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ハンク モブリーの"The Beginning And The End"

昨日長い付き合いのジャズ愛好家の吉田さんと話をしていた時に
「最近の若い子はハンク モブリーってあんまり聴かないようだね」
という趣旨のことを言われました。

瞬間
 そんなことはないだろう 
と思った私

ハンク モブリーと言えばジャズ喫茶では大の人気者です。

アルトサックスならジャッキー マクリーン
ピアノなら ウィントン ケリー
こういったジャズメンというのは嫌いだと言う人を見つけるのが困難な程
超の付く人気者でありました。

しかもブルーノートに10枚を超えるリーダー作品を残している
ハンク モブリー ですよ

そんなハンク モブリーが昨今の人には聴かれない?


ややあって
 ひょっとしたらそうかもしれないなぁ
と思い直した私


懐メロジャズファンは横に置くとしてジャズ喫茶不在の今
ジャズを入門書から聴き始めようとする若い人たちにとっては
ハンク モブリーというミュージシャンが重要人物とは
認識されていないのかもしれません。

レオナード フェザーからはテナーのミドル級チャンピオンといわれ
マイルズのグループでは前任者のコルトレーンと比較され
なんとなく二流のレッテルが貼られているような節が……


ジャズで革新的なものをもたらしたわけではありませんが
ハンク モブリーほど歌心にあふれたテナーサックスは
そうそういるもんじゃぁありません。

そういった点ではコルトレーンにひけをとることは全くありません。

ですがジャズ史観的な点からはハンク モブリーの居場所が
それほど真ん中に位置しないのでしょう。

本当にハンク モブリーが聴かれないようになっているのなら
とても寂しいなぁと思います。


私にとってはあまりに身近にありすぎてブログにも取り上げることがなく
少し反省した次第です。



5年ほど前でしたかハンク モブリーの未発表発掘盤がアップタウンから
発売されてとても嬉しかったです。

”Newark 1953” (uptown)
Hank Mobley


この「ニューアーク 1953」と題されたアルバムは
ニューアークのピカデリーというクラブで録音されたライヴ版です。

メンバーは
トロンボーンにベニー グリーン
ピアノにウォルター デイヴィス ジュニア
ベースにジミー シェンク
ドラムにチャーリー パーシップ
という面々

メンバー構成や年齢を考えても実質的にはベニー グリーンの
リーダー作であると言ってよいと思います。

ただ収録された内容を聴くとハンク モブリーにも多くのソロが与えられ
彼の名義の作品として発売されても問題はないと感じます。

収録年の1953年というのが味噌でありまして
現在知られるところではこのアルバムがハンク モブリーの初リーダーの
作品となります。


いきおい若き日のハンク モブリーの演奏振りが気になるところです。

ベニー グリーンがメンバーという事もありますが1953年時点の演奏でもあり
内容的にはビバップ色の濃い作品になっています。

アップテンポの演奏でモブリーの吹奏が乱れることは無く
基本的なテクニックはすでに取得していることが聴き取れます。

フレージングに関してはデクスター ゴードンからワデル グレイの
ラインにつながる影響とわずかにロリンズの香りを感じます。

1953年という事を考えると非常にニュートラルな演奏だと思います。


特筆すべきはやはりバラードでのモブリーのすばらしさ。

三曲目の「ダーン ザット ドリーム」を聴けばわかりますが
モブリーのソロに入る導入部からサビそしてエンディングへとつながる
歌いまわしの見事なこと。

そして魅力的な説得力のある暖かく少しくすんだ音色。

すでに後年のモブリーらしさがほぼ完成されていることに
驚かされます。


このアルバム実はあのサヴォイで名プロデューサーとして名を馳せる
オジー カデナの録音によるものです。

このアルバム録音の翌年にサヴォイへと入社していますので
ここではまだ一般人であるカデナですが温かみのある
グリーン~モブリーのグループの演奏を収録したことが
なんとなくわかるような気がします。

音質はそれなりですがモブリーファンには
買って損のない一枚だと思います。



事のついでにというか
ハンク モブリーの最後の公式録音を紹介

"I Wanna Talk About You" (Steeplechase)
Tete Montoliu


スティープル チェイスに残されたテテ モントリューの
「アイ ワナ トーク アバウト ユウ」ですが
ここにハンク モブリーのラストレコーディングが収められています。

このアルバムについては少し詳細な紹介が必要でしょう。

LPの時代の1980年にこのアルバムは作成されていますが
発売当時はテテのトリオアルバムとしてリリースされています。

従ってアナログディスクを購入してもハンク モブリーの演奏は
聴くことが出来ません。

ところが1996年にCD化されるにあたって新たに
二曲が追加収録されました。

そのうちの一曲「枯葉」になんとハンク モブリーが参加していたのです。

1980年と言えばハンク モブリーは肺を病んでサックスを
思い通りに吹けずにリタイアしていた時期にあたります。

まさかそんな時期のモブリーの録音が残されていたとはと
モブリーファンたちは狂喜乱舞しました。


しかしながら
ただのリハーサル テープが「世紀の大発見」と呼ばれる
コルトレーンとは大違いで一般の人にこの発掘が
喧伝されることはありませんでした。

 なんだかなぁ


内容ですけれど
私は正直苦しくなるのであまり頻繁に聴くことはありません。

ハンク モブリーのすべてを聴いてみたいファンのかたにのみ
この"Autumn leaves"の一聴ををおすすめします。


色あせることのないハンク モブリーの紹介でした。


この記事で紹介したアルバムです
Newark 1953
I Wanna Talk About You





2018年08月10日 埋もれたCD紹介 トラックバック:0 コメント:0