ミンガスのピアノ、ピアニスト




 ドン プーレンのことを記事にしていて気が付いたのですが、どうやら私は激しい演奏と、情緒的な演奏を共に良くするピアニスト達が好きなようです。前に記事にしたアブダラー イブラヒムもその特徴を持ち合わせているピアニストですし、オリン エバンズもそういったミュージシャンといえると思います。
 そんなことをぼんやりと考えているうちに、これまた大好きなピアニストである、ジャキ バイアードに思い当たりました。ジャキもまたドン プーレンと同じ様にチャールズ ミンガスのバンドでピアニストを務めた経験があるミュージシャンです。そんなところからも何となくプーレンとジャキはつながっている部分があるような気がします。
 プーレンの場合はリリカルな演奏もフリーキーな演奏も共に良くするといっても、非常に良く考え抜かれた末の演奏である様に聴こえます。とても理知的な演奏であるといってもいいと思います。
 他方、ジャキの演奏はなんとも自由に軽々と繊細な演奏からダイナミックな演奏へと何の苦も無く自在に操っているようです。それは理知的にコントロールされたというよりは、違う世界に住んでいる住人(天才的と呼んでも)のように覗えます。
 ジャキは又ストライドピアノのようなトラディショナルな演奏からビバップ、フリーにいたるまで、いかようなるスタイルの演奏も得意としています。たいていのピアニストであれば様々なスタイルを手の内に持っているとしても曲によって使い分けるのでしょうが、ジャキの場合は一曲の中でもそれらのスタイルを自然に使用して演奏を行ってしまいます。そういったところが聴く人によってはついていけないと思えるかもしれませんが、私はその屈託の無い自由な万華鏡のようなジャキの世界が大好きです。
 こういったジャキの音楽観に一番近いミュージシャンはと考えると、楽器こそ違えこれはもうローランド カークがまさにそういった人だと思います。ローランド カークもこれまたミンガスのバンドでサイドを務めた人ですね。嬉しいことにジャキとローランド カークの共演作としては"The experience"(Prestige)という佳作があります。我々には住めない場所の住人二人が、おもちゃ箱をひっくり返したような演奏ぶりで私たちを楽しませてくれます。
 
 とりとめもなくボーっとそんな連想ゲームに身をまかせているうちにそういえばミンガスのピアノが秀逸だったなと思いました。無論ベーシストとして立派なミンガスですが、ピアニストとしてもとても個性溢れる素晴しいミュージシャンです。戦うミュージシャンとしてのイメージが強いミンガスですが彼もまた繊細な感性を持つ奏者です。ピアノというクラシックの権化たる楽器がそういった面のミンガスを浮かび上がらせているのでしょう。未聴でしたら是非"Mingus plays piano"(impulse)を聴いていただけたら嬉しく思います。
 ミンガスのピアノといって思い出すのがエリントンのピアノですが…
… こいつはきりがありませんねぇ、エリントンに手を着けるとながくなりそうなのでこのへんで。
 
 そういえば穐吉 敏子さんも …




この記事に掲載のアルバム

”Mingus Plays Piano” Charlie Mingus



2006年06月29日 象をなでながら考えるJAZZ トラックバック:0 コメント:2

こんにちわ。
ここのところW杯が毎日の中心なので、残りの全てを犠牲にしています(笑)。

ミンガスが好きなので[怒りのミンガス]の件には少々食傷気味です。ミンガスの音楽性をもう少し認めてあげるべきだと思います。

エリントンのピアノを聴いた時(普通ならミンガスのベースよりもエリントンのピアノの方が先なんでしょうが)にミンガスのベースが頭に浮かびました。
「ん、こう言う事なんだ」なんて勝手に思い込んだり感心したりした事が有ります。

2006年07月01日 falso URL 編集

falsoさん、こんにちは。
 私はW杯は全く関係ありませんが、野球はオンシーズンですので、阪神の試合のあるときはかかりきりです。
 ミンガスと聞いて「怒りの」とステレオタイプに修飾詞をつけるのは本当にうんざりですね。ちゃんと音楽を聴いているのか知らんと疑ってしまいますね。私は繊細なそして人間臭いミンガスのことが好きです。
 ミンガスはコンポジションやアルバム構成など、エリントンの影響が非常に大きいですね。録音には残っていませんが、ベーシストとして参加していたミンガス入りのエリントン楽団を是非聴いてみたかったですね。

2006年07月02日 Sonny URL 編集












管理者にだけ公開する