの内容は措くとして澤野工房のアルバムがいい例だと思います。
 先にも述べたことですが、いずれにしてもちゃんとした批評あるいは新しい切り口のジャズ観を持った若い人達の台頭が必要だと思います。団塊のおじさんたちの評価を鵜呑みにする人達だけのジャズではもう先は見えてしまっています。
 私は現在ほとんどのアルバムを海外版で入手します。一方には日本盤になるアルバムが圧倒的に少ないのと、価格も2000円前後でなんとかなるという理由からです。
 私も長々と書いてしまいました。本文よりコメントが長くなると本末転倒ですね。
 最後に確かにペイトンやルーニーは先達の影響から個性を確立したいいミュージシャンになったと思います。ショーンにもそうなって欲しいですね。

2006年01月16日 Sonny URL 編集












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