フランク モーガン 金太郎あめと言われても



"Love,lost&found" Frank Morgan(Telark)

 「バップ全盛期に作品を残し麻薬のために引退状態を余儀なくされ、後に70年代にクラブシーンにカムバックしたアルトサックス……」 と書き出されればジャズファンの方の10人のうち9人の方はアート ペッパーをお想いになられるのではないでしょうか。そしてそのうち一人ぐらいの方はフランク モーガンを想い浮かべられるかも知れません。
 それほどモーガンとペッパーの活動はダブって見えてきます。しかも復帰後にはピアノのジョージ ケーブルズをともないコンテンポラリーにリーダー作を残しています。ここまで似ているとかなり不思議な気持ちがしてきます。
 しかしながら復帰後のペッパーがジャズファンの間でかなりの認識があるのに比べモーガンの方はそれほどでもないように思います。アルティストとしての格の違いだという方もあるでしょうが、中々どうしてモーガンも魅力的なアルト吹きです。
 ジャズをこれから聴いてみたいという方に復帰後のフランク モーガンをお薦めするとたいていの場合気に入って貰えます。

 復帰以前のただ一枚のリーダー作であるGNP盤はウォデル グレィの最後の録音でもあり、そのうえ夭逝のピアニスト カール パーキンスの参加もあり中々の人気盤となっているようです。
 内容としてはマチートによるラテンリズムセクションが加わっていてちょうどチャーリー パーカーの"Fiesta"を思わせる仕上がりになっています。アップテンポの曲ではまさにパーカー派と呼ばれるプレイで快調に吹ききっています。
 このあたりの演奏ぶりからもペッパーとの類似を指摘する向きもあるようですが、55年当時のアルティストではこの様な吹奏をするのは普通だとも言えるようです。個人的には一番似ているとすればヴァイ レッドではないかなと思います。
 22歳のパーカー派の若武者としてこれからが期待される演奏ですが注目していただきたいのはスローな曲での彼の吹きっぷりです。じゃっかんしゃくりあげるような唄い方と硬質な音色があいまってとても魅力的なトラックになっています。スペースの上に乗せていくメロディの配置も中々個性的で耳をひきつけるものがあります。

 冒頭にあげた写真のアルバムはその初リーダー作より40年が経過した95年の作品です。ピアノにシダー ウォルトン、ベースにレイ ブラウン、ドラムスにビリー ヒギンズといったベテラン勢をしたがえ、ワンホーンで吹き込まれた物です。
 ここで着目していただきたいのが1曲目の"The nearness of you"です。この曲は先に記した初リーダー作でも演奏されていた曲です。先に述べたようなモーガンの美点がそのままこの演奏でも聴いてとれます。それ付け加えて、音色の力強さが増しているのもハッキリと感じます。またスペースの使い方もさらに自由さを増しています。
 40年の人生を経てかれは若き日のよさを失うことなく、多くの物を自らの手に入れたようです。
 アップテンポの曲では少し単調になってしまうところがあるモーガンですが、語り物の曲では他のプレーヤーでは味わえない素晴しさを持っていると思います。
 この紹介したアルバムはスローな曲で構成されていて彼の魅力が十分に味わえると思います。シダー以下のリズム隊の演奏も全く申し分なくスタンダード曲をゆったりと楽しめる佳品としてお薦めいたします。
 



2006年03月28日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:2

こんにちわ。
私は単純に出来ているので、リズム・セクションの3人の名前の羅列だけで、ぐぐっと来てしまいます。
1995年でテラークでフランク・モーガンですか。私が普段あまり手を出さない場所ですね。
今テラークでパッと頭に浮かんだのは、季節外れのオムニのクリスマス・ジャズ・アルバムでした(恥)。

2006年03月30日 falso URL 編集

falsoさん、こんにちは。
 スタンダード集のようなアルバムですが、一丁上がり的な粗雑な作りにはなっていない作品です。シダー ウォルトン目当てに買っても損はしないと思います。レイ ブラウンとの共演というのも珍しいと思います。
 テラークはもともとクラシックのレーベルですがちょいちょいと面白い作品を出してくれます。そういえばクリスマスアルバムもありましたね。

2006年03月30日 Sonny URL 編集












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